悪夢の目覚め方
「―――さい。起きなさい。私のかわいいリムニ」
「……う、ん、ううん」
いつもとは違う、ひときわ優しい声に呼ばれ、リムニはうっすらと目を開く。
しかし、ベッドの近くに置いてある読書用の小さなスタンドライトの光に照らされ、反射的に枕に顔を埋めた。
「まったく、もう良い時間よ。早くそのかわいい顔を見せて?」
軽いため息とともに頭を撫でられる。
急かすような言葉とは裏腹に、その手つきはゆっくりと、本当に大切な宝物を愛でるかのようだった。
それが思ったよりもくすぐったくて、リムニは寝返りを打つ。
(……ミティ?)
いつも起こしてくれるメイドの顔が頭に浮かぶ。基本的にリムニを起こすのはミティの役割であった。
姉であるアステリが、リムニが不自由にならないようにと専属メイドとして付けてくれたのだ。
日常的なことはすべてミティとともにあった。
それだけに今、自分を呼ぶその声に違和感を感じる。
かつて起こされるときに頭を撫でられるなんてことはあっただろうか。
ミティはメイドであり、リムニはご主人様なのだ。仲良くして欲しいと思ってはいたが、親しき仲にも礼儀あり、なんて言葉を本で読んだ気がする。
こういう時は、主人であるリムニがしっかり躾をしなければいけないとアステリに言われていた。
「……こ、ら、ミティ、わたしは、ご主人様、なんだから、そんなふうに、起こしちゃ、ダメ……」
眠気と戦いながら、なんとか威厳を見せようとする。誰が見てもうまくいってはいないがリムニは大まじめだ。
「ちゃんと、しないと、お仕置き、しちゃうん、だから……」
頭を揺らしながらベッドの傍らにいる人物に指を立てる。
これだけ話せば少しずつでも覚醒していく。
ボヤけた視界がはっきりしてくると、自分を見て微笑んでいる人物が見えてきた。
「あら、いったいどんなお仕置きをされちゃうのかしら」
「……へ?」
そこにいたのは、いつも近くにいてくれるメイドではなく、姉のアステリであった。
「おねえ……さま……?」
「ええ、お姉様よリムニ」
「…………うえぇっ!? おねえさま!? なんでおねえさまがわたしの部屋にいるの!?」
予想外の人物が目の前にいてリムニはあわてふためいていた。
「あら、いけなかったかしら。たまには私が起こしにきてもいいじゃない」
「それは、いいんだけど……」
アステリはずっと微笑んだまま上機嫌だった。
こんなに機嫌の良い姿を見るのはいつ以来であろうか。
最近はいつも――――
(あれ、最近っていつだっけ……?)
ずいぶんと久しぶりに熟睡したせいか、いまだに頭がぼんやりとしていた。考え事が霧散してしまう。
「さて、リムニも起きたことだし、早く来なさいな」
アステリはベッドから降りるとリムニに向かって手を差し出した。
「え、どこかへ行くの?」
「どこかって、ふふ、リムニ。まだ寝ぼけているのかしら」
アステリは差し出した手を伸ばすと、リムニの頭を撫でる。
「今日は貴女の誕生日でしょ」
「わたしの、誕生日……?」
そう言われると、たしかにそんな気がしてくる。リムニは自分の誕生日を忘れるほど寝ぼけているようだ。
「そうよ。もう料理の準備はできているんだから。遅くなって冷めちゃったらマティたちが悲しむわ。特にミティは貴女に喜んでほしくてがんばっていたんだから」
「それは大変。じゃあ早く着替えないと」
「あら、何を言ってるのリムニ」
アステリは不思議そうな顔をしてリムニを指差す。
「もう着替え終わっているじゃない」
「え」
リムニはベッドから降りると鏡を見る。
そこには確かにいつものドレス姿の自分が映っていた。
「いつの間に着替えたんだっけ?」
まったく記憶になかったが、着替え終わっているなら着替えたのだろう。少し不思議な気がするが、それならそれで良いとリムニは思った。
「さあ、行くわよリムニ」
「う、うん」
アステリに手を引かれ部屋を出る。食堂は階段を降りた先の部屋だ。
リムニは移動中、笑顔を崩さない姉の顔を見る。勢いよく走る中でも、リムニが転んだりしないように後ろに気を配っていた。
そのテンションの高さに最初は不思議に思ったが、優しく手を引いてくれることは素直に嬉しい。
(ずっと辛そう顔をしてたけど、もう大丈夫なのかな?)
何がどうなってこうなったのかは知らないが、食堂から漂ってくる良い匂いに思考は彼方へと行ってしまった。
「さあ、リムニが来たわ!」
ノック、というにはあまりに乱暴な勢いのままアステリはドアを開け放つ。もし扉の前に誰かいたら衝撃でふっ飛んでいただろう。
『おめでとうございます、リムニ様ー!』
リムニが食堂に入ると同時にクラッカーと拍手が鳴り響いた。
「わぁ……!」
恍惚とした表情でリムニは食堂内を見回す。
壁や天井にはきらびやかな飾り付け。長机の上に並ぶ様々な料理。
そして、中央にはプレゼントボックスの山ができていた。
だが、リムニが何より驚いたのは部屋の中を埋めつくさんとするほどの人だった。
「ふふん、驚いたかしら。貴女に驚いてほしくてニフタ村の連中にも来てもらったの」
「うん、おねえさま。わたしびっくりしちゃった。こんなにも人が集まってくれるなんて……」
面識のない人ばかりなので顔に霧がかかったようになってよく見えないが、みんな笑顔を向けて祝福してくれている気がした。
「さあリムニ。早く座って。美味しい料理をいっぱい作らせたから。ここにあるのはすべて貴女のものよ」
リムニが中央の席に座るとすぐにナプキンを付けられ、切り分けられたケーキが運ばれてくる。
リムニはフォークを突き刺し、一口で口に入れる。
「おいしい!」
いつも特別な日にマティとアフティが作ってくれるザッハトルテだ。変わらぬ美味しさが約束されている。
リムニの満足そうな顔を見たアステリは回りを見回し両手を広げた。
「さあみんな、今日はとてもめでたい日よ。思う存分楽しんでいってちょうだい!」
バースデーパーティーは何日にも渡って続いた。
連夜開催される催し物にリムニは心踊る日々を過ごす。まるで夢のような日々だった。
視界の端で黒い影が動く。
うっそうとした森の中をしばらく歩き続けると光が見えてきた。その光を目掛け走るとようやく開けた場所へと出る。
長い時間歩いたような気がするが、そうでもないような気もした。
そんな奇妙な感覚を覚えながらリムニが進んだ先には複数の大型の木のモンスターと、それに捕らわれている姉アステリの姿があった。
「おねえさま!」
「……はっ、リムニ、来てくれたのね!」
リムニの姿を見てアステリの顔が輝く。
とりあえず無事な姿を見てリムニは胸を撫で下ろす。
アステリがモンスターの討伐に出かけてからしばらくの時間が経った。
戻らないアステリを心配し、いても立ってもいられなくなったリムニは、ミティの制止を振り切り森へと足を踏み入れる。
屋敷の外をほとんど知らないリムニにはちょっとした森の中でも四苦八苦したが、苦難の末ようやくアステリを発見することができた。
「えっと、この木のみたいな姿をしたモンスターが……『サンゾク』だったかな?」
昔、アステリに教えられたことである。
森にはいろんな意味で危ない木のモンスターがいること。
そして、ニフタ村を襲った『サンゾク』という者たちをアステリが追い払ったこと。
「きっと、追い出されたことに腹をたてて、おねえさまに仕返しにきたのね。そうはさせない!」
リムニは想造力を集中させると想造武具である枕を具現化させる。
「ダメよリムニ。こいつらは私でも倒せなかったのよ。貴女じゃ危ないわ!」
悲痛なアステリの声が聞こえるがリムニの決心は揺るがない。
リムニはアステリを助けに来たのだ。
「でも、おねえさまを失いたくない。そのためだったら、わたしがんばる!」
リムニは枕を振りかぶると、サンゾクに叩きつけた。
『グオオオォォ!』
サンゾクは断末魔の悲鳴を響かせると、空気に溶けるように消えてしまった。
解放されたアステリがフワリと降りてくる。
「ありがとうリムニ。貴女のおかげで助かったわ」
「ううん、おねえさま。わたしはずっとおねえさまの助けになりたかったの。いつもわたしのために何かしてくれるおねえさまに何かしてあげかった」
「そう、とてもうれしいわリムニ」
アステリに抱きしめられ、リムニは報われた気持ちになる。
これからは、アステリと共にリムニがこの世界の平和を守っていくだろう。
まるで夢のようなお話だった。
視界の端で黒い影が動く。
「わぁ、これが『お祭り』っていうものなのねおねえさま」
「ええそうよ」
今夜はリムニたちはニフタ村の伝統行事である『月見祭り』というものに参加していた。
夜を照らしてくれる月に感謝するため、満月かつ一番大きく見える夜に開催されるらしい。
しかも今回は、リムニのために屋敷の近くの森の中で開催してくれることとなった。
森のあちこちに簡素型のお店である屋台が出ており、行き交う人と相成って楽しげな賑わいを見せていた。
「みてみておねえさま、知らないものがいっぱいあるの。行ってみましょう!」
「ええ、わかったわ」
走り回るリムニの後をゆっくりとアステリは追いかける。
見たこともないものに好奇心を刺激され、リムニは目を輝かせながら一つの屋台の前に立つ。
「わぁ、初めて見る食べ物ね」
そこにあったものは淡く光っている玉だった。手のひらに収まるサイズの玉が無数に積み重ねてある。
「コレ、食べていいの?」
リムニが声をかけると、屋台の者は無言でうなずいた。顔はやはり霧がかかったように分からなかったが、笑顔であることは伝わる。
リムニは玉を一つ摘まむと口に放り込んだ。
「……おいしい!」
フワフワとした食感で優しい甘味があった。
「……おいしいけど、なんだかお屋敷で食べたことがある気がする」
覚えのある味に首をかしげていると、アステリが追い付いたようだ。
「なんでも料理はマティが監修しているそうだから、似た味になるのは仕方ないかもね」
「そ、そっかぁ……」
他の屋台へ行ってみても結果は同じだった。
見た目は知らない物なのに、食べたら馴染みのある味ばかりだ。
なんだか、肩透かしのような気分をリムニは感じていた。
「満足いかなかったかしら?」
アステリに顔を覗かれてリムニはドキッとした。
残念だったのが顔に出ていたのかもしれない。
「……そんなことないの。おねえさまといっしょに歩けるだけでわたしうれしい」
「そう、それなら良かった」
アステリは優しく微笑む。
どうやら不満を悟られなかったようだ。
「今まではお屋敷の中からながめるだけしかできなかったから。やっぱり外をおさんぽできるのは楽しい」
「そうね。貴女もようやく一人前の夢魔になれたのだものね。これからはいつでも自由に歩き回れるわ」
「……あれ? わたし、いつちゃんとした夢魔になれたんだっけ?」
「ふふ、なに言ってるのリムニ。今までいっぱいみんなの夢を食べたことがようやく実を結んだんでしょう。長い時間はかかったけれど、よくがんばったわね」
「……そっか、そうだったよね。わたしがんばったよね」
「ええ、さすが私の自慢の妹ね」
そう言ってアステリは優しくリムニを抱きしめる。その優しい感触に思わずリムニもアステリの腰に手を回した。
こんな夢のような時間がずっと続けばいいとリムニは思った。
視界の端で黒い影が動く。
「なんだか最近、おかしい気がする……」
自室の窓から星空を眺めながらリムニはため息を吐いた。
連日連夜なにかしらのイベントが起こり、姉もメイドも村の人も皆優しい。
夢魔としての修行期間では決して味わえないようなことばかりだ。
辛かったことから解放され、まさに夢のような日々を送っている。
「毎日毎日すてきな夜がくる。とても幸せな気がする。だけど、だけどなんだか……」
思ったことを口に出そうとして飲み込んだ。なぜだかそれは言ってはいけないような気がして。
「このままでいいのかなぁ……。わたしは何がしたかったんだっけ……」
呟いてみても返事も答えもない。
漠然とした不安が胸の内で渦を巻いている。
この不安は美味しい物を食べても美しい星空を見ても晴れることはなかった。
そんな時、不意に離れの図書保管庫が頭に浮かんだ。
「そういえば最近、冒険小説読んでないな」
夢魔としての修行期間中、外へ出られない代わりによく読んでいた本。
いろいろな冒険譚を読んでは外の世界を夢想していた。
思い出すと無性に読みたくなってくる。
「ひさしぶりに行ってみようかな」
リムニは立ち上がり、部屋を出ようとする。
「?」
だが、いつの間にか扉の前に黒い影が立っていた。
空間から切り取られたように立っており、表情のない黄色い目でリムニを見上げている。
「あれ、あなたはだぁれ? おねえさまの新しい使い魔?」
『……』
「え、おねえさまが今日は寝なさいって? でも、わたし行きたいところがあって」
『……』
「……ああそうね。図書保管庫はあした行けばいいものね。それに、おねえさまの言いつけは守らないと……」
リムニはきびすを返してベッドへと向かう。
それだけで冒険小説のことが霞んでいくようだ。
「ここかぁぁぁぁ!」
「きゃあぁぁぁぁ!」
激しい衝撃と騒音と共に少年が天井から降ってきて、リムニは悲鳴を上げた。
「なになに、なになになになに!?」
あまりの出来事にリムニは混乱する。
少年が落ちた先はちょうどさっきの使い魔のところだったようで、使い魔は消えてしまっていた。
「……ここは屋敷の中か。おあつらえ向きだぜ。お?」
少年はリムニに気がつくと深く息を吐いた。
「ようやく見つけたぞ寝ぼすけ」
「あ、アレ、ス?」
突如現れた少年アレスはリムニに向かって手を差し出した。
「行くぞ、というよりは起きるぞリムニ。いい加減起きないと目やにでまぶたがくっついて開かなくなるぞ」
『ふむ、この魔方陣の効果がようやく解ったぞ』
頭の中に聞こえる魔神の声にアレスは意識を向ける。
いろいろと説明をしてくれるのはありがたいと思うが、直接頭に響くのはいまだに慣れないでいた。耳を塞いでも聞こえてきてしまうのは難点だろう。
『どうやら睡眠を促す程度のものではないようだな。本来の目的は夢と現の融解だ』
「現? 融解? どういうことだ?」
『うむ。早い話が現というのは起きている時の世界のことだ。我々が普通にいる世界。夢というのは寝ている時の世界だな。ここの世界』
魔神は淡々と説明していく。
聞きなれないことを言うが、ようは寝てるか起きてるかということだろう。
『夢の世界と現の世界には境界線が敷かれておる。ここでは想い一つでなんでもできるだろう。そんなことが現の世界でできてしまったら世界の理なぞ容易くにひっくり返る。そうならないよう障壁で守られているのだ。いくら夢魔でも、その障壁に干渉することはできないだろう』
「でも、夢魔ってやつは夢を食っているんだろ? それはどうなんだ?」
『あくまで障壁を素通りできるだけであろう。中に入ってから夢の残滓を取り込み自らの魔力や想造力とする。残滓と言えど世界を構成する一部だ。栄養は豊富だろう』
「なるほどな。じゃあ夢と現が融解、ようは混ざるってことか。そうなるとどうなるんだ?」
『先ほど言ったここで何でもできる力が現でも使えるようになるやもな。もっとも、そこまで上手くいくとも思えん。夢魔は夢を扱うことに長けていても、現で使えるのはその一部だ。現の理で夢の力を使えれば別なのだがな。このままそこの夢魔の小娘を夢に縛っても、せいぜい夢の世界の想造力を利用しやすくなるだけだ』
「いや、あいつらにとってはそれで十分なのかもしれない」
ここの膨大な量の想造力。それは直接ティポスたちのエサとなる。
そうなれば今まで以上に強力なティポスを扱えるようになるはずだ。
「ということだリムニ。これ以上ティポスの養分になる必要はない。とっとと起きてくれ」
あらかた話を聞き終わったところでアレスはリムニの方へ向いた。
ここはリムニのここだ。彼女が起きてくれないとアレスも外へ出られない。
「……」
だが、リムニは部屋のすみで体育座りをしたまま動こうとしない。顔も下を向いたままだ。
「どうしたんだよリムニ。このままここにいてもお前は夢魔になれなそうだぞ。貯まった想造力も夢の境界線に干渉するために使われちゃうからな。だったらもう起きなきゃだろ?」
「……ねぇアレス」
今にも消えてしまいそうなほど小さな声。
リムニはうつ向いたまま、アレスの方を見ずに話す。
「わたし、ここにいる」
「ここに、いる?」
「うん。だっておねえさまがここにいるように言ってたから」
きっと、アステリはたしかにそう言ったのだろう。
ニフタ村の村人から得た想造力を摂取し続け、リムニは夢魔としてのチカラに目覚めかけている。
むしろ、自身のここにいて目が醒めないようにコントロールすらできている。
夢を使いこなしているという点においてはリムニはもう立派な夢魔だ。
本人は気づいていないかもしれないが、少なくとも現の世界にいるアステリはとっくに分かっているはずである。
あとはリムニが夢の世界から起きる瞬間を今か今かと待ち望んでいる状態だろう。
だが、今アレスがそんなことを言っても信じてもらえないかもしれない。
「また、おねえさまが言ったからか……」
アレスはため息混じりに呟く。
リムニにとってアステリは絶対的な存在なのだろう。愛を与えられ、守られ続けたのだから当然だ。
それが悪いとは言えない。だが、それだけでいいはずもない。
「だって、おねえさまがそう言ったんだもん。ここで夢を見ていなさいって。わたしがここで夢を見ていることをおねえさまが望んでいるから」
「……本当に、そう思うのか?」
「え?」
リムニが顔を上げた。戸惑いの表情からは、もうどうしていいか分からないというのが伝わる。
だが、直に拳を交えたアレスにはよく分かる。
アステリがどれだけリムニのために戦っていたのか。
そして、いかに被害を最小限にしようとしていたのか。
「アステリは最後まで誰かの命を奪おうとしなかった。村人たちはもちろん、戦いを挑んだオレでさえも。何でか分かるか?」
「何でって……」
「お前が悲しまないようにするためだよ」
ミティが言っていたことでようやくわかった。アステリはただリムニを夢魔にしたかったわけではないということが。
「誰かの命を奪ったと知れば、お前が悲しむと思ったんだろ。それに、そんなことをすればここには居られなくなる。そうなればまた放浪生活だ。妹に甘いアステリがそれを良しとするわけがない」
「おねえさま……」
「アステリは今、何も知らないまま突き進んでいる。もうすぐお前が起きると信じているし、村人たちにもほとんど危険がないと思っている。でも実際はそうじゃない。このままお前がここで眠ってしまえばもう永遠に起きない。夢と現の境をつなぐ通路みたいになる。そうなればアステリはお前を助けようとさらに想造力を集める。際限なくな。そんなことになったらもうニフタ村の人たちは助からないだろう」
「そんな……」
それは本当に最悪のケースだ。
そして、そうなれば世界の守護翼も黙っていない。
すでにライゼストーンによる繋がりを持っているこの世界は、ティポスが活性化すれば感知される。
危険と判断されれば対処しにやってくるだろう。
「この状況をなんとかできるのはお前しかいないんだ。お前がアステリを止めない限り誰も幸せにならない。この計画を考えついたやつとティポス以外はな」
実際、ここまでの計画を思いつくのはかなりの切れ者だろう。想いについてよく熟知している。
「おねえさま……」
リムニはくちびるを噛んで考え込む。
この夢の世界はリムニの作り出したものだ。つまりリムニの世界である。
どのみちリムニがその気にならないかぎりアレスもまた外へは出られない。
忘れそうになるが、アステリに放り込まれて来てる以上アレスもまた囚われの身なのだ。
「……ねえ、アレス」
「なんだ?」
「おねえさまは、わたしのお話聞いてくれるかな?」
「意地でも伝えてやればいい。さっき夢で会ってたアステリに言った事をそのまま言えばいいさ」
「……わかった。わたし、ちゃんとおねえさまとお話する。わたしの想い、ぜんぶ聞いてもらうんだ」
リムニは立ち上がる。大切な姉に想いを伝えるために。
「よく言ったリムニ。腹割って話してこい」
「うん」
「じゃあここから出してくれ」
「……どうやって?」
「どうやってって、起きればいいんじゃないのか」
「だから、どうやって?」
「いや、知らないけど……」
「わたしも知らない」
アレスとリムニは顔を見合せた。
『何をやっておるのだ』
唐突に聞こえた魔神の声にアレスの体が震える。
「……いきなり話しかけるのはやめてくれ」
『そういうものだ。早く慣れることだ。それより、いつまでこんなところで呆けておるつもりだ。外はだいぶ押されておるぞ』
「そんなこと言ってもな、ここから出る方法が分からないんだよ」
『容易いことだ。ここはリムニのここであるぞ。だったら衝撃を与えてやればいい』
「衝撃?」
『うむ。その方法は――――』
と、魔神が脱出手段について語ろうとしたとき、夢の世界に異変が起きた。
「な、なに!?」
リムニが悲鳴にも似た声を上げる。
部屋の壁に亀裂が走ったのだ。亀裂は止まらず、床も天井、さらにベッドなどの家具にまで広がる。
そして、最終的にリムニの部屋はガラスが割れるように砕け散ってしまった。
「わ、わたしのお部屋が……」
リムニが呆然としていた。
いくらこことはいえ、自分の部屋が砕けるところはなかなかショッキングだろう。
砕けた部屋のあとには真っ暗な空間があるだけだった。
「これは……」
アレスは本能的に身構える。何かイヤな予感がしたのだ。
果たして予感は的中することとなる。
「ティポスか!」
真っ暗な空間から現れたのは真っ黒なティポスだった。
空間と同じ色をしているはずなのに、そこだけくっきりと型どられたように見えた。
「わわわ」
リムニがアレスのもとへ駆け寄る。何はともあれバラけているよりはいいだろう。
ティポスたちは二人を囲うように動いた。
「なるほど。オレたちを逃がさないようにするってことか。そうだよな」
「ど、どういうこと?」
「ティポスにとってここの世界を維持できるお前は最高のエサだ。そんな格好の獲物を逃がしたくないんだろ」
「それは、大変ね!?」
「安心しろ!」
アレスは想造武具を具現化させる。未だ輝くだけのグローブを見て残念そうな顔をするが、すぐに不敵に笑う。
「しょせんは数だけのザコだ。いくら出てきても敵じゃないぜ!」
アレスは威嚇するように腕を振り回すが、それを聞いたティポスたちの動きが変わった。
「な、なんだ?」
突然止まったティポスにアレスは戸惑う。
ティポスたちはごく自然に、まるで最初からそう決まっていたかのように一ヶ所に集まっていく。
そして、一瞬地面に溶け込んだかと思うと、巨大なひと塊となった。
「やべぇ、ククリ・ティポスになりやがった」
「くくり? なにそれ?」
「いっぱいいたティポスが集まって大きくなったやつだ。早い話がキングだな」
「ふーん、分かりやすいね」
ククリ・ティポスはどんどん大きくなっていく。
見た目にたいした変化は見られないがただただサイズが大きい。
カラダの大きさに伴い、手足の爪も大きくなる。
ほとんどはいつものティポスが大きくなっただけだが、頭にかぶったナイトキャップとヤリのようにピンと伸びた尻尾が特徴的だった。
「頭にナイトキャップをかぶっているのは夢魔らしさをアピールか? おあつらえ向きだぜ」
ティポスを見上げながらアレスはそんなことを言っていた。
「ねえねえアレス」
ククリ・ティポスを見上げながらリムニは話しかけてきた。
「なんだよ」
「このティポスはアレスがバカにしたから出てきたの?」
「……」
何も言えなかった。実際、ザコ扱いしたとたんにティポスは合体したのだ。確実にアレスの失言が招いた結果だろう。
「まあ、悪かったとは思うよって、どわぁ!」
ククリ・ティポスはアレスの言葉に反応することなく大きな手を叩きつけた。
緩慢な動きだったので避けることはわけなかったが、地面を叩いた時に発生した衝撃波にアレスもリムニも吹っ飛ばされてしまった。
特にダメージはないが、まともに食らえば一溜りもない。
「馬鹿力が。まともに当たればえらいことになりそうだ」
「あんまり悪口言っちゃダメだよ?」
「……反省するよ」
口は災いの元。ティポスに相手にどこまで言葉が通じたかは定かではないが、何かしらの琴線に触れたことは確かだろう。
「でも、どうするの? あんなのマトモに戦って倒せるの?」
「いや、別に無理に戦う必要もない。とっとと逃げるぞ」
「え、戦わないの?」
「目的は果たした以上長居は無用だ。あとは外へ出るだけでいいんだ」
あたかも自分の意思で夢の中へ来たかのようにアレスは言う。
「ともかく、アイツから離れるぞ。ここに居たらおちおち脱出の手段も考えられない」
「わ、わかった」
アレスたちはククリ・ティポスに背を向けて走り出した。
動きの鈍さから考えれば簡単に距離を稼げるだろう。
「よっと、このくらいでいいだろう」
「うん」
あの巨体だ。これだけあればすぐには追いつけないはず。
そう思ってアレスはスピードを落として後ろを向いた。
そこにいたのは手を振り上げた状態のククリ・ティポスだった。
「は?」
振り下ろされた手を避けるため、とっさにリムニ抱えて思い切り跳んだ。
「きゃっ!」
反応の遅れたリムニは短い悲鳴を上げるが、それでも押し潰されずに済んだ。
「どういうことだ。あれだけ走ったのに」
動きの緩慢なククリ・ティポスがアレスたちに追いつけるとは思えない。今も手をどかしてアレスたちを探しているくらいだ。
「……アレスは悪夢って、見たことある?」
「なんだ、いきなり」
リムニが何か気づいたようだ。
「おねえさまが言ってた。悪夢にはいろんな種類があるって。その中に追いかけられる夢っていうのがあるんだけど」
「追いかけられる夢?」
「うん。何か怖いものに追いかけられるんだけど、必死に逃げているんだけど、体が思うように動かなかったり、気がついたら目の前にいたりするんだって」
「……ようは逃げられないってことか?」
「きっと、そう」
「なるほどな」
夢魔らしいことをしてくる。どんなに距離を開けても気がついたら目の前にいるんだろう。
「なら、やるしかないんだろうな。リムニはなんとか起きられるようにがんばっててくれ」
「わ、わかった」
リムニの返事を聞いてアレスは走り出した。
出られるかどうかはリムニにかかっているのだ。リムニを信じて時間稼ぎをするしかない。
「くらえー!」
未だアレスたちを見失っているククリ・ティポスの頭にアレスは渾身の一撃をお見舞いする。
不意打ちなうえに今出せるアレスの最大の一撃だ。
いくら未熟な身とはいえ、ここまで完全なタイミングならかなりのダメージを入れられる自身はあった。
「なに!?」
しかし、期待はあっさりと裏切られる。
ククリ・ティポスはまるで堪えてないように、アレスに殴られた場所をさするだけだった。
「もしかして、まるで効いてない。って、うわ!?」
ククリ・ティポスは頭を振り回してアレスを振り落とす。
あまりの勢いに耐えられなかったが、落ちながらも体勢を立て直して無事に着地した。
「やっぱり根にもってたりするのか。口は災いの元だな」
ティポスに感情があるのは知らないが、少しだけアレスに対する執着心を感じた。
「グオオオオオ!」
ククリ・ティポスが獲物を見つけた獣のように吠えた。本格的にアレスに狙いを定めたようだ。
「おあつらえ向きだぜ!」
狙いが分散しないのは好都合だ。リムニに矛先が向かっていたらアレスは止められる自信はなかった。
迫りくるククリ・ティポスの手を爪の間からすり抜けて避ける。一歩間違えればそれで終わってしまうような危険な避けかただが、その分一気に攻勢に出られる。
「うおおおおお!」
ククリ・ティポスの腕を駆け上がって顔の前に飛び出た。
「一発でダメなら、消えるまで殴り続けてやる!」
グローブに想造力を込めて連続で殴り出した。
「くらぁぁええぇぇぇ!」
アレスは一心不乱で拳を打ち付け続ける。隙を突いて攻撃することはできているのだ。
これで少しでもダメージを稼ぐことができればいいのだが。
「ぐぁ!?」
ククリ・ティポスの手がアレスを払いのける。まるで小さな虫を払うかの動きだった。
「くそ、人のことを虫ケラみたいにはたきやがって」
着地に成功したアレスはククリ・ティポスを睨み付ける。
しかし、ククリ・ティポスは意に介した様子はなく、目の前にいるアレスではなくリムニの方を向いた。
「……」
「おい、ちょっと待てよ」
動き出したククリ・ティポスにアレスは声をかけるが止まる様子はない。
「は、はは、オレよりもリムニの方が想造力を持っているからそっちがいいってことか……」
夢魔として覚醒したリムニには想造力が潤沢に満ちていた。
まさに夢のような想造力がククリ・ティポスを惹き付けたのだろう。
「――――な」
やるせない思いがアレスの中に渦巻く。
興味を無くされ、完全にそっぽ向かれてしまう。
それはなぜか。
「ふざけんな!」
激昂したアレスが飛び出す。
想造力を限界まで高め、ククリ・ティポスに叩きつける。
後先を考えない、ほとんど捨て身のような一撃だ。
それも、わずかにククリ・ティポスの体を揺らすことはできたが、大したダメージにならない。
「グオオオオオ!」
だが、いい加減うっとうしくなったのか、ククリ・ティポスがアレスを押し潰そうと手を振り上げた。
(あ、しまった)
力任せの攻撃をしたせいで回避が間に合わない。
純粋な重量による力でアレスはぺしゃんこになってしまう。
周りがスローモーションのようになって見える。
(走馬灯すら見えない。そんな経験を積めるほどオレは生きていないってのに。こんなところで終わるのか?)
これから先の未来。そのすべてが目の前の黒い手に阻まれているかのようだ。
(……ふざけるな)
いろいろなものに進む道を塞がれ続けた。
純粋種の悪魔による猛攻だったり、母親による過保護の御守りだったり、そして、父の功績だったり。
大きな存在は確実にアレスの行く道に影を差した。
(もうたくさんだ。家のゴタゴタに巻き込まれて自由を失うなら、そんなもん全部握り潰してやる!)
迫りくるククリ・ティポスの手にグローブを向ける。
求めるものはただひとつ。
全てを払いのける純粋な力。
「あきらめて、たまるかぁぁぁぁ!!」
その瞬間、体の内側から自分とは違う、熱い想造力が迸るのを感じた。
『待たせたな』
「魔神か!」
頭に魔神の声が響く。
辺りはスローモーションどころが止まっているようにさえ見えた。
『ようやく結界の核を捉えた。さすがは稀代の天才と持て囃されただけのことはある。だが、我にかかればこの程度よ』
魔神はファーネの結界を破ったことが嬉しいようだ。いつもより上機嫌な気がする。
「おあつらえ向きだぜ。それで、オレはどうすればいい?」
『うむ。すでに我の想造力を感じてはおるだろう。これから結界を破壊すると結界によって守られたお前自身のリミッターが外れる』
「オレのリミッター……」
『そうなれば、今まで感じた事のない想造力が溢れ出すであろう。お前はそれに死ぬ気耐えればよい』
「……もし、耐えられなかったら?」
『内側から溢れる想造力に焼かれ、最後には肉体が弾け飛ぶだろう』
「おっかねーな」
『魔の力を人が扱うというのはそういうことだ。さて、時間を止めるのも限界がある。そろそろいくぞ。最後に言い残すことはあるか?』
魔神はこんな土壇場で遺言を求めてきた。
冗談で言っているわけではないだろう。これから行うことはそれほどのことなのだから。
「……改めて、これからよろしくな」
「……面白い。せいぜい武運を祈ってやる!」
姿は見えなくても、魔神が笑ったように感じた。
そして、身体の中にある何かが割れた。
「おお? おおおお!?」
身体がバラバラになりそうな感覚にアレスは叫ばずにはいられなかった。
(あ、熱い……!)
強い想造力が身を焦がしていく。
(こんなの、耐えられ……!)
まだ少年であるアレスにはあまりにも酷な試練。
なんとか歯をくいしばるが意識が灼熱の想造力に流されてしまう。
『アレス』
魔神が呼びかける。
アレスが苦しみの中で目を開くと、魔神の姿が見えた。
魔神は想造力の中にいても悠然としているようだ。
『アレスよ。想造力の流れを読むのだ。どんな力にも流れというものが存在する。あの男の息子であるお前ならば、掴めるはずだろう』
そう言って魔神は流れに乗って行ってしまった。
「……くそ、言いたいことだけ言いやがって」
憎まれ口を叩きながらもアレスは手を伸ばした。想造力の奔流が手に絡みついていく。
「熱い、やっぱり熱い」
想造力の流れは激しく、すぐに意識ごと持っていかれそうになる。
「……いや、待てよ」
持っていかれそうになる、ということは動いているのだ。
山から海へと水が流れるように、この想造力にも川のように流れているということだ。
「……なるほど。なら、おあつらえ向きだぜ!」
アレスは耐えるのをやめると、意を決して想造力の奔流へと身を投げた。
流されるようにアレスは運ばれていく。
一度身を投じてみれば、流れの強弱が体で感じられるようになってきた。
「……あれは?」
流れる途中で星のように光るものを見つけた。
アレスは直感的に両手を伸ばしてその星を掴み取った。
その瞬間、身を焦がしていた想造力の熱が和らいだ。
『それが、お前にやった魔神の想造力の核だ』
「これが……」
星からじんわりと想造力が流れてくる。
どうやらこれで、ちゃんと魔神の力を得られたようだ。
『では、最後の仕上げだ。想造武具の具現化をするのだ』
「想造武具を?」
『そうだ。今まで使っていたグローブはお前の母親によって決定づけられていた仮初めの想造武具だった。いわば拘束具のようなものだ』
「そう言われるとおっかねーな」
『だが、それももう過去のもの。お前には新たな想造武具が必要だ』
「なるほどな」
様々なものから解放され、ようやくアレスは本来の想造武具を使うことができる。
アレスは手を掲げ、想造力を集中させる。
すると、これまで感じたことのない力を感じた。
『ふむ。時の流れを止めるのも限界だが、いい頃合いだ。その力、存分に振るうがいい』
迫りくるククリ・ティポスの黒い手を見上げ、アレスは拳から溢れる想造力をそのままぶつける。
想造力は力となって、ククリ・ティポスをぶっ飛ばした。
ククリ・ティポスは耐えきれず後ろへ倒れる。
「これが、オレの新しい想造武具……」
グローブが弾け、その中から現れたのは肘まで守られた装甲。黒く少し禍々しいのは魔神の影響だろうか。
『腕装甲か。悪くないな』
「魔神か」
魔神の声は上機嫌だ。自らの力を受けとめられたアレスを称賛しているようだ。
『そのガントレットが我とお前の力の証。使いこなせるように精進するのだな』
「ああ、わかった」
『さて、さっそく試してもらおうか。目の前に良いのがいるぞ』
ククリ・ティポスがゆっくりとその巨体を起こそうとしていた。
「おあつらえ向きだな。やってやるぜ!」
想造力を集中させる。
いつもより想造力の集まりがいい。ガントレットに渦巻いている。
「これが、オレの新しい力だぁぁぁぁ!!」
アレスのガントレットから放たれた想造力が、ククリ・ティポスの中心を捉える。
ククリ・ティポスはガードするために手を伸ばしたが、それさえも貫き、核である紫宝石をも砕ききった。空気に溶けるように消えていく。
「……ふぅ。少しすっきりしたぜ」
とりあえずの脅威は消えた。
あとはここを脱出するだけだ。
『アレスよ、急いだ方が良さそうだぞ。外の連中が押されている』
「おっと、それもそうか」
外に残されたのはマモルとココロ、そしてメイドたちの末っ子のミティだけだ。
マモルとココロはともかく、満足に想造力を使えないミティには荷が重い。
「リムニはどうなったか」
辺りを見ると、リムニを見つめる。
うなだれてどうしようもないといった感じだ。
「リムニ」
「……ダメなの」
アレスがククリ・ティポスの相手をしてる間にリムニもいろいろやってはいたようだ。
「叩いてもつねってもぜんぜん痛くないの……」
「夢だからな」
痛みでなんとかしようとするのは眠らないようにする場合だ。
『大概、物語で眠り姫を起こすのは定番があるな』
魔神が口を挟む。
「お前も俗っぽいことを知ってるな」
「?」
「気にするな」
リムニが不思議な顔をする。魔神の声にはアレスの頭にしか聞こえない。
「なんにせよ、今は時間が惜しいな。どうすればいい?」
『大半の者はインパクトがあれば目覚めるだろう』
「インパクトか」
夢の中だから直接的なダメージは通じないらしい。ならば精神的な衝撃が必要だ。
「……そうだな、たしかに定番があるな。よし、リムニ」
「なあに?」
アレスはリムニの前に跪くと、そっとほほに手を添えた。
「あ、アレス!?」
突然のことにリムニが驚く。その顔がどんどん赤く染まる。
「いくぞリムニ!」
「ま、まさかキキキキ――――!?」
そして、アレスの行動の末にリムニの夢の世界は崩れていく。
たしかに、リムニには強烈な刺激になったようだ。




