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ハッピーエンドを求めて  作者: AiU
三章 後編
30/50

おはよう

 「やぁやぁどうもどうも。いきなり無意識の彼方から失礼するよ。ずいぶんと長い間眠っているようだね。まあ、あれだけの死闘だったんだ。無理もない。でも、そろそろ起きたほうが良いかもしれないよ。なぜかって? そう聞かれると残念ながら『なんとなく』としか言えないんだけどね。いわゆる勘ってやつさ。不満かい? でも、ボクの勘はけっこう当たるんだ。昔からそうだった。良くも悪くもね。って、そんなボクの自慢話はどうでもいいんだ。いや、不幸自慢かな? ともかくどうでもいいんだ。せっかくキミにはちょっとした力をあげたんだから。ヘタしたらちょっとしたじゃ済まないかもしれないけど。でも、これからを生きるキミにはきっと必要になると思うんだ。ボクには自然の声を聞くことしかできなかったけど、友達の多いキミには別の使い方ができるはずだ。具体的な方法はね――――。え、どうしたんだい掃除機くん? またゴミが詰まった? もー、だから言ったでしょ。キミはもう普通の掃除機に戻ったんだって。想造力(イメージ)があった時とは違うんだ。ああ、わかったわかったよ。そうピコピコ言わないでおくれよ。今治してあげるから。ということで、ボクは忙しいからキミはキミでがんばっておくれ。なあに、心配はいらないさ。キミの心の中に浮かんだ想いに真っ直ぐ向かい合っていけばいいだけさ」



 爽やかな風が前髪を揺らしマモルは目を開く。

 目線を動かして辺りを見ると、開け放たれた窓から、そっと風が入り込んでカーテンを揺らしていた。窓の外には綺麗な青空が見える。

 心地の良い風だ。

 久しぶりに澄んだ空気を楽しみながら姿勢を楽にして見慣れた天井を見る。

 「知ってる天井だ」

 知ってるもなにも当たり前である。

 ここはマモルが一人暮らしをしている自室だ。

 1Kの狭い部屋だが、一年弱住んで少なからず愛着の沸いた部屋だ。

 夢か幻か、どうやら知らないうちにマモルは自分の世界、さらに言うなら自分の部屋に帰ってきたようだ。

 直前の記憶では、あの滅びかけた世界であるハウラでの光景が頭をよぎる。

 孤独に戦い、そして守り続けた守護騎士の想いを知りたくて戦った。

 彼の想いを一身に受け、マモル自らも力を出し尽くした。

 その結果、辛くも勝利したマモルは守護騎士の想いの断片を見ることができた。

 彼も満足し、彼を見守っていた少女も満足し、その光景を見たマモルも満足した――――はずだった。

 限界まで想造力(イメージ)を使い果たしたマモルは意識を失う。

 マモルはそのままハウラの滅びに巻き込まれたはずである。

 「ここは僕の夢の中か、はたまた天国か……」

 そうとしか考えられない。

 命運尽きたマモルに与えられた神様からの最後のプレゼントか。

 「お、目が覚めたかマモル。おはよう」

 そんなことをつらつら考えていたら声を掛けられた。

 慣れ親しんだ幼なじみのリキヤの声だ。

 (そっか、神様も粋なことをしてくれるね。友だちに別れを言う時間を作ってくれるなんて)

 このまま誰にも何も言えずにいくのは少しためらいがあったところである。

 だが、それもどうやら解消されるようだ。

 その事に安堵しながら声のした方へと視線を向ける。

 「うん。おはようリキ、ヤ……」

 朗らかに挨拶を返そうとしたマモルだったが、語尾が凍りついてしまう。

 そこには確かにリキヤが立っていた。

 パンツ一丁の姿で。

 「……」

 マモルの心の中が一瞬で絶望に染まる。

 いったい何がどうしたらほぼ全裸の男が目覚めを迎えてくれる状況になりうるのだろうか。

 「お前の看病を任されたんだが暇だったんで筋トレしてたんだ。思ったよりハードにやってたら汗かいちまったんでシャワー借りたぜ。おかげでさっぱりだぜ――――って、どうしたマモル?」

 目が覚めて最初に見たものがむさ苦しい男の半裸ということに絶望したマモルは手で顔を覆い、悲しみに震えていた。

 「ちくしょう……。これでも最後まで頑張ったと思ったのに……。その結果がコレだなんて……あんまりだよ神様……!」

 「どうしたマモル。そんなに震えちまって。寒いのか? そういうときは筋トレに限るぞ。腹筋にするか? スクワットにするか? それとも、う・で・た・て?――――ぐはぁっ!?」

 「アンタはそんな格好で何するつもりなのよ!」

 飛んできたフライパンが頭に命中し、そのままリキヤは床へと沈んでいった。

 「マモルはいちおう病人だか怪我人なんだから安静にさせないとダメって言われたでしょうが」

 そう言いつつ部屋に入って来たのは、こちらもマモルの幼なじみのシオリであった。

 シオリは何やら買い物袋を持ちながら、頭を抑えて唸っているリキヤを一瞥するとマモルの方を向いた。

 「おはようマモル。とりあえず聞いておくけど大丈夫?」

 シオリに訊かれてマモルは体を起こした。自分の体の節々を触ってみて状態を確認する。

 「ああ、うん。おはようシオリ。とりあえず大丈夫そうだよ。まだキレイな身体(からだ)のままさ」

 「何を言ってるのか分からないけど、マモルももうちょっと眠っておく?」

 シオリはそう笑顔で言いつつ想造武具(イメポン)であるフライパンを具現化させた。

 「いえ、大丈夫です」

 「そう? まあ、ヘンなことを言えるだけ元気なら心配いらないわね。ほら」

 シオリは買い物袋から何かを取り出すとマモルに手渡した。

 「とりあえず適当にご飯作ってあげるから、ソレ食べながら待ってなさい」

 シオリが渡したものはシュークリームだった。

 寝起きの人間に適しているかは分からないが、甘党のマモルにはこれ以上ない物である。

 「シオリ、ストローある?」

 「中身だけ吸おうとしないの! お行儀悪い」

 買い物袋を持って台所へと向かうシオリ。

 「ほら、ミヅキもいつまでもそんな所に立ってないで入ってきなさい」

 「え?」

 マモルがベッドから顔を覗かせると、玄関の所で所在なさそうに立っているミヅキが見えた。

 「ミヅキもいたんだ。おはようミヅキ」

 「お、おはようございます……。マモル先輩……」

 ミヅキは暗い顔をしたまま玄関に立ち尽くしている。

 「ミヅキに感謝しなさいよ」

 シオリは買い物袋から食材を取り出していく。何やら卵が多い。

 「帰ってきたマモルのことを一番心配してたのはミヅキだったんだから」

 「そうだったんだ」

 「この狭い部屋に入りきらないくらいのお医者さんを呼んでね。医者の行列なんて初めて見たわ」

 「それは、ずいぶん心配かけたね」

 むしろ、何も知らない一般の人たちが一番心配してしまいそうな気がするが。

 「ありがとうミヅキ。おかげで助かったみたいだ」

 「いえ……」

 ミヅキの表情は晴れない。何か言いたそうに口を開こうとしては閉ざしている。

 だが決心したのか、マモルの前まで行くと頭を下げた。

 「ごめんなさいマモル先輩……! 私はあなたを見捨てて助かろうとしてしまいました。許されることではないと分かっています。でも……ごめんなさい……!」

 「……」

 ミヅキの突然の謝罪を聞いてマモルは思い出す。

 飛空船ペリペティアでのできごと。

 ティポスと戦い、船の外へ放り出したまではよかったが、油断したところを突かれ道連れにされてしまったのだ。

 ペリペティアはそのまま雲の結界を突き抜け、転移をしてしまった。

 ペリペティアを操縦していたのはミヅキだ。ずっと罪悪感を抱えてきたのだろう。

 「ミヅキ」

 マモルが呼び掛けるとミヅキの肩が震えた。だが、顔を上げることはしない。

 マモルの言葉を待っているように見えた。

 「ありがとう」

 「……え?」

 驚いた様子でミヅキは顔を上げる。その目は少し潤んでいた。

 「うん。やっぱりコレしか言えないよ。ありがとうミヅキ」

 「いえ……いえでも……なんで……?」

 狼狽えるミヅキだが、マモルは真っ直ぐにミヅキを見ながら微笑む。

 「そこまで思い詰めていたってことはずいぶんと葛藤があったんだと思う。ミヅキは頭が良いからね。リキヤだったらそんなに悩まなかったはずだ」

 「おい」

 頭をさすりながら起き上がるリキヤを無視してマモルは続ける。

 「あのどうしようもない場面で、僕の想いを汲んでくれて嬉しかったよ。ありがとうミヅキ――――って、さっきからお礼しか言ってないね」

 「マモル先輩……」

 「よかったわねミヅキ」

 シオリがミヅキの肩に手を乗せる。

 「……はいっ!」

 ミヅキの笑顔にシオリが満足すると、みんなをそれぞれ見回す。

 「さて、それじゃパパッと作っちゃいますか。ミヅキ、手伝って」

 「はい、お任せくださいシオリ先輩」

 「男共は部屋を片付けておきなさい」

 「「へーい」」

 それぞれが役割にしたがって動き出す。

 だが、その前に気になったことがあってマモルはシオリに声をかけた。

 「ちなみにシオリ、何作ってるの?」

 「オムライス」



 「ふーん、それは大冒険だったみたいね」

 「それはもう、ハラハラドキドキのね」

 シオリの作ったオムライスを食べながらマモルは今回のことを話し終える。

 ちなみにシオリのオムライスはふわとろのオムレツを開くタイプのもので、ソースにはシオリの父親であるおやっさんの『マスター特性秘伝の最強デミグラスソース』が使用されていた。

 店の外ではめったに味わうことのできないソースだが、シオリが無理を言ってお願いしたらしい。

 それほど気合いが入っていたということだ。

 「良いよなぁお前らは。俺もそんな極限のバトルがしてみたいもんだぜ」

 「こっちはそんなこと言える状況じゃあありませんでしたよ……」

 リキヤが羨ましそうに言うが、ミヅキはため息をこぼすばかりだ。

 「まあ、貴重な体験だったのは確かですが」

 「だろ? あーあ、良いなぁ」

 本気で羨ましいのだろう。

 昔と違ってケンカっ早くなくなったとはいえ、いつだってリキヤはその力を振るう場面を望んでいる節があった。

 「リキヤにはいずれ活躍の場が待ってるよ、きっと」

 「俺は今すぐにこの筋肉を躍動させたいんだよ」

 「……ねぇ、マモル?」

 リキヤの話に合わせていたマモルだったが、シオリが話しかけてきた。

 「どうしたのシオリ?」

 「帰ってきてからずっと気になっていたんだけど……」

 そう言って、シオリはマモルの左手を指差す。

 「いつまでその石、握ってるの?」

 「え?」

 そう言われてマモルは左手に意識を向ける。

 たしかにそこには石があった。

 大きさは野球ボールくらいだろうか。手で握るにはちょうどいいサイズで、色は濁った緑色をしていた。

 「……うわっ、何コレ!?」

 「え、今気づいたの?」

 たしかに指摘されなければ気がつかないような大きさではない。

 「そうだな。飯食ってる間も何度も皿にぶつけてカチャカチャいってたしな」

 「シュークリームの包装を開ける時もちょっと苦戦してるように見えましたよ」

 「き、気がつかなかった……」

 マモルは緑石をテーブルの真ん中に置いた。

 四人でまじまじと覗き込む。

 「なんか、あんまキレイな色じゃねぇな」

 「たしかに、宝石っていうよりはその原石みたいな感じみたいね」

 「うーん、なんでこんなの握っていたのかな」

 「実を言うとマモル先輩」

 それぞれ感想を述べているとミヅキがマモルの方を向いた。

 「この石はマモル先輩が帰ってきた時からずっと握っていたんですよ」

 「そうなの?」

 「はい。いろいろと精密検査しようとしたときに外そうとしたんですけど、マモル先輩、すごい力で握ってて、ぜんぜん手を開こうとしなかったんですよ」

 「ああ、俺も協力したがダメだった。いつの間にそんな握力をものにしやがって。後で握力勝負な」

 「いや、もちろんしないけど」

 リキヤの馬鹿力でも無理だったというならよっぽどなのだろう。

 「でも、記憶にないなぁ……」

 「ねぇ、コレってアレに似てない?」

 「気がつきましたかシオリ先輩」

 「え、何?」

 シオリとミヅキは何か思い当たるものがあるようだ。

 「マモル先輩。そもそも先輩はどうやって帰ってこれたと思いますか?」

 「どうやってって……」

 「今、私が知りうる方法の中で異世界間を転移できる方法は二つだけです。一つはティポスが行う『世界渡り』という方法。主にティポスだけが使用する黒いゲートを通る方法ですね」

 人の想造力(イメージ)を集めるティポスは異世界間を自由に転移できると言われている。

 先の話では、ジルエットやシューメスなどのティポスの力を有する者も使っていた。

 「そしてもう一つは『ライゼストーン』を使用する方法。世界の守護翼が支給している謎の石であるライゼストーンを使えば異世界へと転移できます。主に我々が使用する方法で、ココロさんも持っていますね」

 これはマモルも知っている。

 ライゼストーンはその世界の想造力(イメージ)を少しずつ貯めていき、最大まで貯まると転移の霧を発生させて、異世界へと転移できる物だ。

 転移先はあらかじめライゼストーンにマーキングして記憶させた場所かとこか別の異世界へのランダム転移と言われている。

 ただ、このランダムというのも行き先が不明なだけで、基本的にはティポスの力とライゼストーンが引き合っているかもしれないという。

 ティポスの力に引かれたライゼストーンが行き先を決めているので、転移先にはティポスがいるらしい。

 「じゃあこの石はライゼストーンなのかな。でも……」

 可能性があるのはやはりライゼストーンだろう。

 力を使った後のライゼストーンは光を失い、しばらくは使用不可になる。

 だが、マモルには腑に落ちないとこかがあった。

 「『色』ですね、マモル先輩」

 「うん。ココロの持っていたライゼストーンは『青色』だったんだ。色が違うっていうのが何か引っかかる」

 「色違いくらいあるんじゃないの?」

 「いえ、それがないんですよ」

 シオリの意見を否定しながらミヅキが説明する。

 「私も世界の守護翼に本登録して多少の情報を教えてもらえる立場になりました。その時にライゼストーンの資料も読みましたけど、ライゼストーンは一つの例外もなく青色でした」

 そう言うと、ミヅキは考え込むように手を口元に当てる。

 「ふーん、じゃあ結局は何か分かんないわけだ」

 リキヤが緑石に手を伸ばし眺める。

 「見た目も触った感じもただの石だけどな」

 そう言ってリキヤはシオリに手渡す。

 「そうね。磨けばキレイになりそうだけど」

 そして、マモルへと帰ってくる。

 「でも、たぶんコレのおかげでここに帰ってこれたと思うんだけどなぁ」

 マモルが持っても何も変化はおきない。

 緑石は冷たいままそこにあるだけだ。

 「……マモル先輩、その石、少しお借りしてもいいですか? 私の方でも詳しく調べてみたくて」

 「うん。いいよ」

 「ありがとうございます」

 マモルがミヅキへと緑石を手渡すと、ミヅキはしっかりと両手で受け取った。

 「まあ、とにかくマモルが無事に帰ってきてよかった」

 「俺は何も心配してなかったけどな」

 「まだ言うの? マモルにもあの話した方がいいかしらね」

 「おおっと、その必要はないぜ。代わりにシオリの話をだな――――」

 「それこそ話す必要はないわよ」

 いつものようなシオリとリキヤの話を聞いてマモルは安堵する。

 (ちゃんと帰ってこれたんだ……)

 帰ってこれた実感がようやく沸いて、笑っていると胸の奥がチクリと疼いた気がした。

 (……)

 気がつかないようにしていたが、マモルには気がかりが残されていた。

 それは――――

 「でもまあ、あとは早くココロにこの事を伝えてやれればいいんだけどな」

 「そうね、どうすればいいのかしらね」

 不穏な話が聞こえてきてマモルは考えるのを中断する。

 「え、どういうこと? ココロがどうかしたの?」

 マモルが問いかけると、三人共真剣な顔をする。

 先ほどまでの明るい雰囲気が嘘のようだ。

 「マモル」

 そして、口を開いたのはリキヤだ。

 「めちゃくちゃ良い話とめちゃくちゃ悪い話があるが、どっちから聞きたい?」

 「……じゃあ、滑らない話を」

 「そんな話はない!」

 「リキヤ、そんなに自分を卑下しなくても……」

 「いや違う。違うぞ! 俺の話がつまらないってことじゃない。今はたまたま面白い話を持ち合わせてなくてだな――――」

 「なんか、話が進まないですね……」

 「いつものことだから。ほら、マモルもちゃんとリキヤの話を聞いてあげなさい」

 「じゃあ、めちゃくちゃ良い方からお願い」

 「そうか……。そっちからか……。めちゃくちゃ良い話ってのは他でもない。マモル、お前が無事に帰ってきたことだ」

 「え、僕?」

 ずいぶんともったいつけるので何の話かと期待していたマモルは肩すかしだ。

 「そうだ。俺は何も心配してなかったとはいえ、友達(ダチ)が帰ってきたことは素直にめちゃくちゃ嬉しい。それだけだ」

 「そ、そう? 改まって言われるとなんだか照れちゃうね」

 なんだかソワソワする話だ。

 「じゃあ、めちゃくちゃ悪い話っていうのは?」

 「マーキングしてあった鏡が割れた」

 「……は?」

 あまりのことに理解が追いつかない。

 リキヤは端的にそれだけ言うと黙ってしまう。

 マーキングしてあった鏡が割れたということはつまるところ。

 「ここからは私が説明します」

 そう言ったのはミヅキだ。

 ミヅキは驚いたまま固まっているマモルに諭すように説明する。

 「ココロさんやファーネさんが今回の件を説明しにこちらの世界へ来たんですが、お二人が帰ってからしばらくしてマモル先輩が帰ってきたんです。気を失って衰弱もしているようだっんで、急いで医者の手配やシオリ先輩たちへの連絡をしました。そして、いろいろ落ち着いた段階で理科準備室へと戻ったら、鏡が割れてしまっていたんです」

 理科準備室にある鏡には、ココロがマーキングをしており、いつでも世界の守護翼へと連絡が取れる状態であった。

 というよりは、世界の守護翼に連絡を取れる物がその鏡しかないはずだ。

 「その鏡が割れたってことは……」

 「そうです。ライゼストーンを持たない私たちにとって、あの鏡だけが唯一の連絡ツールでした」

 連絡するための手段がない。

 ココロに無事を伝えることができない。

 「私たちは今、ココロさんに連絡を取れないどころか、このままでは二度とココロさんに会えないかもしれないという状況なんです」

 衝撃的な話にマモルは驚いているが、その心のどこかで安心している自分がいるような気もしていた。

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