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訓練を始めて一年後、ビュロは美桜を見て、眉を寄せていた。彼は腕を組んで唸る。
「よもや、これ程の逸材だったとは思わなかった」
「ありがとうございます、ビュロ様。ビュロ様のご指導のおかげです」
「いや、俺の力ではない……おまえは……化物だ」
美桜は笑みを浮かべる。
「俺に教えられる事はない。おまえならば完璧に、あの方を守れるだろう」
「ありがとうございます」
お辞儀をした後に、美桜はしかし一歩ビュロに進み出る。
「しかし、ビュロ様にお願いしたい事があるのです」
「なんだ」
「シメオン様を守る為に、魔法も使えるようになりたいのです」
するとビュロは眉を寄せる。
「魔法はそもそも適正が無ければ使えない力だぞ」
「心得ております。ですが、特性の有無もまだわかりません。一度、チャンスをいただけませんか?」
「むぅ……はぁ、良いだろう。俺の知り合いの魔道士に声をかけておく。検査をして貰え。それで才があるようならば、鍛えて貰えば良い。まぁ、魔法の修行となると……基礎技能だけでも数年はかかるだろうがな」
美桜は笑みを浮かべる。
「シメオン様の為に頑張ります」
美桜は笑みを浮かべて、軽い足取りで部屋を出た。彼を守るには、まだまだ力が足りない。もっと、多くの技能を修得しなければいけない。
つづく




