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 レオナルドは落ち込むカミロ王子を前に、居住まいを正す。

「その、女性の好みと言うのはいろいろありますから」

「俺はやはり男として魅力が無いのか……?」

 ずーんと更にカミロは落ち込む。

「いえ、そのような事は! カミロ様は大変魅力的なお方ですよ! 王子と言う高い身分でありながら、俺のような者にまで心を砕いてでくださる!!」

 ただ、親しみがありすぎて王族っぽくないと言う評価もカミロにはあった。その点、彼の兄のシメオン第二王子はどこからどう見ても非の打ち所の無い誇り高き王族だった。

「うぅ……何故、振り向いてくれないのだろうか」

 カミロは酒を片手に落ち込む。慣れない酒に手を出すほど彼は悩んでいるらしい。

「なぜでしょうね……」

 レオナルドは眉を寄せながら、カミロ王子の背中を撫でる。

「師匠は、なんと言うか、ぞっこんですからね。シメオン様に」

「うっ……うぅ……」

 カミロが泣き始める。

「だと言うのに、兄上はミオの思いを全く受け取る気がないんだ、かわいそうだと思わないか!」

「それは……そうですね……」

 美桜とシメオン王子はよく一緒にいる姿を見るのだが、あくまで主従関係らしく、男と女と言う匂いがしない。もちろんレオナルドも、そちら方面に詳しいわけではないので、あくまでだたの憶測である。

「報われなさすぎる……」

 レオナルドはついには、カミロを抱きしめて背を撫でて、なだめた。

「よしよし、カミロ王子はお優しいですからね」

(しかし、カミロ王子の初恋が実る事は無いのだろうなぁ)

 レオナルドは戦場でシメオンを全身全霊で助ける美桜の姿を何度も見て来た。あれ程の、忠誠を誓った相手を裏切るとは到底思えないのだった。レオナルド自身が、命をかけてカミロを一生守ると決めたように。



 第一九ステージは、変化する敵が出て来るステージである。練度の高い兵士と、大量に設置された魔法兵器によって、レッドゴブリン・レッドオオカミ・赤い毛玉・レッドゴースト・レッドスライムなどの雑魚敵は一掃された。レッドオークが数匹居たが、それらも精鋭部隊で難なく倒せた。

(よしよし、順調よ!!)

 危なげない勝利に、美桜はガッツポーズをする。



 今月も兵器開発部に予算を多めに振って貰って、兵器開発に尽力して貰った。

「ではまず、爆弾の性能アップからお願いします」

「はい、了解しました!」

 一週間後レベル四の爆弾が開発可能になった。

「素晴らしいです! では、次は『魔法剣』と『歩行妨害』の開発をお願いします!」

 一週間後、レベル四の『歩行妨害』の開発に成功した。

「ミ、ミオ殿! 実は、例のあの兵器の設計図を作ってみました!!」

 ムグレンが設計図を見せてくれる。美桜はそれを見て、目を見開く。

(『ロクス・プニャイ・ウェクシルム(戦場の旗)』だわ……!!)

 美桜は、どんな見た目の兵器なのかあえて説明しなかった。しかし彼らは、きちんと自力でそこにたどり着いた。

「こ、これは、いつ開発可能ですか」

「そ、それは……実はまだ、開発出来ないんです。私達に、技術が足りなくて……もっと、もっと時間があれば良いのですが……」

 ムグレンが悔しそうに言う。

「時間……と言うか、体力の前借りなら出来ますよ」

「体力の前借りですか?」

 美桜は鞄からドリンクを取り出す。

「これは、未来の自分から体力を前借りするドリンクです。これを飲めば、寝ずにずっと働けます。その代わり、指定した期日になると、その分の負担が来ます。一日、寝ているような状態になるでしょうね」

「それで構いません!! 飲ませてください!!」

「……わかりました。いつの自分から体力を借りますか」

「一年後でお願いします」

「では、そのように」

 瓶に魔法をかけて、期日を指定する。

「どうぞ。ドリンク一本で効果は一日です」

 ドリンクをどさっと、研究室の片隅に置く。

「ありがとうございます。これで、開発出来そうです」

 三週間後、彼は見事『ロクス・プニャイ・ウェクシルム(戦場の旗)』の開発に成功した。

「ついに! ついに! 出来ました!!」

 何日も洗っていない白衣を着た彼は、疲れた顔をしていたが、目はランランと輝いている。

「ありがとうございます。助かりました」

「け、けど。まだです! もっと、もっと性能アップをさせます! 待っていてください!!」

 ムグレンはドタドタと、美桜の部屋を出て行った。


 

 第二十ステージは、レッドゴーレム戦である。固いゴーレムは、レベル五の歩兵では相手に出来ない。しかし、『ロクス・プニャイ・ウェクシルム(戦場の旗)』の効果を受ける事で、わずかでもダメージを与えられる。

「みなさん、無理せず戦ってください。ゴーレムが突っ込んで来たら、すぐに散開してください!」

 美桜は自分の隊に声をかけながら、レッドゴーレムを倒す。仲間達は固い敵に、苦戦していた。おまけにゴーレムは、砕くと、小ゴーレムに分裂する。

「はっ!」

 素早い小ゴーレムを槍で一突きにする。耐久力の高いレッドゴーレムと、長い戦いが続いた。深追いはせず、地道にそれぞれの隊でダメージを与えてゴーレムを倒した。




つづく


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