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ゲートは一月に一回開き、その度に一種類の魔物達が攻めて来る。防衛に成功すれば、一ヶ月間使って身体を癒やし、ステータスを強化し次に備える事になる。面白い事を知ったのだが、強化の為に手に入る資金は国から贈られて来る報奨金+戦闘で得た魔物達の遺体を売って得たお金らしい。遺体を売ると言っても素材として使うと言うより、魔法石を得る為に使用する事がメインである。この世界の魔物と違って、ゲートを通ってやって来る魔物は、良質な魔法石に変換出来るらしい。
美桜は使用人用の個室で羊皮紙に字を書く。
『第一ステージ ゴブリン、第二ステージ狼、第三ステージ毛玉、第四ステージ幽霊、第五ステージスライム、第六ステージドラゴン、第七ステージオーク、第八ステージ変化する敵、第九ステージゴーレム、第十ステージ酸性スライム』
美桜は記憶を思い出しながら、これから戦って行く敵達を書き出す。実は『ケムプフェンエーレ』は、第一ステージ~第十ステージの敵キャラまでのグラフィックでほぼ全ての敵キャラのグラフィックが出揃ってしまう。後は色違いやサイズ違いでの差分となる。ネットでは「敵を複数作る制作費が無かったのだろう」と言われている。そして現在、シメオンが登場したステージは序盤の第七ステージである。なので次の戦闘では、第八ステージの『変化する敵』が現れるだろう。
「ふぅ」
美桜は更にこの先の敵達も書き出した。繰り返しプレイしただけあって、正確に書き出す事が出来た。
「二五ステージ……」
そこがシメオンの死ぬステージである。そこに行くまでに、なんとしても活路を見出さなければいけない。一応このメモは日本語で書いている。もしも紙を読まれた時に、答えるのがとても面倒だからだ。ここがゲームの世界で、この先の事を知っていると話したところで、みんな信じてはくれないだろう。
つづく




