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クエスト『坑道に湧き出たコボルドの一団を掃討せよ!』

アリサが前髪に身に付けている髪留め。

赤く黄金色に輝くそれは、俺が朝市でアリサの機嫌を直すため三つ編み髭のドワーフ親父の小間物屋で買って来たそれだった。身に付けてくれていることや、時折その髪留めを触っては笑顔を見せるアリサを見ると、どうやら気に入ってくれたらしい。


「アリサ」

「はい」


 笑顔がこぼれるアリサ。


「昨日はごめんな。恥ずかしいところを見せて。君の嫌がることを見せてしまった」

「いえ、良いんです。結局のところ、セネシェには助けてもらいましたから」


 朝日が眩しい。今朝のアリサはいつも以上に元気に見えた。




 ◇ ◇ ◇




 ……パラパラ……。

壁面や天井から埃が落ちる。坑道が雄叫びに揺れていた。鉱夫に死者や怪我人が続出したらしい。

犬、犬臭い坑道だ。坑道で湧き出したコボルドの集団。今回の依頼はこのコボルドの掃討だった。



「食らえ<<電撃(ライトニングボルト)>>!」


俺の突き出した剣先から飛び出した紫電の雷光は、先頭のコボルドから順に後続の者まで一撃で貫き爆ぜる。

それでも並み居るコボルドの物量には恐れ入る。仲間の死を乗り越えてやって来る犬のような頭を持った一段は必死でこちらに向ってきていた。


まぁ単純に、この先が袋小路で逃げ場がないのかもしれないが。


「もう一撃<<電撃(ライトニングボルト)>>!」


俺の魔法が必死の形相をした涙目の犬っころを次々となぎ倒す。弾ける肉塊、伝わるオゾン臭。土煙の中から現れたのは、一際立派な体躯を持つコボルドリーダー。獲物の山刀が凶悪だ。片目のそいつは、歴戦の雄姿を思わせた。


「まだです、第三波が来ます!」


 アリサの叫びに、俺は三度電光で応えた。


「うぜぇんだよ<<電撃(ライトニングボルト)>>!」


コボルドリーダーの最後の取り巻き……詰まるところの親衛隊も続けざまに青い稲妻に打たれて次々と沈む。

 ぇ? 俺のMP(マジックポイント)? 心配してくれてありがとう。レベル的にはそろそろMPの上限は頭打ちだろうが、魔法が切れたところで全然余裕なんだ。チートステータスとはいえやっぱりそこはレベル2。無理の出来ないお年頃です。はい。


「Grooooooooooooooooo!」


 <<雄叫(ウォークライ)び>>って奴だろうか。コボルドリーダーは戦技と思しきそれを使うと、赤い一つ目で俺を睨みつけるや俺目掛けて突貫してくる。まさに血走った目をしてるのだろう。

 だけどさ? 恨むなら逃げ場を無くした自分の愚かさを恨んで欲しいんだ。


山刀の軌跡が見える。ガシィ、と楯で受け流すや俺はロングソードをコボルドリーダーの胸当ての継ぎ目、予想通りなら胸の急所に打ち込んだ。肉を穿つ感触。飛び散る血潮が俺の顔に散りかかる。


「セネシェ! <<(フォース)よ>>!」


 ──やったか? などと俺が油断する間も無く、コボルドリーダーの頭部が弾け飛ぶ。アリサが<<気弾(フォース)>>で止めを刺してくれていたのだ。ただ石榴(ざくろ)のように割れたコボルドの頭部のせいで、俺は血まみれになる羽目に。まぁ良いけれど。


 崩れ落ちるコボルドリーダー。こうして今日の戦いは終った。


「大丈夫ですかセネシェ」

「ああ、助かったよ。ナイスだアリサ」

「良かった……。私、もうセネシェのことが心配で……私……」


 どうしてそこで涙ぐむかなぁ……勝ったのだから、それで良いじゃないか。今は勝利の喜びを噛み締めようよ?


 な? アリサ?

登場人物紹介

セネシェ  Hum-N-Sam 肉体年齢15歳 男性 ソードマスターLv.2

アリサ   Hum-G-Pri 肉体年齢15歳 女性 ハイプリーステスLv.2

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