ミッション『魔王の尖兵を倒せ!』
俺の放った<<火球>>から生き延びた奴が居た。さすが魔王軍。しぶとい。その相手はオークと呼ばれる生き物だ。豚の顔をした亜人間だ。黒の武装で統一されている。統率の取れた集団と見るべきなのだろう。
「これが魔王の脅威か……あれが魔王の手下ども……」
エルフのネルラス。彼女は優秀な射手でもあった。
今まさに魔王の軍機を翻す彼、そのオークを長弓に一撃で屠ったのだから。
◇ ◇ ◇
話は少し前に遡る。
「アレは斥候。……と云うより、オークが良くやる度胸試しの遊び、賭け事の一貫さ。生きて戻れるかを仲間内で賭け合っているんだよ。たいした事は無いと思うよ? もし魔王が本気なら、凄まじい大群を引き連れた上に、攻城兵器を持ってくるはずだからね。それにドラゴンも出てくると思う。だからアレは統制が取れているように見えるけど捨て駒。烏合の衆さ。魔王軍も一枚岩ではない、と言う事かもしれないね。それに自分達が付け入る隙も、そこにある」
ネルラスは微笑みつつ俺に背中を向ける。
「魔王軍か。ここは最前線なんだな」
「そうですね」
アリサも俺と同じ意見を持っていたらしい。
「セネシェ、どうします?」
「そうなのです! セネシェはどうするのです?」
アリサの呟きとユーノ突っ込みに、ネルラスの蒼髪が揺れた。
「と、言うよりは近くに魔王軍の拠点があるのだろう。きっと弱い連中からそこそこ強い連中まで一通り揃っているのだと思うよ? 自分はこの街が長いからね。そのあたりの話は詳しいよ?」
魔王軍の拠点! ついに魔王の軍勢と……良いね良いね、魔王軍って響きが中ニっつぽくて良い。だけど強そうなんだよな……。俺の力、通用するのかな。
「ただ、この近くのオークの小隊以上の戦力は無いだろうね。本気ではないと思う。だから今から行って駆逐しよう。そして王様から懸賞金をせしめるんだ」
ネルラスの目が輝く。こいつ、こう見えて結構武闘派だったのか?
◇ ◇ ◇
<<火球>>の効果がいまいちだった。俺は隣のアリサに声をかける。
「皆に防御魔法を。あのオークども、戦慣れしてる」
「ですね。<<防楯>>!」
早速アリサの魔法が発動する。早速俺や皆の体が一瞬だけ輝いた。
「ありがとうアリサ。それじゃ、行って来る!」
「お気をつけて!」
アリサの微笑み。
「ネルラス、アリサの護衛を頼む」
「任せてくれ」
エルフは微笑んだ。
「ユーノも行くのです!」
ドワーフも短い足で駆け出した。
「おら行くぞ! 死んで経験値になれ!」
ネルラスは腕前だけでなく、戦況の読みも一流だった。俺やユーノに構うオークどもを、効果的に弓で排除してくれる。それに、治癒魔法に徹するアリサに敵を寄せ付けない。良くやるぜ、あのエルフ女。仲間にして良かった。その時は、そう思ったんだ。
◇ ◇ ◇
「ぷはー。今日もエールが美味しいのです! 仕事の後の一杯は格別なのです!」
「ユーノ、その意見には自分も賛成だ。仕事の後の一杯ほど美味い酒は無い」
ドワーフッ娘とエルフ娘が無理に肩を組んで乾杯を繰り返している。報奨金。それは今日も、酒代に消えてゆく。
「セネシェ、後で予算の事でお話が」
ぎくり。ぎこちなく動かした俺の頭。そしてその視界に移る者。気のせいか、アリサの目は冷たく見えた。
登場人物紹介
セネシェ Hum-N-Sam 肉体年齢15歳 男性 ソードマスターLv.3
アリサ Hum-G-Pri 肉体年齢15歳 女性 ハイプリーステスLv.3
ユーノ Dwa-G-Fig 年齢不詳 女性 ウォーリアLv.4
ネルラス Elf-N-Bar 年齢不詳 女性 バードLv.4




