白夜の流星
雲一つ無い空は
時間が止まっているようで
上空を泳ぐ人魚が手を振って
その美しさに僕は溺れている
動かない体は
鼓動だけを手がかりに
呼吸は続いているけれど
視界は遠くなっていく
白く染まった世界の中心
輝かない星を思い浮かべる
幻で構わない
どうかこの美しさのまま
僕を包み込んで
どこかに連れて行ってくれ
空模様に変化は
暗闇の中で問いかける
浮遊する錯覚を抱いて
僕はどこまでも溺れていく
白く染まった世界の中心
輝かない星は回り続ける
閉じられた視界の中で
海に降る雪のように
ひらひらりと舞うそれは
白夜の流星だ
幻で構わない
どうかこの美しさのまま
僕を包み込んで
どこかに連れて行ってくれ
上空の人魚よ
どうかその美しさのまま
僕の鼓動が終わるまで
この世界を見守っていてくれ
読んでいただき、ありがとうございました。