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肉染みで人を殺せたら良いのに

 

 「なるほど……催眠術か、ヤベーな!」

 「……あ、はい。そうですね」

 

 シルバーチェーンをじゃらじゃら鳴らしながら、俺の前を歩くチャラ男は……ヤマダ先輩だ。

 

 どうやら体質的に催眠術に掛かりにくかったらしく、騒ぎが起きてから逃げまわってたそうだ。

 

 とりあえず自衛にと、落ちてた金属バットを拾ったところ……風紀委員に見つかり、違反者認定されたらしい。

 

 また、どうしてオレを知ってたかと言うと、どうやら季節外れの転校生って事で、オレは密かに有名だったそうだ。……マジか!?

 

 もっとも、美人の転校生というデマに踊らされ落胆した経験があったからが正直なとこだと思うが……言うまい。

 

 なんにせよ、頼れるかもしれない可能性が微粒子ほどある仲間が出来たのは、心強い気がする。


 

 ―――いざという時の盾が増えたなんて思ってないよ?


 

 「……でさぁ、俺っちは思うわけよ? 可愛い可愛い女どもを守んなきゃって、さぁ!」

 「はい、そうですね」

 

 「……そこで俺っちは言ったのよ! 銃を向けられる度に5セントもらっていたら、今頃大金持ちだぜ? ……と、なぁ!!」

 「はい、そうですね」


 たぶん、校門を塞いでいた風紀委員と同じように、虚ろな目で機械的に受け答えするオレの様子に気づくこともなく、ヤマダ先輩はしゃべり続けている。

 

 さすがに配慮しているのか、小声ではあるが……それでも口をつぐもうとしないのは、軽口を叩いていないと不安だからかもしれない。

 

 ―――いや、ないな。こりゃ素だわ。

 

 まあ、先輩の戯言はともかく、一つ。重要な事が分かった。

 

 それは、違反者=常人だという図式だ。

 

 考えてみれば、認識が狂わされ行動が制限されている以上、ルールに反する行いを選ぶ事は有り得ない。

 だとすると、ルール違反出来る=行動がを制限されていない=認識は狂わされていない……と、言った公式が成り立つわけだ。

 

 つまり、先の放送で上げられた7人の生徒は催眠の影響下にない。数少ない、正常な判断を下せる人物だと言える。

 

 ならば合流して、互いに協力しあうのが正しいように思えるが……それは早計だろう。

 

 「……ってな事があってよ? いやー笑った笑った! そう思うだろぉ?」

 「はい、そうですね」


 正常だからと言っても……イコール、信頼できるとは怪しい実例が、目の前に居る。

 

 とりあえず敵対する要素はないが……味方としては頼りなく思える。

 

 肩がけに持つ金属バットを、話の流れで時折構えるが……腰が入って無く、振り回すと言うより、振り舞わされている感じだ。

 

 性格面でも信用は出来ない。チャラそうな雰囲気もあるが……なんというか軽薄すぎて、アテにしたら裏切られそうだ。

 

 「……らしくてな? いやーまいったまいった! ……おい、誰か居るぞ」

 「はい、そうで……え?!」

 

 おっと、先輩の警告を雑音BGMとして聞き流すところだった。

 

 先行くヤマダ先輩の視線を追って見ると、資料室前に数人の生徒が集まっていた。

 彼らが揃ってつけている腕章には風紀と書かれている。

 

 「失望したぞ……委員の面汚しが!」

 「手間かけさせやがって……」

 「ほら、入れ!」

 

 「……ぐぅ、おまえら……自分たちが何をしてるか…分かって……ガッ!?」

 

 「よし、閉じ込めておけ!」

 

 どうやら誰か捕まったようだ。

 

 顔を腫らした眼鏡の生徒を、3人がかりで資料室に押し込み閉じ込めたようだ。

 

 そのまま様子を伺っていると、一人を見張りに残しバラけて行った。

 

 別れた内3人がこっちに来たので、慌てて物陰に隠れやり過ごした。

 

 「ベッー! やっべー! マジかよ?! アレってシノハラだろ?」

 「……知り合い?」

 

 「そう、俺っちのクラスの委員長で風紀委員の副長様。何かと口やかましく、ウザったい奴だったが……」

 

 真面目系委員長と、チャラ男。聞く限りでは水と油っぽいが……。

 

 「それでもあんな目にあって良いやつじゃない……助けるぞ!」

 「………え!?」

 

 「……あ? 何驚いてるんだ?」

 「あ……えと、いや、はい! 分かりました!!」

 

 正直意外だった。まさか助けようとするとは思わなかった。

 

 ……見張りをやり過ごし、どうやって放送室にたどり着くか? ……それしか考えてなかったオレが、恥ずかしくなってきた。

 

 見かけと態度で判断して切り捨ててたが……案外、頼りになるのかもしれない。

 

 「……と、いうわけでガンバレ! アズっち!!」

 「はい! わかり…………は!?」

 

 「いやー俺っち喧嘩弱くてさぁ……上手く行ったら女紹介してやるから、ガンバレよ!!」

 

 ―――前言撤回。だめだこりゃ……。

 

 

 ―――

 ――

 ―

 

 「まさかお前に助けられるとは……不覚」

 「はっはっは! シノッち! 涙拭けよ、ほら!」

 

 「泣いてなどいない! それにハンカチくらい持っている!!」

 「うんうん、そうだよねぇ 心の汗ってやつ? かっけー!」

 

 「……ぐぬぬ」

 「……ニヤニヤ」


 「……なんだこれ?」

 

 食欲魔神がオレのことをリア充と罵ったが、それを言うならこいつらだろ……。

 

 シノハラ先輩は、黒髪ポニテの眼鏡っ娘。

 服は汚れ、身体のアチコチにアザがあり、眼鏡も片方割れたみすぼらしい姿だが……。

 

 ―――それでも、美人だ。

 

 実際に助けたのはオレなんだが……ガン無視で、二人でワイワイと仲良く話し合っている。

 

 口喧嘩してるようだが……雰囲気は軽く、険悪な要素はない。

 

 なんというリア充……爆発しちまえ!!

 

 あ……そういや、スズハラ大丈夫かな? おっさんと二人っきりは気まずいんじゃないか? おっさんがロリコンだったらヤバイけど、そんな感じは無かったから平気だろう。あーでも、やっぱ不安だろうし……。

 

 二人が争いながらも楽しそうに先を歩き始めたのを後目にオレは、窓の外。

 金網に手をかけたところを蹴飛ばされ、屋上から叩き落とされてるワンゲル部員を、どこか遠い世界の出来事のように俯瞰しながら、しばし現実逃避をしていた。

 


 眼鏡っ娘の登場

 だが、チャラ男付だ。


 ホラーで、カップルの役割は……(ゲス顔


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