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じゃあ プランBでいこう プランBはなんだ?


 「チッ……ダメだ繋がらない」

 「……と言うか、私のスマホも圏外だよ……」

 

 「校舎内のアンテナが壊されたか……妨害電波でも出してるんだろうな……」

 

 携帯を閉じてオレはため息を吐く。

 アレからすぐに警察に通報することに思い当たったオレたちは、手持ちの携帯で110番したのだが……結果はごらんおとおりだ。

 

 そりゃそうだ、今どき携帯くらい持っていて当たり前だ。その対策くらいしてるだろ……。

 

 つか、スズハラはスマホか! う、羨ましくなんか無いぜ?

 

 いや、そんな事はどうでも良い。

 

 「頭の具合はどうだ?」

 「……血は止まったけど、大きなコブが出来てるみたい」

 

 「すまん。本当なら保健室に連れて行きたいところだが……」

 「ダメなの?」

 

 「ダメだな。

  ……十中八九。待ち伏せされてる」

 

 負傷者の治療は保健室でしか出来無い。

 逆に言えば、保健室には負傷者しか用はない。

 

 つまり、保健室で待ち構えれば……死にぞこないを狩り放題って理由だ……。

 

 「それじゃ……これからどうするの?」

 

 どうする……か?

 

 選択肢は三つ。

 

 1:帰宅部として、普通に参戦する。

 2:学校からなんとか脱出して通報する。

 3:黒幕を探しだして止める。

 

 1は却下だ。何が悲しくて殺し合いなんぞやらねばならんのか? って話だ。

 

 3はロマンだが……成功率が低すぎる。

 

 現在起きてる事態が、人為的なものか? オカルト的なものか? それすら分かってない現状で……何が出来る?

 

 残るは2だが……ちらりとスズハラを見る。

 顔立ちは普通より良い方で、体格はちんまい。髪型はポニテで活発そうな印象ではあるが……オレの記憶が確かなら、彼女は運動音痴だ。

 

 腕力も素早さも、身体能力は全く期待できない上に、怪我人だ。激しい運動は厳しいと云わざるを得ない。



 脱出路に当てはある……校舎横の敷地を被った塀を乗り越えれば良い。

 

 塀の高さは3メートル強。素で登るのは難しいが……机や椅子なんかの、踏み台になるものを用意すれば十分超えれるはずだ。

 

 だが問題は……その後だ。

 

 塀の向こうは山だ。傾斜有りの森林で……藪だらけで道なんて無い。

 

 正門と裏門から行ける通学路以外に普通に通れそうな道はない。

 

 オレ一人なら……道無き道でも麓まで降りることは可能だろう。

 だが、それはスズハラを置いていく……見捨てることになる……。

 

 「……いいよ。一人で逃げて

  私が居たら……足手まといだよね……」

 

 顔色を読まれたのか、オレが口を開く前に、スズハラはそう言った。

 

 「本当に良いのか?

  上手くオレが麓たどり着いて、無事に通報できたとしても、終了までに救急車や警察が助けに来れる可能性は……」

 

 「………いいから、行って」

 

 目を潤ませて、明らかに無理しているが……それでもオレに助けてとは言わない。

 怪我させたことへの恨み事も言わない

 

 「判った……そこで待っててくれ」

 

 「……うん」

 

 だったら、オレがすべきことは決まってる。

 

 人気が無いのを確認しつつ、音を立てないように部屋から抜け出す。

 

 そして、近くの教室に入り……ロッカーからモップを取り出して、先に付いている金具を外してただの棒にする。

 

 これで、リーチの長い武器が手に入った。

 

 さあ、コレなら囲まれない限りなんとかなるだろう……。

 窓際に移動して、カーテン越しに外の様子を伺うと、校舎裏に居た野球部の連中がこっちの校舎に向かってるのが見えた。

 

 拙いな……ぐずぐずしてたら見つかっちまう。急がないと……。

 

 深く深呼吸をして……オレは覚悟を決めると…………スズハラの隠れている部屋に戻った。

 

 「……え? ど、どうしたの!? 忘れ物?」

 

 そして、案の定泣いていたスズハラの背中に向かって言葉を返す。

 

 「ああ、大事な荷物を忘れてた」

 

 スズハラの手を取って向き合い、立ち上がらせる。

 

 「え?」

 

 「さ、いくぞ!」

 

 ぶっちゃけた話。助ける義理はない。

 だからもしも、彼女がオレを当てにして、助けて当然みたいな態度を取っていたら逆に見捨てただろう……。

 

 「え、え? で、でも私は……」

  

 「野球部の連中がこっちに来てるみたいだ。ここから離れないとすぐに見つかるぞ?

 

  ………それに、オレは卑怯者には成りたくない。

  

  さあ、いこう!」

  

 だが……こんな健気な態度を取られたら……見捨てれるわけねーだろ?

  

 「……うん」

 

 取った手を強く握り返した彼女は、小さく―――と、呟やき涙を拭った。


 

 さあて、これで彼女が……計画通り(ニヤリ とかしてたら絶望するが、それはありえんから良い。

 こうなったら、4番めの選択肢……“時間まで逃げ切る!”……しかないッ!

 

 なんとか全力全開で、二人で逃げ切ってやるぜッ!!

 

 矢でも鉄砲でも、どんと来いやー!

 

 勢いに任せて、それでも静かにドアを開くと……目の前に誰か居た。

 

 ニヤリと口角を歪ませ笑う、ヌンチャクを持った男子生徒と目が合ったのだった。

 

 おっけー! ……やっぱ来んな!!

 

 小山の中腹にある学校って設定です。

 麓まで行かなくても、学校の周りに民家が何件かありますが、主人公はソレを知りません。


 主人公は、ごちゃごちゃ考える割には、何処か抜けた天然タイプの人間ですが何か?



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