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気まぐれ異世界遊戯  作者: yoshi
第二章 ならず者集団ミスティア連合と生意気な少年
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市場での騒動

フィアー先生の解雇騒動は無事解雇取り消しという形で治まり、代わりに副理事長が解雇されることで決着がついた。学園内にも平和が戻り、今、魔法大学ではエルドォワ祭りと合同で開催される魔法大学文化祭への準備に向けて、慌ただしく動いている。


「ねぇカルロス、この記事これでいいのかしら?」


「いや、ここは図を挿入して、概要説明を一言加えた方がよくねぇか?」


「ちょっとランシア、そのマンゴープリン、私のでしょ?」


「いいじゃない、別に。あなたのものは私のもの。私のものは私のものよ。」


「ひっどーい。じゃ、こっちのティラミス食べちゃおっと。」


「あ、だめよ。ニーナ。そのティラミスは私が大事に育てたティラミスなんだから。」


「どうやって、ティラミスを育てるのよ?まったく・・」


我がミス研では、カシワの元居た世界についての特集記事を組むべく、皆が一丸と・・なってはいないが、まぁなんだかんだで各自の仕事に取り組んでいた。


「なぁそういえば、うちで出すのってこの特集記事だけか?正直これだけじゃ、あんまり売れ行きが伸びるとは思えないんだが、この文化祭での売り上げって各部活の部費の獲得にもつながるんだろ?」


「そうね。売り上げ純利益の30%を大学側に収める形で運営されてるから、70%分が部費につながるってわけ。正直ミス研の部費は今相当ヤバいわね。この前のルナの店での騒動だって、店主兼オーナーのルナさんのおかげで、割れたグラス代とかランシアのメイク代、レンタル衣装代はチャラにしてもらったんだけど。あ、そういえば、ランシア、あなた騒動の後もちゃっかりルナの店でいくらか稼いでたでしょ?部費にまわしなさいよ。」


「なんで私が働いた分まで部費にまわさなきゃいけないのよ?やーよ、だいたいフィアー先生の事件を解決したのだって、実質私のおかげなんだから、逆に報酬もらいたいくらいだわ。」


「あなたね・・まぁ確かに、フィアー先生の件では段取りから各自の台詞回しまで、あなたの計画通りだったけどさ。でも証拠はなかったんだから、副理事長達が馬鹿な暴力にはしって、自滅してくれなきゃ、逆にこっちが反論うけてたかもしれないのよ?」


「あいつらが暴力沙汰をおこすように仕向けるところまで、私の作戦のうちに入ってたにきまってんじゃん!まったく、これだから、凡人は・・」


まぁなんだかんだいって、フィアー先生の件が解決したのはランシアの作戦が見事にはまってくれたからなのは確かだ。そういえば、もう一人の功労者、ミワ姉はどうしたんだ?さっきからおとなしいが・・あ、コーヒーフロートにハチミツかけて遊んでやがる。あれ、そうとう甘いぞ?胃もたれとかしないのか?


「なぁ、それで結局文化祭の出し物はどうなったんだ?部費がやばいんなら、他にも出品するもの考えた方がいいんじゃないか?」


リッチマンが至極真っ当な意見を述べる。おそらく彼はこの中じゃ、一番の常識人ではないだろうか?皆個性が強いやつばっかだから、リッチマンのような存在は不可欠だ。ミス研の影の功労者かもしれない。


「そうね、カシワの働いている店ではエルドォワ祭りでオムライスとシュークリームだすのよね。私たちもやっぱり食品関係だしましょっか?」


「リアは何かいい考えとかある?なんかこう、販売して30分で完売するようなやつ提案してよ。」


「無茶言わないでよ・・食品関係もいいけど、文化祭らしくお化け屋敷とか、なんかイベントものやったらどう?」


「じゃあ、メイド喫茶でリアがうさ耳つけるってことでいいかしら?」


「なんでそうなるのよ?嫌よ。変な男が寄ってきてカシワに迷惑かけちゃうかもしれないし。ねぇ、カシワは何かいい案ないの?」


文化祭での出し物か・・それなりに売り上げが見込めて、出来れば準備もそれほど面倒くさくないやつ。まぁ、準備はこの際多少なら手間がかかってもいいか。皆でわいわいやりながら準備するのは、意外に楽しいしな。なんか考えてたら、腹へってきた。久しぶりに焼き鳥が食いたい。あ、焼き鳥とか出し物にもいいんじゃないか?


「焼き鳥とかはどうかな?手軽に食べれるし、祭りだったら定番メニューだろ?」


「焼き鳥ってなに?カシワのいた世界の食べ物なの?」


そうか。ミスティアの世界じゃ焼き鳥は売ってなかったのか。そういえば、こっちの世界に来てから一度も食べたことがなかったな。


「串に鶏肉をさして焼いて食べるんだ。タレをつけてもいいし、塩をつけても旨いよ。持ち歩きながらでも食えるから、文化祭を見回りながら食うことが出来る。それに麦酒との相性が抜群なんだ。」


「へぇ。おいしそうね。いいんじゃない?私も食べてみたい。じゃあ、焼き鳥にしましょっか?」


「麦酒もつけられれば、最高なんだけどな。魔法大学の構内じゃ酒は販売できないか。」


「うちの文化祭は酒も販売可能だよ?っていうか、それが普通じゃないの?」


なんと。普通の街の祭りならともかく構内の文化祭で酒が販売可能とは。だったら、リアと一緒に飲みながら文化祭を見回るのもいいかもな。いやだめだ。俺未成年だし。でもこっちの世界の法律というか決まり事だったら俺の年でも飲んでOKなんだよな。まぁ飲まないけどさ。


「じゃあ、文化祭での追加の出し物として焼き鳥と麦酒のセット販売もメニューに加えるか。とりあえずリハーサルってことで一回作ってみるか?鶏肉と串買ってくればいいんだよな?」


「焼く場所はどうするんだよ?それとタレと塩も必要だぞ。権兵衛行ったときにでも、ちょっと1回作ってもらうってのもありだけど。」


後できれば炭火も欲しいがこちらの世界では、入手は無理だろう。だが、この世界では代わりに魔法が使える。幸い俺は火属性魔法を学んでいるため、強い火力を持つ火なども割と用意に作り出すことが出来る。魔法って便利だな。元居た世界の電化製品代わりにもなるしな。あと、調味料はどうするか。レモンやゆずを絞って食べるというのも悪くないが、ミスティアの世界でレモンやゆずの代わりになるような柑橘類ってなにかあっただろうか。ま、とりあえず市場行って、適当なのがないか探してこよう。どうせならリアと一緒に行くか。


「じゃあ、とりあえず俺とリアで市場いって鶏肉と後、適当な材料ないか見てくるよ。リア、いいか?」


「もちろん。私も頑張っていい材料見繕うね。えへへ、カシワと一緒にお買い物。嬉しいな。」


リアは笑顔を浮かべ、俺の腕に自分の腕を絡ませてくる。


「はいはい。そういうのは私たちが見てないときにやりましょうね。じゃ、焼き鳥の方はカシワとリアに任せて、私たちはカシワのいた異世界の特集記事、まとめに入りましょう。もうだいたい書く内容はカシワに聞いたから、後は編集するだけだけど、最後にチェック宜しくね。」


「OK。じゃ、いってきます。リア、行こっか。」


市場は想像以上に人混みであふれていた。祭りの準備で皆、それぞれの材料を大量に買い占めている。やっぱ、祭りの経済効果ってすごいんだな。


「大丈夫か、リア。はぐれないようにな。」


「うん、平気。でも心配なら、その、手をつなぐ?」


全然問題ない。むしろ大歓迎だ。俺は即答でうなずき、リアと手をつないで市場を見回ることにした。リアと一緒に材料を吟味していると、全速力で走っていると思われる半袖、半ズボンにぼろぼろの帽子をかぶった少年がぶつかってきた。


「いってーな。どこみてんだよ?気をつけろよな。」


「ちょっと君、人にぶつかっておいてそれはないでしょ?だいたい、こんな人混みの中で走ったらダメよ。ちゃんと謝りなさい。」


俺が文句を言う前に、リアが先に少年に注意した。


「うるせー、ぼぉっとつったってた、お前らが悪いんだろ。ほら、チップ代わりだ。」


そういって、少年はリアの胸を揉む。リアが怒って少年にビンタを食らわしたが、巧みによけて、少年は逃げていった。


「もう、なんなのよ。せっかくカシワと一緒でいい気分だったのに、台無し。だいたい、カシワもなんで黙ってるのよ?私、胸を揉まれたのよ?」


「いや、胸のことはともかくとして、少年の服の間から見えた痣が・・」


「ともかくとしない!」


「いやまぁ聞けって。服の合間からちらっと見えただけなんだけど、少年の体のあちこちに痣があったんだ。気づいたか?顔や手とか膝とか目に見える位置には傷一つないのに、偶然じゃないと見えないような服の合間に痣がある。なんか変じゃないか?」


「どういうこと?転んだとかじゃなくて誰かに意図的に傷つけられてるってわけ?」


「喧嘩とかだったら、顔とか手の方が傷つきそうなもんだけど、そっちは無傷だったしね。まだ、なんとも言えないけど、なんかちょっと気になってさ。ごめんな、リアの心配する方が先なのに、変なこと言って。」


「ううん、それはもういいの。見えづらい位置にある体の痣か・・確かにちょっと気にはなるわね。」


リアと話していると、頭にはちまきを巻いたガタイのいいおっちゃんが、俺らの方に走ってきた。


「おい、おまえら、さっき少年にぶつかっただろ。財布とられなかったか?」


俺は胸ポケットを探ってみる。無い。元々大した額が入ってたわけじゃないが、確かにポケットに入れたはずの財布が無くなっていた。


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