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願い星  作者: 松竹梅
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第三話:天使の話

あれから数日経ったが相変わらず天使は側にいる。

生憎俺以外の人間には天使は見えないらしく、俺だけがウザイ天使に追い掛けまわされて困っている。

「も〜、いきなり走り出さないでよ〜」

「お前が追い掛けてくるからだろ!」

「私の仕事だからしょうがないでしょ〜」

「また観光してくれば良いじゃないか」

「だから、死神さんに怒られたからもうずっとあなたに着いてなきゃ私はクビになっちゃうんだよ〜」

いくら走っても後ろから天使が走って着いてくる。ウザイ。てか、天使なら飛べよ。飛べないのか?そもそも天使が飛ぶなんて俺の勝手な思い込みか。

「なんでそんなにしつこいんだ?」

「しょうがないよ〜。この仕事をちゃんとこなさないと私正式な天使になれないんだから」

「正式な天使ってなんだ?」

「う〜ん、あんまりよくわかんないけど正式な天使になれば将来安泰らしいよ〜」

「まあ公務員みたいなもんか?」

「コームイン?」

「まあ、いいよ。お前の仕事はどこまでなんだ?」

「私はあなたが願い星をいつどのように使うか監視してその結果を死神さんに伝えるだけ。他はわかんないよ〜」

「じゃあこの前言った許された命ってなんだ?」

「そんなこと言ったっけ?」

「とぼけやがって。死神は俺を使って何をさせたいんだ?」

「も〜質問ばっかだね。だから私にはわかんないよ〜。」

天使にいろいろと聞いてみたがどうやら本当に他には何も知らないらしい。

こうして天使との日々がしばらく続いたが相変わらず俺は何を願うのか、願い星を使うかも決まらなかった。

1つしか叶わない願い事…何を願えば良いのか?本当に願いは叶うのか?

そんなことを考えながら家でウトウトしていると父親が帰ってきた。

「おう、帰ってたのか」

「あっ、父さん今日は珍しく早いんだね」

「ああ、仕事が早く片付いたからな」

俺の父親はいつも帰りが遅い。だから一緒に食事をするのはごくまれなことだ。妹は相変わらずまだ友達と遊びに行ったきり帰ってきてなかったが、久々に父親と食事を一緒にした。

「せっかくお父さん早く帰ってきたのに不良の妹は空気読めないね〜」

天使がつぶやくが、俺は無視した。

「ねえ、父さん。何か1つ願い事が叶うなら何を願う?」

「あんた、いつかもそんなこと私に聞いてきたわねぇ。学校の宿題?」

「いや、そんなわけじゃないけど…」

「願い事かぁ…父さんはお前達の幸せだな」

…まあ一家の主としては合格と言われる答えだろうが、何とも面白みの無い答えだ。

「本当にそれで良いの?」

「良いに決まってるじゃないか。それにしても今日の飯はうまいなぁ。母さん」

「あら、そう?嬉しいわ」

お気楽な両親だ。まあこんな二人だからこそ俺の今があるんだろうが。

「良いご両親だね〜。初めてキミの家族って感じのとこを見た気がするよ〜」

「そうか?」

少し恥ずかしかったが、良い両親だと言うところに異論は無い。

「あの二人のためにもキミ死ななくて良かったね〜」

確かに。病院で目が覚めた時の二人の表情や今日の食卓を思い出しても、二人を悲しませるのはよろしくはないな。

「なあ、天使さん?」

「はぁい?初めてキミから声かけてくれたね?」

「俺はもう死ななくても良いのか?」

「……」

「どうなんだ?」

「わかんない…」

「わかんない?わからないってどうゆうことだ?」

「前にも友達の天使が同じような仕事をしたけどその時監視してた人はしばらくしてまた死んじゃったよ」

「!!!!じゃあ俺も死ぬかもしれないのか?」

俺は天使の方に詰め寄って行った。

「だから〜、わかんないって。他の友達でも監視してた人が死ななかったってこともあったし」

「じゃあどうしたら生きられるかわからないのか?」

「…うん」

なんてこった。許された命ってのは生きることが許されたわけじゃなくて生きる資格があるか判断されることが許された、その命のことじゃないのか?もしそうだとしたらこの願い星の意味はなんなんだ?俺は今度こそわけがわからなくなった。

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