始まり
それは不意に俺のものになった。
「願い星」
…世に言う流れ星だがこの願い星は一度だけ自分の願いを叶えたいときに流すことが出来る不思議な星である。
何故そんなものを俺が手に入れたかと言うと…
ある日俺、北川陽介はいつものようにバイトの後家に向かってバイクを飛ばしていた。もうすぐ家へ向かう細道に入る前に急に目の前にまぶしい光が現れた。俺は
「危ないっ!」
と思いとっさにハンドルをひねったがころげると思った時体が中に浮いたような気がした。気が付いた時には病院のベッドの上だった。家族が泣きそうな顔で俺を見ていた。そして皆歓喜の声をあげて俺が目をさましたのを喜んでいた。聞くところによると俺は奇跡的に目立った外傷もなく脳もまったく異常が見られなかったらしい。俺は…何故助かったのか…。
寝ている間…夢を見ていた気がする…。リアルな夢だった何もかもがはっきり見えていた気がする。
夢の中で俺の前には死神のような男が立っていた。
そいつは俺の名前を呼び話しかけてきた。
「北川陽介よ」
「なっなんだ?あんた誰だよ?」
「お前はこんなとこで死ぬ予定ではない」
何を言っているんだ?こいつは。そうだ。俺はバイクで事故って…俺は死んだのか?だが痛みや衝撃は全く無かった。今目の前の男はお前は死ぬ予定ではないと言ったが…予定なんかあるのか?俺は死ぬ予定ではなかった。だからなんなんだ?
様々な思考が俺の頭を飛び交った。そんな俺の様子を見てその死神のような男は続けた。
「お前はこんなとこで死ぬはずではない。我々は大変困っている」
「我々?あんた一体誰なんだよ!」
「我々はお前達人間の生死を司るいわばお前達の言う死神のようなものだ」
やっぱり…。しかし、死ぬ予定ではなかった俺をこいつはどうするつもりだ?
「ふふふ…不思議なようだな。我々は予想外なお前の死を認めるわけにはいかない」
「だからどうするって言うんだ?俺はどうなるんだ?」
「そう焦るな…我々はお前にあるものを与える。お前はそれをどう使おうとお前の自由だ。だがお前のことを我々は常に監視してお前がこれをどう使うかを見るつもりだ」
「何をさせるつもりだ?だから俺はどうなるんだ??」
「我々はお前を死なせない。だが一度死んだ人間を生かすためにはそれなりの理由がいる。そのためにお前には実験台になってもらう」
「実験台?その何かを俺がどう使うか実験するってことか?」
「そうだ。」
「何を使わせるんだ?」
「なかなか対応力のある人間だな。お前に渡すのはこの願い星だ」
死神の手にはキラキラと光る星が握られていた。
主人公の葛藤と人間の愚かさを実感出来る作品にしていくので皆さん楽しく読んでください。