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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第50話 最強の剣士


「いてえ、いてえよお……」


「なっ、なんてやつらだ……」


 ミラとセレネの攻撃により、敵の士気が一気に削がれていく。


「ちっ、あのゼノンというガキを狙え! そうすればこの2人の洗脳は解ける! ミラ様は絶対に殺してはならぬぞ!」


 別の指揮官が指示を出し、標的を我に定めたようだ。我を倒したところで2人が止まるわけでもないのだがな。


「さて、我も出るとしよう。ミラ、我の方の援護は不要だ。2人で協力して敵を殲滅しろ」


「承知しました。すべてはゼノン様の赴くがままに!」


「頑張ります!」


 2人の方は大丈夫であろう。セレネは盗賊や魔物との戦闘経験は多く、こういった戦場は初めてのことだが、障壁魔法と回復魔法が使用できるミラがそばにいれば万が一の事態に陥ることもない。


葬送の闇鎌(ブリアルサイス)魂の収奪(ソウルドレイン)


 2人から離れ、闇魔法を発動させ、そのまま敵兵の集団の中へと突っ込む。


「「「ぎゃあああ!」」」


 葬送の闇鎌の大きさは自由に操作が可能である。力をある程度取り戻し、周囲の者の力を魂の収奪によって奪った今の鎌の大きさは5メートルを優に超えている。


 我が闇の鎌を振るうと兵士たちの身体が鎧ごと両断される。


「な、なんて力だ。これが闇魔法の力なのか……」


「子供の力とは思えん!」


 鎌を振るうたびに兵士たちが細切れの肉片となって吹き飛んだ。


 そもそも闇魔法の使い手を前にして数で挑むこと自体が間違っている。敵の力を自分の者とする闇魔法を相手に有象無象の兵力はむしろ力を高めるだけだ。だからこそ勇者たちは少数精鋭のパーティを組み、魔道具によって闇魔法の対策して我に挑んできた。


 この50年の間にそんな基本的な戦闘の仕方まで忘れ去られているようだな。


「魔法部隊、撃てえ!」


「ウインドブラスト」


「ライトニングストーム!」


奈落の暴食(アビスグラトニー)


「んなっ!?」


 とはいえ、さすがに敵も突撃してくるだけの無能ではなく、今の間に後方から魔法部隊の魔法攻撃を仕掛けてきた。


 だが一斉に我へと向かってきた様々な属性の魔法を闇の霧によってすべてを呑み込む。この程度の魔法であれば何発撃とうが我のもとへは届かない。


「フハハハ、これで終わりか? もっと本気でかかって来い!」


「くそっ、進め! 全軍進め!」


 ……まだ数で押してくる気か。敵軍の指揮官は本当に無能であるな。


 まあいい。それならば徹底的に叩くだけだ。もう二度とこの地に攻め入ってくることのないよう、徹底的に恐怖を擦り込んでやるとしよう。


葬送の黒焔(ダークネスフレイム)闇影兵の顕現(シャドウソルジャー)


「な、なんだこの黒い炎は!? き、消えない! 誰か助けてくれえええ!」


「こいつら、攻撃が当たっても全然効いてねえ!」


 消えることのない黒い焔が周囲に飛び散り、影の兵士たちが次々と兵士を襲う。一方的な虐殺が始まった。


 ミラとセレネの方を見たが、あちらも問題はなさそうだ。セレネの圧倒的な力により、兵士たちが次々と吹き飛ばされていく。敵からの強力な魔法はミラがすべて障壁魔法で防いでいた。随分と頼もしいものだな。


 ザンッ。


 我の正面にいた影の兵士たちの数体が両断される。


「……ほう、ようやくまともな相手が出てきたか」


 目の前に現れたのは白銀色の鎧に身を包まれた大柄な男であった。


「退け、この者相手に数で押しても無意味だ」


「ル、ルシアス様!」


「あ、ありがとうございます」


 そう言いながら大柄な鎧の男は影の兵士たちを斬り、黒い焔によって燃えている兵士たちに触れていく。普通の攻撃をくらっても再生する影の兵士たちは再生せず、黒い焔も男が触れた箇所から消えていく。そして魂の収奪もかの者には効いていない。


 ルシアスと呼ばれるこの男は闇魔法に対して対策をしてきたようであるな。


「ルシアス、貴様は切り札なのだから、まだ前に出るな!」


「これ以上は無意味です。むしろ敵の力を強くしていくだけです。どうか私にお任せください」


 後ろにいる指揮官から下がるように命令されるが、それを拒否する大柄な男。


 この者の言う通り、我の体力と魔力は魂の収奪によって尽きることはない。そして倒した兵士を奈落の暴食によって吞み込み続けている。これだけ大勢いる兵士の中には悪事に手を染めていた者も少なくはないようで、少量ずつではあるが、我の力が戻っていく。


「くっ、仕方がない。全軍、退け!」


 指揮官の男が撤退の合図を出し、大きな銅鑼の音が鳴ると、鎧の男だけを残して他の兵が退いていく。


「……追撃はしないのだな?」


「貴様らが因縁をつけて攻めてきただけゆえ、我が領地を守っているだけだ。貴様もさっさと降参をして引き返すのなら許してやるぞ」


 ミラたちと合わせてすでに兵士たちの三分の一は殲滅した。すでに我の目的の半分以上は達している。


「本当にそなたがミラ様を……。いや、もはや語る真偽など意味のないことか。アデレア国がルシアス、いざ参る!」


「ゼノン様、お気を付けください。この者はアデレア国最強の剣士でございます」


 ミラとセレネもこちらへとやってくる。ミラはこの者のことを知っているようだな。アデレア国では有名な剣士らしい。


「そしてあの剣は……」


「ああ、わかっている。我を討った()()であるな」


 忘れたくとも忘れるわけがない。


 男が両手で構えた光り輝く白き剣。あれこそ前世で我の魔核を貫いた勇者の持ちし聖剣である。


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