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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第48話 宣戦布告


「グリフォンに乗った我らを追ってくることはないようだな」


「はい、大丈夫そうです」


 街を離れ、今日野営する場所へ到着した。セレネの感覚は人族である我よりも鋭いから間違いはないだろう。


 さすがに空を飛ぶ我らを追ってくることはなかった。宿で我らを襲う気かとも思ったが、どうやら我らが国に戻ってから事を起こすつもりのようだ。


「……ゼノン様、この度は大変ご迷惑をおかけしました」


「ミラが気にすることではない。むしろあちらから手を出してくる口実を与えたことに感謝したいくらいだぞ」


「あ、ありがとうございます」


 どう考えても向こうの言っていることが滅茶苦茶であるからな。あんな命令にこちらが付き合う理由はない。


「さすがに国ごと奪うのは難しいかもしれないが、少なくとも同胞たちの情報を集め、守るための条約は結びたいところであるな」


 力尽くで国を滅ぼすことはできるかもしれないが、人族の中でそれは許されないことのようだ。魔族は力を持つ者が他の者を支配するのだが、人族は違うらしい。


 その場合は他国が一斉に攻めてくる可能性もあるようだ。今回はミラのことを諦めさせ、魔族の者を見つけたらこちらに知らせて引き渡す条件を飲ませるのが最低限といったところであろう。


「さすが魔王様です! ……でも、あの勇者の孫は魔王様の配下に加えるのですか?」


「ふむ、アルテリア次第ではあるがな。有能な者でもありそうだし、我が同胞を救おうとして処刑された勇者に対する意趣返しでもある」


 セレネにはすでにその話を伝えてある。


「あれほど粗暴で礼儀のなっていない女を魔王様のおそばにおくというのは少し不快に思いました。もっとゼノン様に敬意を払うべきです!」


「ミラ様の言う通りです! もっと魔王様を敬うべきです!」


「いや、そこは気にしないのだがな……」


 最近はセレネもミラに似てきたようだ。まあ保護した当初よりも明るく元気になったようだからそれは良いのだが。


 さて、これからアデレア国がどのように動くのかは大体予想ができる。こちらもそれに合わせて動くとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ゼノン様、アデレア国から書状が届きました!」


 屋敷へ戻ってから10日ほど経ったある日、ユルグが慌てながら我の部屋へと飛び込んできた。


「ほう、来たか。どれ、見せてみろ」


「は、はい」


 書状の封を開け、内容を読む。


「フハハハ、実に面白いではないか」


「……本当に愚かな連中ですね」


「今度こそゼノン様のお役に立ってみせます!」


 送られてきた書状の内容を見てつい吹き出してしまった。


「ゼ、ゼノン様、さすがにこれは笑い事ではございませんが……」


「問題ない。予定の範囲内だ。まあ、この理由の部分だけは我も想定していなかったがな」


 書状の内容によると、聖女であるミラを奪ったカルヴァドス領に対してアデレア国が宣戦布告するという内容であった。これに関してはミラを返さない我に対して散々脅していた通り、実力で奪い取ろうというわけだ。


 理由の方だが、穢れた闇魔法の祝福を得た我がミラを洗脳して意のままに操って奪ったと書かれている。そしてアデレア国が言うには闇魔法を使う我が()()()()()()()()()であると書かれていた。


 我をどうしても悪にしたかったようで、でたらめな理由を付け加えたということがよく分かるが、その理由が正解だったため思わず笑ってしまったぞ。


「本当に伯爵様や国に支援は求めないのですか……?」


「ああ、アデレア国が難癖をつけてミラを奪おうとしてくることは伝えてある。このまま我らで返り討ちにすればよいだけだ」


 こう動くことは想定の範囲内だったので、すでに手は回してある。さすがに国同士での争いとなると国王が動くことになるが、向こうにも聖女であるミラが我が領地にいるということで攻め入る理由は多少なりともあるらしい。


 国からも我らがミラを返さないようであるならば支援はしないと伝えられたが、もちろんミラを渡すつもりなどない。伯爵には我が敗れた場合、我が伯爵の指示に従わなかったとアデレア国に言えばいいと伝えたところ、伯爵は静観することに決めたようだ。


 自分の利益と自分に被害が及ばないことだけしか考えていないようなので、ある意味では動かしやすい存在であるな。


「……カルヴァドス領の兵も不要なのでしょうか?」


「無論だ。戦闘になりそうな場所付近の村や街の領民には避難するように伝えるだけでいい」


「むしろ他の者がいるだけ邪魔になりますね」


「私も頑張ります!」


 屋敷の護衛や騎士団も不要だ。ミラの言う通り、むしろ他の者がいるだけ足手まといになる。


 これまでの間にだいぶ我も力を取り戻した。我とミラとセレネだけで十分だ。


「承知しました。ゼノン様を信じております。どうか御武運を!」


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