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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第44話 穢れた魔法


「ミラ殿、事情は理解したが我が国に戻ってきてはくれないだろうか? わが国にはミラ殿が必要なのだ!」


 やはり先ほどの謝罪はミラをこの国へ連れ戻すためだったようだ。一国の国王にこうまで言われてしまうと断りづらいものがあるだろう。……普通の者ならばだが。


「大変申し訳ございませんが、すでに私は使える主を見つけておりますのでこの国へ戻る気はございません」


 ミラは国王の言葉をはっきりと断る。そのことによって周囲がまたざわついた。


「……ふむ、そうであるか。それではカルヴァドス子爵、貴殿ごとアデレア国へと移っては参らぬか? もちろんわが国ではラドム国以上の待遇を約束しよう」


 ミラの説得が難しいとわかると今度は我のほうへ話を振ってくる。大怪我をしても治療することが可能な聖魔法の使い手は身体が脆い人族の間ではそれほど重宝されるのであろう。


 そしてそれはアデレア国だけではなくラドム国にも言えることで、もしも我ごとミラを取り込もうとしてきた際は必ず断って国へ相談するよう厳命されている。我ごとアデレア国へ引き抜かれることを恐れているのだろう。


 ラドム国にも聖魔法の使い手はいるのだろうが、突然隣国の聖女が自国に来たのだから、それを利用したいと考えるのは実に人族らしい。返すにしても何らかの見返りを受けようとでも考えているのだろうな。まあ、我にとってそんなことはどうでもいいのだが、同胞たちの隠れ里もあり、我が得た領地をむざむざ捨てる気などない。


「しばらくこのままこの国で過ごしてみてはいかがか? きっと貴殿もこの国を気に入ってくれると思うぞ。ラドム国にはこちらから伝えておこう」


「申し訳ございませんが一度国へ戻るよう言われておりますので、戻ってから検討させていただきます」


「……仕方がないか」


 国王はしばらく考えたあとに深いため息を吐いた。そしてこれまでの柔らかな表情から一変して我を睨みつけた。おそらくミラと我をこのまま懐柔するのは無理だと判断したのだろう。


「忠告しておこう。くれぐれもたかが子爵家風情が我が国に逆らおうなどとは考えてくれるなよ。そしてミラ、どうしても貴様が戻らないというのならば、我らは無理にでも連れ帰る。その際には貴様が仕えるというそのガキがどうなるかくらいはわかるな?」


 ……どうやら国王の化けの皮が剥がれたようだ。懐柔が難しいことがわかれば今度は脅迫か。人族はなんともわかりやすいものだ。


「フハハハ、幼稚な脅しだな。そんなものに我らが従うとでも思っているのか?」


「なっ、なんだと!」


「このガキ、子供だと思って優しくしておれば!」


「国王様になんたる無礼な口だ!」


 我の言葉に国王だけでなく周りにいる者も騒ぎ出し、兵士たちは剣に手をかける。


 ただの貴族、それも我のような外見は幼い者が一国の王にこのような口をきけばそのように怒るのもある意味では必然だ。


「ゼノン様には指一本触れさせません!」


「全力で守ります!」


 ミラとセレネが我の前に出る。


 一応こちらから手を出さないように2人には伝えてあるが少し怪しい。まあ我としてはここで暴れても一向に構わないがな。


「……貴様、この状況がわかっているのか? 言っておくが、ラドム国が貴様を守るなどとは考えるなよ。そんなものはどうとでもなるのだぞ」


「ふん、最初からそんなものなどあてにはしていない」


「あっ、あれは闇魔法!?」


「なっ、なんと穢れた魔法なのだ!」


 周囲が戦闘態勢をとったので我も闇魔法を発動させると、これまで以上に周りがざわめきたつ。


 そういえばこの国では闇魔法が他の国以上に忌避されているとユルグが言っていたか。


「国王様、この無礼な者たちはいかがいたしましょう?」


 横にいる白髪の老人が声をかけると、国王はゆっくりと声を出す。


「……まずは武器を下ろすがよい。たとえそれがどれほど無礼な者であったとしても、国の正式な使者として訪れておるのだから手を出してはならぬぞ」


 国王の言葉によって騎士たちが武器を下ろす。


 さすがにラドム国から正式な通達を通してアデレア国に来ている我らをここで殺すつもりはないらしい。


 それはこちらも同様で、こちらから手を出せばアデレア国だけでなくラドム国も同時に相手にしなければならない可能性もある。さすがにそれは面倒だ。


 我がミラとセレネに合図を送ると2人も戦闘態勢を解く。


「さて、ミラ殿とカルヴァドス子爵の考えはよくわかった。これ以上の話は不要であるな。だが、貴殿らは今回のことを後悔することになるであろう」


「果たしてそれはどちらのことになるのであろうな?」


「……世間知らずのガキが言うではないか。ふん、穢れた者を浄化するのにちょうどいい。せいぜい震えて待っているがよい」


 そう言い残すと国王は部屋から出ていった。


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