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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第42話 国の中心地


「ようやく見えてきたようだな」


 屋敷を出てから3日間が過ぎ、ようやく目的地であるアデレア国の中心となる街のミルカムが見えてきた。アデレア国はそれほど大きな国ではないのだが、さすがに国の中心の街となると、これまで訪れたどの街よりも大きかった。


 街を囲う高い壁は真っ白く塗られており、空から見える街並みは一定に統一されている。見た目だけであればとても美しい街だ。我ら魔族にはこういった感覚がないので、これに関しては人族を褒めるべきであろう。


 今回は正式な訪問ということで、街の手前でグリフォンから降りた。


「さて、2人とも移動で疲れてはないか?」


「はい! ミラ様と魔王様と一緒にお出掛けができてとても楽しかったです!」


「私も屋敷にいる時よりも元気です!」


「ふむ、ならば良いのだが……」


 3日間の移動である程度は披露しているかとも思ったのだが、2人とも思った以上に元気だ。


 セレネはこれまで同胞たちの隠れ里から出たことはなく、いつもよりも興奮気味なことはまだわかるが、ミラはなぜこれほど元気なのだろうな? まあ、変に緊張しているよりはいいが。




「うわあ~すごいです!」


「ほう、この規則正しく整えられている街並みは悪くないな。一から計画して建てていかなければこのようにはならぬだろう」


 街の門でチェックを受けて街の中へと入る。すでに連絡がいっているようで、待つことなく街の中へ入ることができた。


「それにしてもミラの言う通り貧富の差がだいぶ激しいようであるな」


「そうですね。私もこの国を出てから改めて気づかされました」


 国王との謁見は明日に行われるようなので、街の中心近くにある宿へと向かっているところだ。


 この大きな通りはこの街の中心らしいのだが、この道を通る者は大きな装飾品のついた指輪や首飾りなどで着飾った者がほとんどである。そして大通りの脇にある細い通りには身なりの低そうなやせ細った者や子供が施しを受けようとこちらを見ている。


 確かに我も転生して初めて人族の生活をまともに見れば、それが人族の一般的な生活だと思ってしまったかもしれない。


 宿の方もダスクレア領にはないような大きな宿へと案内された。グリフォンたちも十分なスペースのある場所で休むことができる宿であった。




「とってもおいしいご飯でした!」


「うむ。ワインの方も上質な物であった。表面上は我らを歓迎してくれているようだな」


 宿の食事もかなり美味なものであった。ダレアスもそうであるが、権力者が美味な物を求める気持ちも少しだけわかるような気もする。


「だが、街を歩いている際に領民たちがミラを見ていたのは間違いないだろう」


 グリフォンたちに乗って移動をしていたから目立っていたとはいえ、明らかにグリフォンではなくミラを見ている視線も多くあった。この街では聖女であるミラを知っている者が多くいるのであろう。


 そして我らを見ている視線はそれだけではなかった。


「さすがに宿に仕掛けはないようだが、この宿へ来るまでに監視もされていたようだな」


「そうですね。遠くからですが、不躾な視線が複数ありました」


「えっ!? そうだったのですね!」


 さすがにセレネは気付かなかったようだが、街に入ってからこの宿に来るまで遠くからの視線も感じられた。遠巻きに監視されていたのだろう。相手もミラが素直に戻って来たわけではない可能性も考えているのかもしれない。


 国の王か。まともな話し合いができる者であればよいのだが、この街の様子を見るにそれも難しいかもしれぬ。無理にでもミラを奪おうとするのならば、相応の報いは受け取ってもらうとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ゼノン様、こちらへどうぞ。国王様が謁見の間にてお待ちしております」


「うむ」


 アデレア国へ到着した翌日、宿まで豪勢な馬車が迎えに来て、街の中心にある大きな城へと案内された。そしてとある大きな部屋の前にある大きな扉へと進む。中にはこれまた着飾った者たちや武装した騎士の者たちが両側に立ちならんでいる。


 なるほど、小さいながらもひとつの国ということか。我の屋敷やカルヴァドス領やダスクレア領とは異なるわけだ。


「ラドム王国、カルヴァドス領の領主であるゼノン=カルヴァドスと申します。此度はアデレア国の国王様への謁見の栄を賜り、心より御礼申し上げます」


 片膝をついて人族の貴族用の礼をする。人族相手に畏まるというのは若干腹が立つとはいえ、ここは人族の世界で無駄な争いを避けるためというのならば仕方がない。


 我の後ろにいるミラとセレネも我と同様に相応の服装をして、同じように畏まっている。


 そして我の正面にいるのがこの国の王か。


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