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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第41話 アデレア国へ


「それではあとを任せるぞ」


「はい。ゼノン様、皆様、どうかお気を付けください」


 屋敷へ戻ってから10日間が過ぎ、アデレア国へと連絡を取り、そちらの国を訪れると国を通して返信をしてある。思ったよりも早く連絡がついたのは我のいなかったこの50年に連絡手段もある程度進んだためだろう。


 その間は元ダスクレア領も我が領地となったためそちらの統治などを行い、これまでずっと働かせ続けていたユルグには休暇をとらせた。ユルグは休みなど不要だと言っていたが、人族の身体の脆さは同じ人族に転生した我もよく分かる。身体を休息することも大事である。


 我らがいない間はまたしばらくユルグに任せることとなる。元ダスクレア領の方も今のところは税収を下げたおかげもあって、問題はないようだ。また貴族からの反発はありそうだが、我が領主継承式にてガンドロスを処刑したこともあるため、多少は時間を稼げるだろう。


「ゼノン様、どうかお気を付けて!」


「無事を祈っております!」


「うむ。我のいない間、騎士団と連携してこの屋敷と街のことを頼んだぞ」


「はい、この命に代えましても!」


「「「命に代えましても!」」」


 案の定クレイヴや屋敷の者も我と共にアデレア国へと行きたいと言っていたが、ミラとセレネがいるので戦力としては十分だ。むしろ契約で縛ったこの者たちの命を守る手間がある分邪魔になるだけである。


 ちなみにクレイヴの妹もミラが回復魔法で治療した後はもうすっかりよくなったようだ。この前は屋敷に来てセレネと遊んでいたな。セレネも人族によって酷い目に遭わされたが、クレイヴの妹のような幼子であれば触れ合っても問題ないらしい。まあ、腕力があまりにも違うのでそこだけは注意しないといけないが。


 グリフォンに乗って3人でアデレア国を目指し、屋敷を出発した。




「さて、今日はこの辺りでいいだろう。よくやったなエリオン」


「キィ」


 何度か休息を挟みつつ、日が暮れる手前まで進んだところで川の付近に降りる。アデレア国まではグリフォンで一直線に飛んでも3日ほどかかる距離だ。


「ミラ、回復を任せるぞ」


「承知しました。ヒール」


 ミラがエリオンとガルオン、そして新たに購入したルグオンに回復魔法をかける。それほど無理をさせてはいないが、長時間我らを乗せて飛んできたこともあって疲労はたまっているだろう。


 3人ならばエリオンひとりでも我らを運ぶことは可能だが、以前のようにアデレア国に同胞である魔族の者がいた場合にはその者たちを助け出して隠れ里まで送り届けるため、3頭で来ている。セレネも練習の甲斐あって、ひとりでグリフォンに騎乗できるようになった。


 そして野営の準備をしつつ、ミラとセレネが夕食を作る。前世では料理などほとんどしてこなかったミラだが、人族の身に転生してから料理をする方法を学んだらしい。セレネも隠れ里ではみなと共に料理を作っていたようだ。


 2人のおかげで満足な調理道具や素材もない外で満足のいく料理を味わうことができた。


「さて、アデレア国の者はミラが戻らぬとしればどのように動いてくるか楽しみであるな」


「欲にまみれた連中ですからね……。面倒ですが、私を連れ戻そうとしてくるかもしれません。もしかすると力づくで何か仕掛けてくる可能性もございます」


「その場合は反撃するだけである。むしろ国ごと手に入れる口実ができるというものだ。とはいえ、可能ならば戦うことなく穏便に済ませたいものではあるがな」


 我もだいぶ前世の力を取り戻してきた。まだ完全に力を取り戻したわけではないが、これまでは人族すべてと戦ってきた我がアデレア国という小さな国ごときに負ける道理がない。それに今はミラとセレネもいてくれる。


「ただ、ミラの話を聞くに上はロクでもない連中のようだから、それも難しいかもしれぬ」


「私がいた教会では毎日数回ほど治療を行っていたのですが、当然のように裕福で多額の寄付を払う者だけでした。その寄付の大半は国に納め、教会の者は国から様々な利益を受け取っていたようですね」


「……本当に人族はロクでもないです」


 予想通りというべきか、ミラのいたアデレア国もこのラドム国と同様に腐っているらしい。


 この国や領地を見ても思うが、人族はその者の力や能力よりも持っている金が大事なようだ。


「下の者の生活は特に酷かったですね。浮浪児も多く、餓死する者も多くおりました。私はまともな生活を送ることができましたが、この国以上に富を持つ者と持たない者の差が激しかった印象です」


「なんだかそういうのは嫌です……」


「ふむ、あとは実際に行ってみて判断するとしよう」


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