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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第28話 騎士団


「うわあ~すごく綺麗な街ですね!」


「うむ。見事なものであろう」


 セレネが我が屋敷へやって来たその翌日。昨日はミラと同じ部屋でぐっすりと眠ることができたようだ。


 今日はまずこの街の騎士団へと馬車で向かっている。セレネは窓から見えるこの街並みにとても驚きながら目を輝かせている。隠れ里で生まれ育ったセレネはこういった人族の街を見るのも初めてだ。我も転生してからこの街並みを初めて見た時は驚いたものである。


「ゼノン様の馬車だ!」


「ゼノン様~!」


 街中を馬車で走っていると、外から領民の声が聞こえてくる。


「ゼノン様は街の者にもとても人気があるのですね」


「当然です! この街の領民はゼノン様の偉大さをよく分かっておりますからね!」


「……我は最低限の統治にしただけであるのにな。逆を言えば、これまでの統治がよっぽど酷かっただけだ」


 これまではゼノンの姿を見ただけで避けていた領民たちが、少し税率や法などをまともにしただけで、今度は称賛してくる。前領主であるダレアスの統治があまりにも酷すぎただけであろう。


「いいえ、これもゼノン様がこれまでに行ってきた改革や政策のおかげでございます」


「その通りです。ユルグもよく分かっておりますね!」


 ちなみにこの馬車はユルグが御者をしている。万能従事という祝福のおかげでもあるが、本当に有能なやつだな。この馬車の前後には屋敷の護衛の者たちもついて来ている。我らだけでも問題ないのだが、クレイヴたちも護衛としての役割を果たしたいとのことだったので好きにさせている。




「領主様、わざわざ騎士団までご足労頂き、本当に感謝いたします!」


「りょ、領主様! こ、この度はありがとうございます!」


 騎士団へ到着し、騎士団長の部屋へと通される。


 左側に座っている細身の男が副団長で、右側に座っている大柄で傷だらけの男が団長のルーカスだ。元は平民ということで我と話す時にはいつも挙動が少し怪しいが、我がこの身体に転生してから出会ってきた人族の中でも飛びぬけた実力を持っていることは間違いない。


 この2人の他には我とミラ、セレネ、ユルグしかおらず、クレイヴたち屋敷の護衛と騎士団の者は部屋の外にいる。


「ここに来たのはついでであるから別に構わん。それで、最近の状況はどうなっている?」


 言葉の通り、騎士団へ寄ったのは新しく我の配下となったセレネにこの街の現状を見せるついでだ。


「私の方から報告させていただきます。領主様のおかげで領内の治安は非常に良くなりました。税率が下がったことにより景気がとても良くなり、罰則の強化により重い罰が与えられて金品によって罪を逃れることができなくなったおかげで、犯罪行為は以前よりも激減しております。他にも領主様自らが盗賊を討伐し、重罪人には厳罰を与えることを直接見せることも治安の維持に繋がっております」


 ふむ、どうやら順調に治安は良くなっているようだな。盗賊を討伐したり、重罪人を奈落の暴食で呑み込むのは我の力を取り戻すためなのだが、別のところでも意味があったらしい。


「そして税率を下げたことと、犯罪者や盗賊が領内から減ったことにより、噂を聞きつけた近隣の領地から早くも多くの商人や民がカルヴァドス領へとやってきております。様々な人が領内へ集まることにより、さらに仕事や物資などが増えており、景気も以前と比べて遥かに良くなってきました。領主様はこれを狙っていたのですね!」


「当然です! ゼノン様のお考えに間違いはございません!」


「さすがゼノン様です!」


「………………」


 副団長の言葉にミラとセレネはそう褒めるが、別に我もそこまで考えていたわけではないぞ。


 何度も言っているが、今までがあまりにも酷すぎたからこの国の者たちが麻痺しているだけな気がする。


「……ですが、その弊害としてひとつだけ問題が出てきました。本日はそのことをゼノン様にご相談したい所存でございます」


「なんだ?」


「まだ確実ではないのですが、ゼノン様のすばらしい改革に不満がある大手商会や降格された要職の者、一部の男爵貴族様が集まって何やらよくないことを企てているようなのです……」


「ほう」


 ダレアスから領主を継いだ際に賄賂などを渡す代わりに優遇しろと言ってくる愚かな者も多くいたが、すべて一蹴してきた。他にも金や処世術だけを持っている無能を降格させたことにより、一部の者から恨みを買っていることは知っている。どうやらそういった輩が結託しているようだ。


 ふむ、むしろ良い機会とも言えるな。そういった者たちを力で黙らせれば他の者たちもより従順になるだろう。


「そしてその者たちはカルヴァドス領の隣にあるダスクレア領の者と連絡を取ろうとしていたと知らせが入っております」


「……ダスクレア領だと?」


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