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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第26話 仕える者


「我に仕えるだと……?」


「はい! 私もミラ様のように魔王様へお仕えしたいのです!」


「……セレネがザルファードの孫であることを気にする必要はないぞ。やつが我に仕えていたからといって――」


「おじい様のことは関係ないです! 私自身が魔王様にお仕えしたいのです!」


 セレネがその赤き瞳で我の方を真っすぐ見据える。


「里が襲われた時、私は何も守ることができませんでした。無力な自分に打ちひしがれ、ただ絶望に身を任せるだけの私に魔王様は手を差し伸べてくれました。私の命よりも大切な里のみんなを救ってくれた魔王様にこのご恩をお返ししたいのです! ……まだそれほど大きな力はありませんが、必ずや魔王様のお力になってみせます! どうか、魔王様にお仕えさせてください!」


「……元はと言えば我が原因でもあり、恩を返す必要はない。それにここに残る者たちのことはどうするつもりなのだ?」


「魔王様、そのことについてはすでに我々で話し合いました。どうかセレネを連れていってはいただけないでしょうか?」


「バルラト……」


 青い肌のバルラトが我の前に出てきた。そしてその後ろに里の者たちが続く。


「これまでセレネの父親やまだ幼いセレネにまで多くのことを背負わせてしまいました。我らも魔族のはしくれ、自身のことは自身で何とかできます。魔王様に仕えることがセレネの望みでもあるのです、どうかお願いします!」


「「「お願いします!」」」


「………………」


 里の者までが我に向かって頭を下げてくる。


 すでに里の者で話し合っていたようだ。それならば我の方からこれ以上言うことはない。


「セレネの覚悟、しかと受け取った。その力ありがたく借りるとしよう。だが、無理をする必要はない。いつでもここへ戻れるということは忘れぬことだ」


「は、はい!」


 何かあった際に帰る場所があるのは大切なことである。ここから街まではグリフォンに乗れば半日もかからない。たまにセレネと共に様子を見に来るとしよう。




「みんな~行ってきます!」


「気を付けるんじゃぞ!」


「セレネ、頑張ってね~!」


 グリフォンの背に乗って空を駆け屋敷へと戻る。


 セレネが里の者へ手を振ると、里の者も我らに手を振り返す。すぐに農具などを持ってくるが、これまでずっと過ごしてきた者たちと離れることは寂しいことであろう。


「ま、魔王様! そちらで2人乗りが難しいようでしたら、すぐに私が代わりますので!」


「問題ない。我もだいぶエリオンに乗るのが慣れてきたところだ」


「さ、左様でございますか……」


 ミラは心配性であるな。先ほどもセレネに真剣な表情で我に仕える覚悟があるのかと再三確認をしていたし、セレネのことを心配しているのだろう。


 今我と手綱の間には小柄なセレネがちょこんと座っている。グリフォンで帰る際にミラと分かれてエリオンとガルオンに乗っていた。


「ま、魔王様……わ、私は自分でも飛べますので……」


「街まではしばらくかかる。それに領民は空を飛べる者を見慣れていないだろうから、騒ぎになっても面倒だ。そのまま大人しく座っているがよい」


「は、はい! ありがとうございます!」


「……っ~!」






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ゼノン様、お帰りなさいませ」


「うむ、戻ったぞ。この者を風呂に入れてやってくれ。それとこの者にあう服を用意してやれ」


 街の屋敷へと戻り、グリフォンを任せ、屋敷の者にセレネを任せる。


 普段は水魔法を使い、水浴びをしていたようだが、この屋敷には風呂があるからな。せっかくだし、ゆっくりと疲れを癒してもらうとしよう。


「はい、承知しました。あら、この子は……」


「名はセレネという。珍しい()()の者だ。今後屋敷で仕えることになったので、いろいろと教えてやってくれ」


「よ、よろしくお願いします!」


「承知しました」


 ……ふむ、問題はないようだな。


 魔族は人族に排斥されているため、セレネが魔族であることを知られてしまうと少しまずい。幸い、黒い角を持つ魔龍族とは別に白い角を持つ龍族という種族がいる。そのおかげで、黒い角さえ魔法で隠してしまえば、誰もセレネのことを魔族と疑う者はいないはずだ。


 さすがに四六時中幻影魔法をかけるのは手間がかかるので、普段は何かをかぶってもらうとしよう。




「ゼ、ゼノン様、お待たせしました」


「ほう、よく似合っているぞ」


「こ、光栄でございます!」


 風呂に入り、黒と白を基調とする給仕服に身を包み、屋敷の者に髪を結んでもらい身綺麗になったセレネは先ほどまでとはずいぶんと印象が異なるものだ。


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