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第五話 龍の過去、本当の記憶

そして龍は喫茶に向かって走った

誰かと待ち合わせでもしているのだろうか

「すいません。遅くなりました」

「火炎先生。どうしたんですか?」

「いや、ちょっと。生徒の悩み事を聞いてて・・・」

「そうなんですか。ちゃんとお仕事できてますね」

・・・ちゃんとねぇ・・・

てか、去年はそこの生徒だったんだけどね

知っての通り

「いいなぁ・・・」

「え?」

「あ、いえ・・・・私、この仕事は今年からなんですけど、なじめないのか生徒たちに相談とかされないんです。だから、ちょっと(うらや)ましくて」

・・俺の場合は去年まで生徒で、生徒会長だったから・・・

てか、本当は

相談じゃないけど・・・

「俺はあいつらの友達だったからな。親しみやすいんだよ」

「そうか・・・もっと親しめるようにしないと・・・」

そういうわけではないかも・・・

「ところで・・・」

「何だ?高梨先生」

「あなたの過去、とか聞きたいんだけど・・・」

それを聞いて龍の眼は真剣なものに変わった

「興味でも?」

「え、ま、まぁ・・それもありますけど・・・」

「けど?」

「・・・・・・」

それから高梨先生はしゃべろうとしなかった

それで顔が赤いのが分かった

「・・いいでしょう・・・聞いてもらえばすっきりするかもしれない・・・・俺の重い過去を・・・」

「重い・・?」

「・・・今から1227年前、俺は生まれた。その時の俺は簡単に言えば化け物だった。

その姿は左右どちらかの半身に龍の(うろこ)をまとい、牙が生え、尾があり、眼は黄色(おうしょく)

人間は俺を不気味に思っていたが両親は違った。

そんな化け物(おれ)でも、山の中に住んで、大切に育ててくれた。

そして一歳になって実名をもらったんだ。

それから二十年、いろいろあった。

親父に竜界に連れて行かれたり、自分の力もコントロールできるようになって・・お袋が赤ちゃんの女の子連れてきていきなり俺の義理の妹になるだとか・・なんども死にそうなめにあって・・・それでも、家族四人で楽しく暮らしてた。

でもある日、俺の悪夢が始まった。

俺らが住んでいた山の中に人々が入って来たんだ。

そん時は親父は竜界に、お袋は妹を連れて買出しに、ちょうど俺は川に行ってたけど(におい)で気付いた。

急いで家に向かった。

家に着いたら置手紙があったんだ。

そこには、こう書かれていた。


『今すぐに化け物をこの世から消えろ、出なければ家族が犠牲になる。』


それを見て俺は書置きを残してその家から離れようとした。

その時、町の方で悲鳴が聞こえた。

・・お袋が斬られたんだ・・・

俺が町にいるかも知れないとそいつらは探したらしくて、その時ちょうどお袋に会ったようだ。

でも幸いお袋は刀鍛冶で刀の事はよく知ってたから傷は浅くすんだ。

それで俺はお袋と妹を担いで自宅と反対側の山に走って、そこから自宅にダッシュで戻った。

そして・・書き置きを残して家を出ようとしたんだ。

妹がそれを止めた。

行っちゃいやだ、って。

だから妹も連れて行った。

(あいつ)も人間じゃなかったからな。

それで何日も何日も、刺客らから逃げて、とある村で寝てる妹を老夫婦に預けた。

俺でも守れるかわからなかったんだ。

その頃は俺も今ほど強いわけではなかったからな。

それから百年ほど、全国、世界中に逃げて逃げて逃げ回った。

その中で人助けとかしながら。

そして俺が122歳になって雷迅と共に化け物や妖怪なんかを倒していた。

その時、湖のある洞窟で名を八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という大蛇と戦ったんだ。

もう少しで倒せる、それで気を抜いちまって・・・

左肩から右脚の付け根にかけて、大蛇(オロチ)の牙が貫通したんだ。

でもそれだけで毒とかも無く、大蛇(オロチ)を倒した。

それからたくさんの仲間に会った。

でも、それから670年程経って、俺が792になった時だ。

・・俺はいきなり、倒れたんだ・・・

それで、次に目覚めた時には・・・・記憶が無かった・・・」

それを聞いて高梨先生は驚きを隠せないようだった

口を手で覆い、目を見開き、ただ、驚いていた・・・

「何もわからなかった・・・

自分は誰で、ここはどこで、何をしているのか・・・

だから自分で新しく名前をつけた。

鬼侍(きじ)陽炎(かげろう)と・・・

特に理由は無いがそうした。

そして俺は陰陽師として、暮らし始めたんだ。

それから193年、

音沙汰(おとさた)無しで暮らしてきた。

が、そん時だ。

あるドラゴンが竜界から出てきたんだ。

そのドラゴンは火を吹いたり、翼で風を起こしたり、俺たちを襲い始めた。

俺の陰陽術は炎の具現化。

俺はそれを使って応戦した。

でも、無理だった・・・

だから俺は、俺の体にそのドラゴンの魂を吸収、封印したんだ。

そして、それが出てきた祠に細工をした。

簡単な物だ。

それが近づけば俺に知らせが来る仕組みだ。

そして・・俺は竜界に入ってしまった・・・

その時、俺は気絶していた。

なぜかはわからない・・でも、目が覚めたら竜界だった・・・

そこで、一度記憶を取り戻したんだ。

生まれた日、父と母、妹、自分の名、正体・・・

そして竜界で少しの間暮らす事になったんだ・・・

俺は生きるために生き物を殺していた、その世界に住む(いきもの)たちを・・・

俺はイライラしていた。

元の世界、人間界に戻れなくて・・・毎日、イライラしていた。

だからかな・・理由もなく・・襲ってた。

その世界の、生き物を・・・

それでついた(あざな)が『殺戮(さつりく)

そう呼ばれるようになった・・・

全てが俺を避け、遠のいて行った・・・

寂しかった・・・

だから・・今度はイライラを抑えて、助ける事にしたんだ。

そしたらさ、楽しくて。

感謝されて・・嬉しかった・・・

それが我らが竜界の神、龍神、天空龍の耳に届き、名を貰った。

そして、俺は竜界と人間界を行き来出来る力をもらった。

俺は人間界に戻り、それから普通に、何の変哲も無い生活を送ってた。

で、今から約18年前。

俺はまた記憶を無くして、今現在にあたる、と。

大雑把(おおざっぱ)だけどそんな感じで、波乱万丈に生きてきた」

「苦労してたんですね・・・」

「でも、ま、それなりに楽しかったかな」

たくさんの人の生死を見てきたけど・・・

やっぱり、今までの俺の生き様だったからかな

「そうなんですか・・・・あの、実名ってなんですか?」

「実名は俺の本名みたいなもんです。生まれて最初に貰った名前。今の名前は三つ目だな」

最初に実名

二番目に鬼侍(きじ)陽炎(かげろう)の名

そして火炎龍・・・

あとガデュエムロスもあるし

殺戮、炎帝、白銀の太陽(シルバーソル)もあるか・・・

「・・なんて・・?」

豪炎寺(ごうえんじ)狼牙(ろうが)虎影(とらかげ)。狼牙は親父が考えて、狼の牙のようにするどい勘を持ち、するどい一撃を与えるようにという意味だそうだ。虎影はお袋が。虎影とは虎の影、虎と同等の力の意味で、虎と同等の力を(さず)かり、大切な人たちを守れるようにとつけてくれた。今は名前のおかげかそんな風に生きてると思うよ」

「そうですか・・・・・あ、もうこんな時間・・・」

「あ、すいません。せっかく来たのに俺一人話してて・・・」

「いえ。私もあなたの話が聞けてよかったし。気にしないでください」

それから高梨先生を喫茶店前で見送った

それと入れ違いで鎌鳴と瑠奈が戻り、夕食にした

その後高梨先生は無事自宅まで帰ったとさ


第五話 終

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