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第四話 妖怪の龍

「先生・・・その姿は・・?」

その時の龍は黒い霧に包まれていた

が、その前に気になるのは

龍が女性になっている事だ

「この姿の方がこの魂にあってるのじゃ・・・気にするで無い」

「気にするなて・・・」

結構気にしなくても

似合ってるし・・・

「それより・・出て来るがよい、百々目鬼よ。それとも、臆したか?」

『誰が・・臆すだと・・・』

その言葉と共に栗原の体にたくさんの目が出てきた

「きゃッ!何これ!?」

「お主の様な小妖怪・・私に臆するも無理ないか・・・」

『俺が小妖怪だと・・!?』

乗ってきた

馬鹿だな

「そうじゃ・・本体は体が無く魂が丸出し。幽霊のような姿で、ただ人に憑き盗みをさせるだけの妖怪・・・小妖怪と言わず何と言う?」

そう言いながらも手には新たな刀があった

大きさは脇差ほどの小さな刀

『な、何だそれは・・・』

「これか?これはたかが妖刀じゃ、気にする事は無い。ただ・・お前を殺す為の刀だからの!」

龍は栗原へと走り

そしてその腹に刀を刺した

「あ・・あぁ・・・」

『な・・に・・・!?』

「ふッ・・・」


それから約十分

刺されたはずの栗原が目覚めた

「あ、あれ・・私・・・」

「目が覚めたか?お主」

「せ、先生・・まだその格好・・・」

彼女がおきてもまだ女人の姿だった

「うむ。お主に、説明をとな」

「説明・・・」

何のことかわかってなかったのか

しかし少し周りを見回してから思い出した

「そう、その事じゃ・・・・・私はな、今、妖怪の魂(・・・・)を表に出している」

頭がハテナだらけだ

そりゃいきなりだもんな

「しかしこの姿は(よる)で無いと表せないのじゃ・・そしてその闇を作るためにこの《日夜》を使う。妖怪は夜目が利くからな、光なき場でもよく見える・・・お主でも見えているのは私が眼に術をかけているからだ」

「そ、そんな事より・・わ、私は死んだんですか・・・?」

取り乱しているのか・・・

状況が認識できないだけか・・・

「生きておる。大丈夫じゃ」

「で、でも剣が私を・・・」

「・・この刀は妖刀《追出(ついしゅつ)》。何も斬らぬ刀よ」

何も斬らない刀なんてあるわけねぇだろ・・・

むしろ見てみたいわ

「でも!体を、貫いてた・・・」

確かにそうだった

彼女の体を貫いていた

それは事実

そして斬れない事もまた事実・・・

「斬らぬ、というより斬れぬのじゃ」

「斬れ・・ない・・・?」

「この刀の刀身は霊体での。霊体は霊体(それ)により動かす事が可能じゃ」

水滴から水滴に合併|(?)するような感じ

「その性質を使い、刀身より外へと導く。人から憑き物の(あやかし)追い出す(・・・・)刀、それ(ゆえ)名を《追出(ついしゅつ)》と言う」

最初の刀、《日夜》が消え

龍の体に周りに霧が出た

「そして(あやかし)が外に出た時、(ふだ)を使い封印する」

そして霧が消えた時には男の姿に戻っていた

「俺が向こうの(おさ)に頼まれて、封印して向こうに連れ戻すのが今の俺の使命」

龍は笑っていた

しかしその表情からは悲しみも見えた

「・・・・・・・せ、先生はドラゴンじゃ・・・」

「ドラゴンだよ。男の姿ではドラゴン、女の姿では妖怪やってんだ」

まるで二重人格だな・・・

「そ、そんな器用なことが・・・」

確かにそうだ

龍には龍の魂がある・・・

妖怪になれるはずがないのに

「俺の体には今、二つの魂が入ってる。一つはもちろんドラゴンの魂・・で、もう一つは妖怪の魂・・・その二つを使い分けて戦ってるんだ」

栗原は言葉を失った

その時の龍がいつもよりとても頼もしく、そして格好よく見えたからだ

ブー・・ブー・・ブー・・・

「もしもし」

『龍くん。どうだい?万引き犯はいたかい?』

「万引き犯ですか?」

龍はチラリと栗原の方を見た

その時同じく栗原も龍を見ていた

その瞳は涙で潤んでいた

しかし龍は栗原に笑い掛けた

「万引き犯なんて、いるわけないだろ。我が校の生徒はそんな事しねぇよ」

『じゃ、じゃあ品物が減ってたのは?』

たやすい

なんて騙されやすい

所長のくせに・・・

「調べたところ、店員の手違いだ。疑ってんじゃねぇよ」

『そうか・・・疑ってすまなかった。その店にはきつく・・・』

「俺が言っとく。問題無い」

『わかった。頼んだよ』

電話を切ってポケットにしまった

「あ、あの・・先生・・・」

「ん?何かな?」

「ま、万引き・・・」

言うと思った

引きずってんのか・・?

「この学校には万引き犯はいなかった。それだけだ」

「で、でも!」

「やったのは妖怪のせいだ。最初にしたのは出来心でも、この校には万引き犯はいない。OK?」

栗原は龍を見て黙っている

その顔は暗くなく明るくもなく

複雑な表情だ

「さぁて、じゃあ行くか」

「・・どこに・・・」

「お前、万引きしたの同じ店か?この辺だと・・イナズマデパートか」

「え・・ま、まぁ・・・・きゃッ!」

龍は栗原をお姫様抱っこをして笑い掛けた

「大丈夫。落ちないから」

「おち!?何する気ですか!?先生!」

「跳ぶ」

「!?」

栗原は言葉の意味を理解してないようだ

しかしそんな事気にせず跳ぶ、という言葉と同時に窓を開けて

校庭の向こうの屋根へと跳んだ

「き、キャ――ッ!」

龍は栗原が叫ぶ直前で彼女の口を押さえた

「静かにしてくれよ。それじゃ誘拐じゃねぇか。・・大丈夫。怖くなんてねぇよ、俺がついてるんだから」

栗原は静かに龍の首に手をまわした

「よし!じゃ、スピード上げるぞ!」

「ま、まだ速くなるんですか・・・?」

「こんなの助走さ」

その助走といってる速さは時速150kmに相当する

ちなみに龍の最高時速は820kmだったりもする

ほぼ瞬間移動(テレポート)である

「あと少しで着くぞ!」

「へぇえーー・・・」

・・駄目だ・・・

目ぇ回してらぁ・・・

「だァア!!」

ずざァアーーッ

龍は開いていた窓からイナズマデパートの所長室に入った

「お、龍。どした?なんか用か?」

「用があるから来たんだろ?ほら、しっかりしろ栗原」

「ん・・んー・・・」

目覚めそうで・・・

お、目覚めた

「・・龍。そいつはお前の彼女か?自慢しに来たのか?」

「かの!?」

相当驚いている

龍と彼女とか確かに驚くかもな

「違ぇよ。今日は警察として来た」

「ほぉ・・じゃあその()が万引き犯か」

するどいな

流石だな

「そうだ。それで交渉に来た」

「交渉?何だ?その子の事を黙っていてほしい、か?」

・・読心術(どくしんじゅつ)・・・

人の心読んでんじゃねぇよ

「わりぃわりぃ。で?」

「その通りだ。窃盗品の代金、そして損害賠償金を払う。だから他の警察には連絡しないでほしい。そして窃盗品の事は店員の手違いって事にしてほしい。出来るか?」

そんな無茶な頼みを聞くだろうか

雷迅は少し考えた後

答えを出した

「仕方ねぇな。連絡をしないで手違いにすればいいんだな?」

「雷迅・・・」

「てめぇの頼みだ。聞かねぇわけにはいかねぇ。何とかしてやるよ」

「助かる!ありがとう!」

その頼みは龍の始めての頼みだった

その時の雷迅はとても頼もしく見えた

そこでドアがノックされた

「失礼します、社長。この書類で・・・どなたかしら。社長、知り合いですか?」

「俺は雷迅の友人だ。ちょっと用があってな、急いでたから窓から失礼させてもらった。もう用はない。退散させてもらうよ。じゃあな」

「おぉ、また来いよ!」

龍はまた窓から飛び出して屋根の上を跳んだ

そして栗原を学校の校門まで送った

「・・お!時間ねぇや。じゃ、俺行くからな!」

「え・・あ・・・」

「礼は猪原(ともだち)に言うんだな。あいつが心配して言ってきたんだ」

大体誰か見当がつくようだ

考えた後にはっ!としてる

「そうだ。この事はなるべく内緒で。あんま騒がれたくないし・・理由は特に無いけど」

無いのかよ!

「それと、何か怪異な事があったらある喫茶に行きな。名前は喫茶、太陽だ。そこなら何でも解決してやる。じゃあな!」

龍はそのまま去っていった


第四話 終

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