第三話 盗みの正体
戻ってみるとそこにはややボロボロになった生徒たちがいた・・・
どうしたら服がここまで汚れるんだ・・・
「・・お前らどんだけハードなドッジボールをしたんだ」
「いや・・なかなか決着がつかなくて・・・」
俺がいなかったのやや四分くらいなんだが・・・
「で、どうだ?寒さは消えたか?」
「・・そうだな・・・ちょっと暑いかもな」
「・・・じゃあ残り三分ぶんは帳消しな。大体誰がどれくらいのレベルかわかったし」
・・やはり栗原は体育はあまり得意じゃないようだな・・・
この中でもだいぶ肩から呼吸してる
「ところでいつもは何やってんだ?」
「何だよ。教師になったのに知らねぇのか?炎」
「悪かったな。俺は今日から始めるんだよ。それに岡本先生がいたらそれを見学しようとおもってたから知らねぇよ。で、何やってんだ?」
「普段は・・体育館で跳び箱やらマット運動やら・・・」
「外に出ると走り高跳びとか長距離走とか・・・」
つまり遊ぶ要素はほとんど全く無いと・・・
つまらんな・・・
「でも・・今日ドッチボールしてすっげー楽しかった」
「あぁ、確かに」
「久々に羽を伸ばしたような」
・・ほぉ・・・
やっぱり授業中に遊ぶのは快感か
「じゃあ今日は遊ぶか」
「遊ぶ・・?」
「あぁ、サッカーとかアメフトとかバスケとか野球とか・・・」
そういいながら様々なボールをどんどん出してきた
「いったいどこからボールが・・・」
「そんなの気にするな。それともガキの頃を思い出して鬼ごっことかドロケイとかキックベースとか・・・」
いろいろよく名前を出すな・・・
と思っているような顔をしている
「じゃあ、サッカーだな!」
「おぉ!」
「じゃあ女子が一緒にできるように手加減してやれよ男子」
「・・そだな。せっかくだしみんなで遊ぶか」
そしてサッカーをすることになった
その時の生徒たちの顔はとってもいい顔をしていたとか・・・
そしてチャイムが鳴り授業が終わった
「栗原、つらかったか?」
「いえ・・そんな事は・・・」
とか言いながら思いっきり肩で息をしてる
うえにゼェーゼェー言ってる
「それはそうと・・栗原、お前、何か隠してるな」
「!?」
こいつの心臓はいつも脅えた様にドクドクいってる
それも一般人には言えないような・・・
「・・・・言えないか・・?」
栗原は小さくうなずいた
そりゃそうだろうな・・・
一般人に言えないから黙ってるのに・・・
「じゃあ放課後、生徒会室に行け。話を聞こう」
「・・はい・・・」
その放課後
「やはり服装は体育でも長袖だった・・それに薄い手袋・・・・キーワードは盗みと女・・・・・そうか!あいつか!!」
それを考えながら龍は生徒会室へと向かった
プルルルル・・プルルルル・・・
「もしもし。鎌鳴か」
『はい、マスター。なんでしょう』
あの女性店員
彼女の名が鎌鳴だ
実はあの喫茶は龍の現在住んでる家で鎌鳴は住み込みで働いてる
「今客来てるかい?」
『いいえ、来てませんよ』
「そう・・わかった。また掛ける」
そう言って切ろうとした時
『マスター』
「何?」
『・・私は愛しておりますよ』
こんな事言ってるけど二人は結婚してない
付き合ってすらない
「クククッ・・何かに毒されたか?俺もてめぇは好きだけどな」
『では婚姻届を・・・』
「仲間としてだよ、ばぁか。じゃあな」
龍は電話を切った
客とは誰か行く事になっているようだ
そして部屋に入った
「入るぞぁ。ん?現生徒会長は翼か」
他には・・・
五人いるのか
てことは書記とか会計とか決めたんだ
「龍!戻ったのか!?」
「出張帰りか俺は・・・今日から教師だ。よろしくな、生徒会長」
「・・はい!」
いい返事だ!
期待できそうだな
「あの、先生・・・」
「わかってる。悪いが生徒会役員共、少しの間席を外してくれると助かるんだ」
「何かするんですか?」
お、生徒会長と張り合う先生みたいだな
「お悩み相談だ。教師として生徒の悩みを聞かないわけにはいかないからな」
「この部屋でなくてもいいのでは?」
「他の部が使って騒がしい過ぎる。それじゃ聞きたい話も聞けねぇ」
音楽系の部がな・・・
「それに・・・」
「それに?」
「教師のいう事が聞けんのか!?」
「・・ッ!」
俺の目には人では出来ぬ技がある
俺の目、龍眼
龍眼は人に恐怖を覚えさせ、死を思わせる
その恐怖と死を感じたモノは相手がそんなに偉い立場であろうと従わせる事が出来る
「わ、わかった・・・従おう・・・」
「サンキュー」
バタン
生徒会役員を追い出した
「・・いいんですか?会長」
「あぁ、これでいいんだ・・・・あの目に逆らったら殺されていただろう・・・」
ボソッと言い捨て他の部屋を探しに行った
「さて・・・栗原。お前最近変わったことなかったか?」
「か、変わった事・・?」
「そう・・例えば、腕に目がたくさん・・とか・・・」
・・やはりな・・・
一瞬ではあるがあの妖気・・・
妖怪の仕業だな
「な、なんの事――――」
「百々目鬼」
「え!?」
「百々目鬼は盗みを働いた女人にのみ取り付く憑き物。そしてそれは欲する力を増幅し盗みをさせ、死角無き目を使い盗みの手伝いをする・・・つまり百々目鬼は盗みをさせる妖怪」
百々目鬼の解説をしながら刀を作り出した
「この刀は妖刀《日夜》。日は光を指し太陽の照る白昼を表す。夜は闇を指し月無き闇夜を表す。そしてこれはその状態によって名が変わる不思議な刀」
それがどうしたのか・・・
さっさと妖怪退治しろよ・・・
「白き時は白刀《日輪》。黒き時は黒刀《無月》。そして妖怪は夜にこそ力を増す」
その時
龍の姿が変わった
「先生・・その姿・・・」
「ふふふ・・さて、今宵の敵は誰か・・・」
第三話 終