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はろー、ルシアです。


驚きの婚約命令の翌日。

私は自室で、満面の笑みでぴょんぴょん跳ねていた。



マーヴィン様から、お手紙が来た為だ。


私の手紙と、傷薬の御礼をあらためて述べられて、良かったら、1週間後に会う時は、魔法使いの塔に来ないかとのお誘いを頂いた。


ハッピー全開で、即、返事をしたためた。


いきなりアルファちゃん達に会いたいと言ってしまって、はしたなかったかなと後悔していたので、このお誘いはとても嬉しいです!

もちろん行きます!

絶対行きます!

這ってでも行きます!!

今からとても楽しみです!!


をお嬢様言葉で書いて、届けてもらった。

もちろん、字は出来る限り丁寧に書いた。



ふんふふん♪



それから、婚約者への手土産は何が良いのか、お母様に聞いた。

お菓子等は好き嫌いもあるから、ひとまず刺繍したハンカチでもプレゼントしたらどうかしら?

とのアドバイスを頂き、今回はそうすることに。


そのうち手作りお菓子とか渡してみたいけれど、貴族令嬢的にはNGかな?

お父様、やっていいか聞くと、必ず「良いよ」としか返事してくれないから、貴族的に本当にOKなのか、たまに不安なんだよね……



刺繍は何がいいかな〜

アルファちゃんとかデルタちゃん?

成人男性が使うには可愛すぎるかな?

それに、せっかくなら私の事を思い出してほしいよね〜

私らしいって…なんだろう?

白玉??


うーんうーんと悩みつつ、肩慣らしにアルファちゃんを刺繍すると、びっくりするほど可愛く出来た。

たまにこういう事あるよね…

ノートの端にささっと描いた落書きが、普段の何倍もよく描けちゃう、みたいな。


出来が良すぎて、試作にするには勿体無いので、マーヴィン様のイニシャルと、デルタちゃんも刺繍して、今回はこれでいこう。


アルファちゃんとデルタちゃんが、イニシャルに擦り寄っている構図に決める。

イニシャルは、僭越ながら、私の瞳の色である若草色と、マーヴィン様の瞳の美しい紫色。

気に入って頂けたら良いなー。


刺繍をさす以外だと、マーヴィン様について調べたりもした。


こういうとストーカーみたいだけど。


マーヴィン様は魔法使いとして研究などを行っているので、論文や成果の報告書などがあるのだ。

それを集めて読んでみた。


すると、なんとマーヴィン様、ロストテクノロジーだった、各地にある物の転送装置を復活させたお人らしい。

その装置のおかげで、現在では王都でも、新鮮なお魚や、日持ちしない果物などが食べられているのだ。


ええぇ……それ、復活した時、私すごいすごいって歓びまくった思い出があるんだけど……マーヴィン様のおかげだったのか。

本当に優秀な方なのね。

見た目も中身も素晴らしいじゃないですか。



しかし、当時の新聞などを改めて読んでも、マーヴィン様の名前は何処にもない。


誰の功績かは、私のように、論文などを調べないとわからないらしい。


えぇーー……

こんなにすごいことを成し遂げているのに。

マーヴィン様の事を皆で褒め称えようよ…。

国中に感謝されるべきでは……??


新しい論文から昔の方へ向かって読んでいるが、マーヴィン様の研究はすごい。


先程の、物の転送装置。

今はまだ、一度に運べる量も少なく、また、新しい転送装置も、現代の技術では作れないと、問題が多くあるらしいのだが。

これを何とかしようと、熱心に研究されている。

マーヴィン様の研究により、今年から運べる量が増えたそうだ。


それだけではない。

災害が起きた時や戦時に、物や人員をどう効率よく転移させるか、とか。

虫の大量発生で農作物が打撃を受けることがあるので、その時に虫だけを転移させる方法、とか。(ちなみに、虫の予定転移先は焼却炉内だった)


行っているのは魔法の研究だが、農業や政治、経済等への造詣も深く、そして何より、国民生活に寄り添って、考えてくださっているのがわかる。

国の為に出来る事を、直向き(ひたむき)にやってくださっているのが伝わってきて、本気で尊敬する。


優秀な上に、心までイケメンじゃないですか!!!

最高かよ!!!!




やっぱり、皆で感謝を伝えるべきでは!?!?



ここまでして下さっているのに、表に一切名前が出てきていない事にモヤついて、夕食の席でお父様に聞いてみた。



すると、大変困った顔をされた後、

「ロイス伯爵自身が、ご自分の名前を前面に出されることを、嫌がっていらっしゃるんだ。

彼はほら……見た目が、その、まぁ、アレだろう?

忌避感や嫌悪感を持たれる事が多いから、前面に出されても困ると。

研究結果まで悪感情を持たれてしまう、などと言うことになりかねないと、恐れていらっしゃるんだ。」

とおっしゃった。



えぇ……なにそれ。

そりゃ、見た目が女神様に似てない事はわかるけど。

だからって、努力して成し遂げた事にまで、ケチがつくの?

国の為に、こんなにも貢献しているのに。

それすら認められないの?


聞いたら、モヤつきがムカつきに変わったわ…………

むすっと黙り込んだ私を見て、慌ててお父様が、きちんと貴族家の当主たちには誰の成果なのか理解されているし、陛下から褒賞も出ているからと言われるが。


そんなの、あ た り ま え ですから!!!!



マーヴィン様を、もっと褒めて、認めてあげてよ!



なんで、私、今まで知ろうとしなかったんだろう。


勉強不足を痛感して、今後は、マーヴィン様の婚約者として、もっとしっかり知識を付けていこう、と決意を新たにする。



というか、女神様に似てる見た目が一番美しいって何よ。


皆同じ顔してたら怖いでしょーが!

女神様だって、自分のコピーばっかりじゃ嫌でしょ!?

似てる人に加護を与えるって、そんな訳ないでしょ!

どんだけ自分好きなのよ!!



私からしたら、マーヴィン様の見た目は国宝級に美しいっつーの!


見た目も中身も最高だっつーの!!!!


なんでマーヴィン様の扱いが、こんなに酷いの!?




……だいぶ怒りのボルテージが上がってしまった。

落ち着かなくては。


でも。

この日、私は心に決めた。


マーヴィン様は、絶対幸せになるべき。


だから、私はマーヴィン様が幸せになれるよう、全力でサポートしよう!!、と。



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