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戦闘訓練〜幕間〜


〜破魔乃氷見〜


 試合が終わり、選手控室。そこで私は正座させられていた。


「ちょっと、なんであの場面で飛び出したの?」


「本当に、無茶ですよ」


「まぁ、私は氷見のそういうところ、尊敬してるんだけどな。でも、まぁ、」


「「「説明してくれる?」」」


 試合の後、私はチームメイトに一斉に責められていた。

 目の前に壁のように立ちはだかっているチームメイト達は、まるでダンジョンのボスのような気迫をまとっていた。

 故に、彼女らのオーラみたいなのがドス黒く見えてしまう。

 当たり前。うん、当たり前のことなんだけど、どうしても仲間に責められるのはきついところがあるな。


「えっと、その、あのときの私は私じゃなかったというか」


 下手な言い訳。これで許されるはずもなく。


「はぁ?そんな見え見えの嘘、騙されるわけないでしょ?」


 さっきよりも眼光が鋭くなる。これは・・・更に本気で怒らしてしまったときの眼ですネ。ハイ。


「ごめんなさい」


「「「ダメ」」」


「なぁ〜んでよぉ〜」


 私の悲痛な叫びだけが、あたりに虚しく響いたのであった。


〜刈谷銃兎〜


「なぁ、めっちゃひーちゃん怒られてるんだけど、助け舟出したほうがいいのかな?」


 選手控室の前。扉が目と鼻の先にある位置で、僕は玄都(くろと)に聞いてみる。


「やめたほうがいいと思う。銃兎は」


「一応聞く、なんで?」


 後ろを向いて少しムッとしながら言ってみる。

 すると、一つ小さくため息をついて理由を説明する。


「俺達がなんでここにいるかわかってるよな」


「もちろん、氷見を慰めるためだろ?」


(チッ、さっさと付き合っちまえよ!)


 なにか玄都が言ったように聞こえたが、まあ気にしなくていいだろう。それに、表情もそんなに変わっていない。


「冗談は置いておいて、普通になんで?待機しに来ただけじゃん」


「この格好でか?」


 格好?と思い下を見てみると、()()()()()()()になっていた。

 黒いフードのローブに身を包んでいる姿。そう、()()()()格好をしていた。


「あ、忘れてた」


「はぁ、なんで今まで招待を隠しきれたか、疑問にしかならないな」


 玄都―――正体は「影の勇者」、1()1()()()()()のうちの一人である。そして、僕の一番のライバルでもある。


「だって、常時展開式の隠匿魔法をかけているんだもん。本気でやってるときは本気で気をつけてるけどね」


 ま、今までのは冗談だしね。と少し笑う。


 ため息をつかれてしまった。本当に心配性なんだから。


 音もなく、しばらく廊下を移動していく。次第に、人気が全くないのに小綺麗にされている廊下になっていく。その脇の一室。の、左隣に魔力を少し込めた手を近づける。すると、隠れていたドアが現れ、カチッと鍵の空いた音が聞こえる。


「で、今日はどこまで実力を出す気だ?俺はどこまで実力を出せばいい」


「あぁ、それなんだけどね。今日ばっかりは難しいから、少しだけ本気を出してもらうよ」


 いい?とドアを開けながら聞いてみると、「内容による」と短く返された。


 ドアを開けた先に広がっていたのは様々な銃が壁にかけられている部屋。黒く光る銃身がやけに目立つ。


「君の『影』を使ってコアの部分の強度を弱くさせる。そこに貫通系のスキルや魔法を集中させる」


「わかった。ちなみにお前はどの武器を使う気だ?」


 少しだけ歩いて、壁に飾られているショットガンに手をかけた。―――レミントン870。これは8発内蔵できる有名なショットガン。まぁ、用いるのは魔弾だからそんなのはほぼ関係ないけど。


「今回はスラッグ弾で行くつもり」


「・・・なるほど」


「あ、言い忘れてたけど今回は倒すつもりだからね」


 陽気な声で伝えると、少し眉間にシワを寄せながら


「何故だ?」


 と、手短に聞いてきた。銃の整備をしながら手短に、納得してくれるように説明を加える。


「僕達が潜入している理由は、学園内に潜入している敵対組織『無限輪廻の集い(ウロボロス)』の幹部の発見と撃破及び拘束だ。覚えてるよな?」


「もちろん。だが、それと今回の訓練に何の関係があるんだ?」


「相手は一向に尻尾を見せてくれない。そこでだ、相手の目的を逆に利用してこちらに接近させる」


「なるほど。無限輪廻の集い(ウロボロス)は今回の潜入で、実力のあるものを洗脳を用いて仲間に引き入れようとしている。これはスパイからの信用できる情報。それを逆手に取って・・・ということか」


 無言で、玄都に向かって頷き返す。本来ならハイリスクな作戦を、勇者という実力を行使してローリスクハイリターンにするということを理解してくれたようだ。

 別に結局のところいい案が思いつかなかったとか言うわけではないから。うん。


「じゃ、頑張りますか」


 そう言って僕らは扉の外へ歩き出した

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