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幼馴染みと私

未来の私へ

一層のこと他の人を好きになりたかった。苦しいよ。これ以上好きにならないようにしないと。好きって伝えられたらいいのに。伝えたらいいのかな。けど、ダメだったときどうしたらいいの?

一回目の私はきっと逃げたんだよね。だから、逃げないでってアドバイスをくれたんだよね。月曜日憂鬱だな。


鍵付きの日記を引き出しにそっとしまった。眠れるような眠れないような夜を過ごし翌日になった。


ピンポーン、ピンポーン

「ママ、誰か来たよ」

返事がない。あ、弟の試合に行くって行ってたな。お姉ちゃんは学校か。仕方ない。ってか誰だ、今日は土曜日だってのに。ぶつぶついいながら玄関を開けると、孝義がいた。

「おはよ!」

「いや、どうしたん?」

「一緒に勉強しようって昨日言ったじゃん」

「イヤだって言いませんでした?」

「聞こえなかった。勉強道具持ってきたし一緒にやろうぜ」

「私、寝起きなんだけど」

「有紀、刺激的な格好をしているな!早く着替えてこい!」

突然来てなんなんだこいつは。とブツブツ文句を言いつつ学校のジャージに取り替えた。

「お前、せっかく可愛いのに本当に色気がない」

「は?」

「その格好だよ!学校のジャージ。しかもズボン切ったやつ普通履くか?」

「何か文句ある?」

「さっきのパジャマの方がよかったぜ」

「アホな事言ってなくていいわ。今、健二と祐里子も来るからね」

「皆でわいわいだな」

「二人きりはダメでしょ。どう考えても」

「何でだ?」

「色々誤解されると面倒なんです。あなたがモテるので」

「まぁ、俺はモテモテだからな」

「うるさいなぁ。私落ち込んでるんだから絡まないでほしかった」

「お、恋の悩みか?」

「本当に黙っていただきたい」

「有紀は可愛いからな」

「あんたとママの、可愛いが世界で一番信用できない。あ、そういえば。おばさんにドーナツの話した?」

「したした」

「良かった」

ほっとしていたら、チャイムがなった。

「あ、健二達きたかな?」

立ち上がろうとしたら、孝義に手を捕まれた。

「なに?一緒にいく?何なら孝義行ってきてよ」

「有紀」

ぐいっと引っ張られよろけてしまう。

「うわっ」

ドサッと倒れて孝義に抱きしめられていた。

「有紀、ありがとう。昨日家に帰ったらちょうど揚げ物をしてたんだ。母ちゃん忘れて電話してて。危うく火事になるところだった。台所は少し焦げたけどな。ありがとう」

「大丈夫だったの?怪我は?」

「大丈夫。すぐ消えたから」

「良かった」

「有紀は恩人だ」

「そんな大げさな。けど、本当に火事にならなくて良かったよ」

「あぁ」

「そろそろ離してくれない?」

ポンポンと背中を叩く。離れた瞬間、孝義は額にキスをしてきた。

「ちょっと!」

「有紀、好きだぞ」

ニコニコしながら更に抱きしめられ身動きが取れなくなった。

「もう幼稚園児でもないんだから、こういうのはやめて!」

ギャーギャー騒いでいたら健二がやってきた

「勝手にあがったぞ」

「遅い!孝義に襲われてる!助けて!」

「いくら孝義とて、お前のその姿をみて襲う気にはならんだろう」

「ごめーん、遅くなった。何してるん?」

祐里子がひょっこり顔を出す。

「孝義に襲われたって有紀が騒いでいる」

「有紀、ちょんまげに短パンって幼稚園児か」

「おい、お前達。有紀に失礼だぞ。可愛いじゃないか。幼稚園の時とまったく変わらない」

「孝義は昔から有紀が大好きだもんね。さ、そろそろ勉強始めよ」

賑やかに過ごしたおかけげで少し気が楽になった。

「そろそろこんな時間か。帰ろうか」

「そうだね、私も帰ろう」

「おう、またな!」

「孝義も帰れ」

「えー、今日はおばさんの料理を食べて帰るぞ」

「健二、連れて帰って」

「了解」

健二にずるずるひきづられながら孝義は帰っていった。

明日、学校か。ちょっと憂鬱だな。アイスでも買ってこようと思い立ち、近くのコンビニまで行く。

何台かバイクが止まって柄が悪い人たちが数人騒いでいた。目の前は警察署だって言うのに怖いなぁ。できるだけ気づかれないようにコンビニに入ろうとしたとき知っている声に呼び止められた。

「有紀!」

「え?真?」

「偶然だな!何か買いにきたのか?」

「アイスだけど、え?なんでこんな所にいるの?」

「今日は友達と遊んでたんだよ」

指をさした向こう側には柄の悪い連中がバイクをふかし、こちらをニヤニヤ見ていた。

「あはは、有紀は普段着はそんな感じなのか?」

その言葉に自分がちょんまげとジャージだと気がつく。さっきまでは恥ずかしくなかったのに、やはり好きな子の前では恥ずかしいと思う。

「いや、今日は勉強してたから」

「真面目だな!」

「まこちゃんも勉強しなきゃ」

「おれは大工になるからいんだよ」

「大工でも高校はでないとね」

「有紀が大学出てくれたら俺はいいでしょ」

「ん?よく分からないけど、私アイス買うからまたね」

コンビニに入ると孝義がいた。

「あれ?孝義帰ったんじゃなかったの?」

「よう、アイス食べたくなってさ」

「分かる。なんだ一緒に来れば良かったね」

一緒にコンビニから出て、真の方を振り向き大きくバイバイをした。

「あいつって一組の?」

「そう、まことちゃん。可愛いよね」

「お前、男に可愛いはないでしょ。ていうか。あれは可愛いフリしてるだけで可愛くないだろう」

「そお?足がめっちゃ速い。可愛くて足が速い」

「俺も早い。かっこよくて足が速い」

アイスを食べながらあきれ顔をしてハイハイと頷く。

「ゆき競争するか?」

「その挑戦受けて立とう。じゃぁ、私のアイス持ってて。あの電柱に私が着いたらスタートね!」

「アイス持つのかよ」

「落としたら2コ買い直しね。私が走ったら走ってきてよ。ゴールは拉麵屋ね!」

笑いながら電柱に向かう。

「顔面にアイスつけてやる」

電柱につき大きな声でよーいどん!と言った。たった50メートルしかないのに、足音が近づいてくる。うそでしょ!怖い!と笑いながら全力疾走をし、もう少しでゴールという時に後ろから抱きかかえられた。

「あはははっ!抱きつかないでよ!やっぱり足速いね!ん?!アイスは?」

慌てて振り向くと孝義ではなく、真だった。

「有紀ちゃん、捕まえた」

「え?真?」

「楽しそうなことしてるなって思って勝手に混ざっちゃった」

「混ざっちゃったって孝義は?それよりも離れて!」

抱きつかれていることに気がつき慌てて体を離す。更に振り向くとアイスを落として突っ立っている孝義がいた。

「あれ、落としたの?」

急いで孝義のそばに駆け寄る

「いや、これは...」

「幼馴染み君いっけないんだ、有紀ちゃんのアイスだけ落として。あ~有紀ちゃんかわいそう」

「そんな事言わないで。走りすぎて喉が乾いたからいいよ」

「すまん」

「いいって。ジュース買ってもらうから」

「それだ。任せとけ。半分こしようぜ!」

「なにそれケチじゃない?」

「中学生の小遣いなんてそんなもんだろ。じゃぁ、あそこの自販で買ってくるわ」

「炭酸がいい。じゃぁ、まこちゃんまた来週ね!ほら、友達呼んでるよ」

「あの幼馴染み君と仲いいね」

「まぁ、3歳から一緒にいるから兄弟みたいな感じだよね」

「兄弟ねぇ」

真は可愛い顔をしているが、ふとした瞬間とても大人っぽい表情をする。ただ、その表情の時は少し怒っていたり寂しいときにするのだ。そういうところがほっとけない気持ちにさせる。

「私、まこちゃんとも仲良しだよ。だから、まこちゃんには特別にこれあげる」

私は真の手をとりポケットに入っていた飴を握らせた。真はそれを見て爆笑をし

「うん。やっぱり有紀はいいね。じゃぁ、俺もう行くね」

「気をつけてね。まさかバイクに乗らないよね?」

「乗るよ。後ろだけどね」

なんとも言えない気持ちになり黙ってしまう。真もそれに気づき黙る。

「孝義、待たせてるから帰るね。気をつけてね。」

「おう。またね」

私は孝義の元へ向かい、真は彼の居場所へ。どんなに好きでも埋まらない溝がある。私は、真の居場所へは行かない。真は私の居場所を拒絶している。私達がお互いに惹かれ合うのはお互いが正反対にいるからだ。私達がもう少し大人だったらきっとこの溝の深さは違うのかもしれないが、所詮中学生だ。分かっていてもどうすることも出来ない。ただ、今は彼を好きという気持ちを大事にしていこうと思うのだった。

「お待たせ」

「ほい、レモンジュース」

「ありがとう」

「あいつ、足早かったなぁ」

「そうでしょ」

「でも、有紀」

孝義が突然立ち止まり真剣な声になった

「あいつを好きになっちゃダメだ」

「何よ突然」

「住む場所が違うぞ」

「そんなことないよ。同じ中学生じゃない」

「俺にしておけ」

「はいはい。じゃぁ、私に嫁のもらい手がなかったらもらってくれる?」

「おう、いいぞ。22歳になったら結婚だ」

「残念。私が22歳の時はモテモテだからダメだ。40歳になって独り身だったらもらって」

「おそ」

「孝義が、つるっぱげになっても愛してあげるよ。40歳でお互いが独身ならね」

くしゃくしゃと孝義の見事な坊主を触る。

「残りのジュースやる」

「優勝者へのご褒美だからね」

「じゃあ、またな」

「うん、また明日」

その日の夜はずっと真のことを考えていた。

「そういえば、気まずいかなって思ったけど気まずくなかったな。良かった」

また月曜日が楽しみになった


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