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02 (空から少女と黒猫が降って来た)

 2050年…発達した機械人であるエレクトロンと人類の戦争があったらしい…。

 戦争の終盤、インターネットに繋がっていた すべてのコンピューターの情報が失う『何か』が起こり、人々は歴史や文化、技術を失い、争う理由も消滅した…だが遅かった。

 戦争で地球はボロボロ…隕石やらスペースコロニーやらの大質量兵器の運用により、地表に大きなクレーターが いくつも生まれた。

 衝撃で生まれた地殻変動や発生した津波、舞い上がった灰は太陽からの光を遮断(しゃだん)し、地球の気温が大幅に低下…。

 日光を遮られた事で光合成植物が酸素の生成能力が低下し、低酸素状態になった事で 一般化した宇宙服『パイロットスーツ』が無しでは 外に出られない状況になってしまっている。

 さて、そこで人類は『地球の環境が回復するまで 大人しくしていよう』と言う事になり、生産、消費が自己完結している自給自足都市『アーコロジー計画』が立ち上がり、人々は 巨大な地下空間に快適な環境を造って住み始めたのだ。


 クラージョ(オレ)は 狭い空では無く、本当の空を飛びたい。

 日常生活を送るには問題無いが、飛行機にとって この直径20kmのアーコロジーは狭すぎる…エアトラなら端から端まで10分も あれば簡単に辿り着けてしまうからだ。

 ただ 大戦後 何度も優秀なパイロットが外に出て 救援を求めに行ったが、長距離飛行の生還者は0。

 そして 今では 外に出る事が禁止され、唯一の例外は パイロットが都市の資源採掘目的で 外に出る事だ。

 それでも無線可能な距離 60km位が限界で、墜落して救助を待つ人も多い…。

 そんな訳でオレは、資源採取で外に出る為に エアトラの操縦を扱っている職業訓練校で勉強をしているのだった。


 オレが通っている訓練校は外周にある…。

 墜落する可能性を考えると、中心部の人口密集地帯を飛行する事が出来ないからだ。

 そして授業が終わった放課後。

 オレは電気オートバイ(エレバイ)に乗り、近くの家に帰宅する途中…。

「あれっ?エアトラ?」

 空を見上げると エアトラが聞きなれないエンジン音を出し、フラフラと危なかっしく飛んでいる…

「放課後なのに…今日って飛行予定は ないよな…エンジン音も違うし、テスト機か?

 それにしてもヘタだな…もう少し大胆に動かしても良いのに…あっ?」

 エアトラが外周部を周りながら高度を落とし、着陸 態勢に入っている…飛行場への着陸じゃない…ギリギリまで速度を落とし、推進剤が漏れているのか 線を描く様に白い霧が見えている。

垂直着陸(ヘリ)モードが死んだのか?となると…」

 翼の角度が変更 出来なくなった場合、滑走路代わりになる大通りに着陸するか、自然公園内の貯水湖に着水するかだ。

 あの位置から降下すると…。

「うん、自然公園だな…救助の必要もあるだろうし、行くか…」

 エアトラのパイロットには 事故を起こした機体を救助する義務がある。

 まだ正式なライセンスを持っていないが、救助しても良いだろう。

 オレは エレバイを走らせ、最短ルートで自然公園に向けて走らせた。


 自然公園には この都市では珍しい 天然物の樹木が植えられており、授業を終えた学生達が やって来て、キッチンカーの屋台で買い食いをしている。

 パタパタパタ…エアトラのプロペラ音が大きくなるにつれて、下の学生達が反射的に上を向いて 気付き、退避を始める…アマチュアパイロットが不時着する事もあるので、そこまで珍しくはない…ただ、ガチで破損した状態での本当の不時着は非常に珍しい。

「これ、免停くらうんじゃねーか?」

 進入方向が違う、湖の端から入り、水上滑走路をギリギリまで使って止まるのが基本だが、あのエアトラはコントロールをミスったのか横にズレ、公園内に進入…ベンチやら自販機などに ぶつかって止まった。

「ふう…無事そうだな…さてと…」

 エアトラなら後部ハッチの横に緊急用の手動ハンドルがあるはず…あった。

 装甲のカバーを外すとハンドルが見え、右方向に回して行く…。

 ん?ハンドルが勝手に回る?反対側からも回しているのか?


「おい大丈夫か?えっ子供?」

 開けたハッチの中に飛び込み中を確認すると、見た目10才位の子供と黒猫がいる。

 何でエアトラを子供が操縦しているんだ?そもそも どっからパクった?

 取りあえず女のを持ち上げる…あっぶな…コイツ予想より重い…腰をやる所だった。

「くっ重いな~アンタ 喰ってるんだ?」

 オレは女の子をお姫様だっこで抱え上げ、エアトラからの脱出を図る。

「Ähm, Katze? Welche Sprache spricht diese Person?

 Es scheint nicht auf Englisch, Deutsch oder Japanisch verfügbar zu sein ...」

 女の子は 意味不明な言葉で黒猫に話しかけている非常にイタイ行動を取っている。

「Nun... das ist Esperanto... nun, diese Person hält Adele für ein Kind und sagt, sie sei zu schwer dafür.」

 はっ?この黒猫 喋れるのか?猫型ロボット?

「Was, das ist unhöflich」

「Ich bin 3 Jahre alt und 150 cm groß ... und wiege 80 kg, was ich für schwer halte ...」

「Bei einer Ganzkörperprothese ist das jedenfalls normal~」

「はぁ?言葉が通じないのか?どこから来たんだ?」

 外から来た?外国人?もしかしたら何かしらの信号を受け取って駆けつけてくれた救援かも…。

「„Verstehen Sie die Sprache nicht? Woher kommst du? „Es scheint so」

「„Ex Machina City“ in der Antarktis, sagen Sie es der anderen Person.」

「Ich verstehe私達は 南極のエクスマキナ都市出身よ」

「おっ、黒猫はオレの言葉が分かるのか…」

「ええ、私の名前は『カッツェ』、こっちが、妹の『アデル』」

「妹?」

 猫型ロボットが姉って…。

 パタパタパタ…オレは 空を見上げると翼を垂直にした エアトラが見える…あれは警察用だな。

 エアトラが空中でホバリングをする中、天井のスプリンクラーから放たれた雨がオレ達の周辺にピンポイントに雨が降り出す。

「警察だ…キミ達を毒ガスを散布した容疑で 逮捕する」

 エアトラから降りて来た警察がコイルガンのライフルを向けて言う。

「Hey, Adele, du wirst mich verhaften ...」

 カッツェが上を見上げ アデルに言う。

「Nun, es lässt sich nicht ändern, aber wenn Sie eine Strafverfolgungsbehörde sind, können Sie mit der Regierung sprechen.」

「|Sorglos aussehend...wir werden verdächtigt, Giftgas verteilt zu haben.」

「eh? Wirklich?」

「eh? Wirklich?…Es wird einige Zeit dauern, dieses Missverständnis aufzuklären.」

 まったく言っている意味が分からないが、カッツェが言い終わると アデルの肩に乗る。

 取りあえず黒猫のカッツェは こちらの言葉が分かる見たいた。

「あ~お巡りさん…目撃者として事情聴取に付き合います…そもそも会話が成立しないでしょうし…」

 俺はそう言うと、彼女達が乗って来たエアトラを放置し、警察用のエアトラに乗って都市の中心部にある警察署まで向かって行った。

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