第二幕
あいつなんだよ。
確かに前もって今日は一緒に帰れないって話だったけどさ。
友達と出かけるんだろうけどさ。
なんで。
「デートとかいうかな」
確かに日ごろから女の子と出かけるんだとしてもそういう表現日ごろから使うやつだけどさ。
「だとしてもウキウキしてたんだよな」
最近、明らかに明るかったし楽しそうだし。
「そりゃあ友達との時間を大事にするのは俺もいいと思うよ。俺だってあいつらと遊びたいって思うけどさ。だとしてもなんか態度が違う感じだったし、ってかデートって感じだったしなんだよあれ」
「あの」
「なんだよ」
「声に出てますよ」
「あ……。いやあの。って! それはいいんだよっ。お前も隠れろよ」
「いや。不審者にしないでください」
「俺が不審者みたいな言い方やめろ」
「不審者でしょ。どうみたって。というかなんで僕呼んだんですか」
「お前だって気になるだろ? 自分の彼女がデートなんて言って出かけたら」
「突然電話かかってきたと思ったら。一生のお願いだから来てくれなんて言うし。その上、制服隠れるようにしろってなんですか」
確かに電話してそういった。
「だから。彼女のデートが気になるだろって」
「ですから。僕は自分の彼女がデートで出かけると言われても、こんな風にあとをつけるなんてことはしませんよ。彼女の事を信じてますから。それに、ばれたら怒られると思いますよ」
「確かにあいつだったら嫌な顔するだろうけどさ。でも気になるだろ? 明らかに今までと態度違うんだぞ? しかもそういうの何度かあったし。こういっちゃ悪いが、たとえ女子と遊んでたとしても、他の女子とは態度が違うんだよ。あいつ女子にもモテるからダメなんだよ。彼女作られるかもしんないだろ? 二股とはあいつしないだろうから、俺が捨てられる可能性だって出てくるじゃないか」
まだ一人で歩いているから相手はわからない。
「確かに以前聞いた話の印象だと、かっこいい女性で男女関係なく人気がありそうな方だとは」
「だろ? 実際モテるんだよ……。ほんと……」
「心配でこういうことをするのであれば、呼ぶのは僕ではないほうがいいんじゃないですか? 学校でも部活でもそういうつながりのあるわけじゃない僕は違うのでは」
「え。友達だろ?」
「……」
黙るなよ。
「僕は友達なんですか?」
「ちがうのか?」
「……いえ。そう思われるのであればそうだと」
「え。だって。連絡するじゃん。自主練だって一緒にしたじゃん。……違うのか?」
不安になってきた。
一方的に友達って思ってたなら、こんな風に呼ばれるのはそりゃあ戸惑うよな。
「……いえ。友達ですはい」
「なんで不服そうなんだよ」
「……そんなまっすぐ言われると思わなくて」
……照れんなよ。こっちまで恥ずくなってきた。
「で。あとおいかけますか?」
「……おう」
突然呼んだ俺に付き合ってくれるんだ。大事にしないと。
……あいつ、楽しそうにしてる。
足取りが軽いあいつのあとを追いかけた。
なんか恥ずかしいけど。でもこいつ呼んでよかった。
なんか気持ちが軽いし。
「……でか部活お前は大丈夫だったのか? 呼び出しておいてこんなこと言うのも違うんだろうけど」
「それなら大丈夫です。今日は僕も部活なくて」
「なら。彼女との約束があったんじゃないか」
こいつにも彼女がいる。
試合に応援来てたのを見ている。
……彼女ともそういえば話してたな。
かわいらしい子だったし、あいつが好きそうな感じだったな。
俺たちは試合で顔合わせることあったし、ポジションも一緒だからいいプレイするなって思ってみてた。
「……彼女も予定があるということなので、別行動です」
……なんだよ。なんかありそうな感じだな。
「どうした。聞くぞ」
「……」
俺につきあってくれてんた。話ぐらい聞かないと。
少しためらいながら話だした。
「いえ。不審なことがあるというわけはないんです。ただ、僕の彼女も最近よく遊ぶ友人がいるようで。彼女の様子から友人と呼ぶのは少し違うようなんですけど。でも、他の人たちに比べてなんだか嬉しそうで」
「お前だって、彼女のこと気にしてんじゃん。え。今日彼女も他の子と出かけんの?」
「ええ。まあそうですね」
「前もってのやつ?」
「そうですね」
「ああ。まあ急に決まったのじゃないってところからするに、行きたいところがあるって感じなのかな。ほら、予約がいるとか、期間限定のを行きたいとか」
「その可能性は考えました。だから気にしてはいません。単純に彼女が仲良くしている人が増えたことにいいなと思っているだけです」
「でもその人の事教えてもらってないんだろ?」
「……」
だから黙んなよ。
「……その考えがうかぶなら、ご自身の彼女さんもそういう約束のお出かけだと思わないんですか?」
……痛いところついてきたな。
「俺のことはいいんだよ……。お前も前に話してたけど、彼女、なんでも話してくれる感じだったじゃん。聞けばいいのに」
「……あまり根ほり聞くのは嫌がれるかと。彼女は彼女なので」
そういう遠慮するのか。
とりあえず俺のことから話題そらせたかな。
彼女は彼女か……。かっこいい考えだし、余裕だな。
俺もそれができれば、こんな風に後追いかけることしないんだろうけど。
そういうのもプレイにはでてるな。
とふと思った。
俺とはちがって、周りをよく見ているから少し引いてるところがある。
すげー大事なことだ。
だから俺はこいつと話してみたいと思って声かけたんだけど。
「あ。お店にはいるみたいですね。……ってここ」
あいつが入っていったのは、とてもオシャレなかわいらしいカフェで。
……。
「男二人が入るにはハードル高いな」