第七幕
「うそー! それで絢ちゃんいいの?」
「ええ。なんだか気がらくになったので」
「うーん。絢ちゃんがいいならだけど。公然の秘密っていうの? 秘密にもなってないけど」
「質問に答えることに隠し事はいけないっていうのがあったんですけど。言いにくいことがあってもおかしくないなって」
「いやそうなんだけど」
「ふふふ」
思わず笑ってしまった。
「なぁに鈴ちゃん」
「すみません。絢さんの言いたいことも朔さんのいいたいこともわかります」
テンポのいいお二人の会話が好きで。
「なんでも話すからこそ話してないことが悪いことみたいになってしまうのは、ちがいますもんね。だったらいっそ隠し事ありきでいいと思います」
「そうだけどー。なんか絢ちゃんの彼氏君だったらないと思うけど、人によってはそれをいいことに遊ぶでしょ?」
「そういう人もいるでしょうね」
「いるでしょうねじゃないよー。……何かしたらちゃんと言ってよ? 絢ちゃん泣かせるとか絶対許さないから」
「ありがとうございます」
あの日よりも軽い笑顔の絢さん。
いいお話ができたみたいでよかった。
「朔先輩はどうだったんですか?」
「あー。ほんとごめんね。あいつが二人の彼氏まきこんで。何考えてんだかってかんじ」
「いえ。大丈夫です。……少し空気が違うように見えたのですが」
気になっていたことを絢さんが切り出してくれた。
確かに、朔さんの空気も違う。
「ああ。こっちも話したんよ。そしたら、あいつ結構いうようになって。といっても、校内での一緒にいる時間が増えたぐらいなんだけどね」
「いいじゃないですか。朔先輩。嬉しそうに見えますよ」
「まじか。はず」
「お二人ともお話されたんですね。なら結果として、朔さんの彼氏さんのされたこと、よかったということですかね」
「鈴ちゃんって案外こういうの面白がるタイプなんだね」
朔さんが意外そうな表情で私を見ている。
「ふふふ。ええ。楽しいです。それに。彼と親しくしてくださっている彼氏の方々には感謝しています。彼。あまり友人が多い方ではないので」
それに、あの人が安心できる二人なんだ。
今だってほら。
「とってもいい顔で練習してます」
「それなー。彼女そっちのけで」
今日は土曜日で。六人で集まっている。
私たちの机には教科書にノート。
で彼らは。
「勉強するって話だったのに、練習するとか」
自主練をはじめてしまった。
「彼はもともとこうなることを望んでいたので。だからこそここを選んだ形です」
練習ができる場所が見えるカフェ。
私と玲くんでよく一緒にいる場所。
今回の提案者は玲くんだから。
「驚いたよ。鈴さんの彼氏さんが提案してくれただなんて」
「あいつめっちゃ喜んでた」
「よかったです。あの後彼と少し話したんです。お互いの楽しいことが一番だってなって。私にとっても、玲くんにとっても皆さんといるのが楽しいってなって」
「だとしてもすごい勇気いるくない?」
「朔さんの彼氏さんとはあの日をきっかけに、連絡先を絢さんの彼氏さんを経由して知ったようで。朔さんがいうほど玲くん勇気ふりしぼってという感じではなかったですよ。俺は連絡したからりんもって」
「かるー」
「鈴さんもそれでいいってなったんだね」
「はい。絢さんと朔さんと話して、私たちは私たちの流れをって。私たちにとってそれぞれお二人とお話すること。お会いすることはいい表情を見れるからって」
まあ。玲くんが俺が一緒なら嫌だと思わないし、俺も見れるからいっそ一緒にいたい。なら六人でお互い楽しい人たちとすごそうってなったのは言わない。
「そうそう。あのさ。今日あって開口一番。鈴ちゃんのことよろしくお願いしますって。仲良くしてくださいって」
「言われましたね。あれは。彼氏公認ってことでいいの?」
「はい。絢さんのおっしゃるとおり、彼氏公認のお二人です。お二人の事。彼氏さんがあの二人だから、いい方たちだろうって」
「え。まって。あいつからの私オッケーってこと? なんかいや」
「朔先輩。それはしたかないですよ。私たちちゃんとお話ししたことないんですから」
「そうなんだけど―。あいつが知ったら調子のりそうだから言わないでおこ」
「ふふふ。玲くんも言わないと思うので、耳に入ることはないと思いますよ」
玲くん。お二人とは私の話はあまりされないっていってし。
「さて。あの人たちをほっといて。私たちは私たちで」
「そうですね」
「うん。今日も女子会!」
次は三人だけで会おう。
こうして六人もいいけれど、結局そっちのけになるのなら。
……本当に楽しい。
ここで彼女たちのお話は終わりです。
彼女たちが楽しい時間を過ごしてくれていたら、嬉しいです。
そして、読んでくださった方、ありがとうございます。
誤字脱字に読みにくさがあるかもしれません。精進します。
20周年ありがとうキャンペーンに参加しています。
テーマの勇気がわかりにくいかもしれませんが、皆さんの感じたものが彼女たちの勇気です。話し合うことも、言いたいことを言うことも。隠すことも。ほっとくことも。皆さんはどんな勇気を感じられたでしょうか。




