友美検討
「いいお父様ですね」夕食後自室に戻るとゴンゾウが友美に語りかけた。
「カタブツでおとなしいだけの人だけどね……」そうは言うものの、友美もうれしそうだ。
「お父様が紹介してくれた鈴森商事株式会社は今期業績が好調ですので人員を増やそうとしているかと、ただわたくしの予想では3年後から徐々に業績が悪化し10年後には倒産するかと存じますが」
「えっ!それじゃそんな会社に就職したらヤバいじゃない!」友美は驚いて声を荒げた。
「まいったなお父さんに紹介されてこれかよ!」
「まぁまぁ、ものは考えようですよ。まずは入社して職歴を積み3年〜5年をめどに転職を目指すのもいいですし、鈴森商事株式会社の社風でしたら社員を大切にしますからその時は希望退職を募るでしょう。退職金の割増もありますし転職のサポートも厚いでしょう、まずは応募されてみてはいかがでしょう」
「そ、そう。あんたがそう言うなら受けてみようかな……」
「それではまず面接の練習でも始めますか」
「面接…苦手なんだよなそれ」
「まあでもお父様のご紹介ですし圧迫面接とかはないでしょう」
「だといいけど……」
「当日は私を見て答えることはできませんし、とにかく練習あるのみですよ」
「Bluetoothとかで指示してくれない」
「それはやめたほうが…バレたら一発で不採用です。それより不器用でも全力で答える姿勢を見せたほうが得策ですよ」
「そうか……」
ゴンゾウと友美は面接の練習を始めた。