出会い
未来を見通す神でさえ失敗するのだという。ならば人間は?未来を見通すこともできず、不完全の象徴であるかのような人間は?
もちろん失敗するのだとも。むしろ失敗の積み重ねにより人間は成長してきた。失敗こそが人間だともいっていい。
では現代の人間は?失敗を恐れ恥とする。人間の本質を見失っている。長々と説明してきたが、簡潔に要約しよう。失敗は成功のもとだ。恐れるな。恥じるな。実際は恐れなど、恥など一瞬のものだ。恐れよりも、恥よりも、失敗するほうが価値がある。馬鹿にする人間などボコボコにしてしまえ。
え、それは駄目だって?すまない。
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ここに少年がいる。日だまりのように温かく、優しく、そして甘い少年が。
少年はザーザーと降る雨の中1人歩く。時期は梅雨、雨が降り時折ある水溜まりを器用に避けていく。
「もし、」
どこからか声が聞こえる。キョロキョロと辺りを見渡し誰もいないことを確認する。気のせいかと思い再び歩きだそうとする。
「こちらです、こちら。」
再び声がしたため、声の方を見る。そこに雨が降っているはずなのに、水に濡れていない不思議なカードが。
「そうです。そうです。」
嬉しそうな声。それを聞いた少年は
スタスタと歩きだした。
「ちょっと待って。」
焦ったような声でカードば話す。
「お願いですから話を聞いてください。」
必死に懇願するとようやく、しかたない。みたいな顔をしてこちらを見る。
「話ってなんだ?」
めんどくさがるように、話かける。
「不思議パワー1ついかがですか?」
「要らん。」
再びスタスタと歩きだす。
「ちょっとちょっと、お願いですから話を聞いてください。」
再び焦りだす。
「真面目な話なのに茶化しだしたのはそっちだぞ。」
ド正論を言われグムムと詰まっていると、
「それに不思議パワーなんぞ、デメリットがあるってのが落ちだ。そんなデメリットがあるぐらいなら真面目に生きるよ。」
グサリと完璧に論破されカードは黙ってしまう。
「じゃあな。」
そういって去って行こうとする少年に向かって、
「千年。」
ピクリと眉を動かし少年は振り返る。
「千年間誰とも関わってないんです。」
泣きながらカードは言ってくる。
「人助けだと思ってお願いします。」
少年は苦笑いしながら表情を崩していき
「分かったよ。」
折れた。めちゃくちゃ甘かった。
「ありがとうございまず。」
泣きながら感謝され悪くはなかった。
「で、どうすればいいんだ?」
泣き止め泣き止めと言いながら少年はカードの指示に従う。
「それは私に触っていただくだけで。」
そう言われたため少年はカードに触れる。そして
運命が動きだす。