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「手紙を書くのにどれだけ時間をかけておる。」
外で手紙の完成を待ちくたびれているロクサーナがガイに言った。
ガイは「貴方が僕の倍は書いているので封をするのに手こずりました。」
と言いたかったがそれを呑み込んだ。
すみません、と苦笑いをしていたガイにロクサーナは続けて言った
「よし、せっかく緑の魔導士が来ているんだ。
本物の使役魔法を見せてもらおう」
ロクサーナはマリベールにそういうと
マリベールは眼鏡をクイッと上げて珍しい物を見るようにこちらを見つめた。
「あ、僕は魔法も弓もどっちも中途半端で…」
「言い訳はいらない、いいからやりなさい」
「…では、やってみます…。」
「やってみる、ではない。
試しなんていらない。やるか、やらないか、だ。
そして今は、やるんだ。」
そんな魔力量で「中途半端」なんてことがあるのか、ロクサーナはそう思った
魔法とは便利なもので、人類の成長と共に進化し、その種類は多岐にわたる。
赤、青、緑、白、黒とカテゴリー分けがされており、そのカテゴリーの中でも種類分けがされている。
緑魔法は植物操作や動物や魔物の使役、が得意で自然との融和や共存で
その力を借りて怪我を治したり、肉体強化をすることが出来るのだ。
「やります!」
ガイは深呼吸をして動物を呼んだ。
――手紙を持たせるなら鳥だろうか
加護の儀式も中断したのかな
二人には悪いことしたな
村のみんなも心配してるかな
そうだ、急いで届けてくれそうな鳥がいいな
目を瞑り、そう心の中で自答していたら目の前で鳥の羽ばたく音が聞こえた。
目を開けるとそこには大きな鷲がこちらを見ていた。
「竜巻鷲だ」
――図鑑で見たことがある、荒れた山場や海辺の切り立った岸壁に生息している中級のモンスターだ。
聞いていたこの辺りの地形には合いそうがないけど、群れからはぐれたんだろうか。
図鑑で見たまんまのきれいな空色の翼に見とれていたが、ハッと我に返った。
呼びかけに応じてこの場に召喚された竜巻鷲へ、力の源である魔力を供給し
郵便任務をお願いすると、「ピィーーーッ!!」と元気に飛び立った。
「これが、中途半端、かい?」
ロクサーナがニヤニヤしながらそう言ってきた。
マリベールも「すごいです!」と言わんばかりに目をキラキラさせながらこちらを見ている
「これは、おかしい…」
ガイ自身が一番驚いていた。