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モヤがかかった犬
2重の扉を開けて部屋に入る。部屋は中央に犬の入った檻があり、隣の部屋がガラス越しに確認できる、取調室のようだと思った。
「あの犬、正確には狼らしいんだけど…どうかな?」
「どうかな?と聞かれても…モヤがかかっていて見えにくいなと」
よく見ようと檻に近付くと犬、いや狼が低い唸り声をあげる。唸り声を聞いて驚いて近付く足を止めると、隣の部屋からスピーカー越しに声をかけられた。
「お前の見えるモヤとはどのように見える?詳しく説明してくれ」
この口ぶりからすると見えてないのかな、と思い同じ部屋に居る若い研究者に目をやると、頼むと言わんばかりに頷いた。
「えっと、ドライアイスに水をかけたみたいに狼から黒い煙というかモヤというかが出てて、部屋中に漂ってる感じです」
そう答えると、隣の部屋の老人の研究者が少し考え他に変わったところは無いか聞いてきた。
「変わったところ…強いて言うなら、部屋の角…あの辺りにモヤが集まって居るような…」
そんな自信の無い事を言うと分かったと言い、部屋を出るように促した。
「部屋を出て研究室に戻ろう。詳しく説明してあげるよ」
そう言うと一安心と言った感じで若い研究者は部屋を出ていった。




