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前編

初投稿です。

思ったより長くなってしまいました。

よろしくお願いします。

アシュタント王立学園 卒業パーティーでそれはおこった。


「レティシア・ランメリー公爵令嬢。今ここで貴女との婚約を破棄し、新たにここにいるリリー・プラトン伯爵令嬢と婚約を結ぶ事を宣言する。」


我が国の第一王子、クリスティアン殿下が高らかに宣言した。


楽団の演奏も、会場にいた人びとの動きも止まりあたりが静寂に包まれる。

現在、この会場には学園の卒業生・在校生及びその保護者がいる。

殿下も卒業生なので、陛下・王妃様もいらっしゃる。

当然、重鎮やその他大勢の貴族もいるわけで。

その中での突然の宣言は、皆驚き固唾を飲んで見守っている。

今流行りのアレだろうか。


「まあ、婚約破棄ですか。それは陛下の了承を得ての事ですわよね?」


「そ、それは…だが、必ず了承してくださる!」


そうでしょうね。

これだけの貴族前で宣言したら撤回等できないでしょう。

たとえ殿下の後ろで陛下が高速で首を振っていようとも。


「そうですか。承知致しましたわ。」


表情を出さないように努めながら返事をした。


まだよ。まだ、喜んではいけない。


あっさり私が頷いたからか殿下の目が見開く。


「それだけではない!お前はリリーに対し酷い嫌がらせをしたそうだな!今すぐリリーに謝罪しろ!そして永久に国外追放だ!」


なにやら冤罪を被せられました。


「国外追放、ですか。殿下に罪状を決める権利は御座いませんが、断言なさるのでしたら陛下の命でもあるのでしょう。お受けいたしますわ。」


またも陛下が青くなって首を振っている。

陛下も王妃様もお顔の色が悪いですわ。

事前に何も言っていなかったのでしょう。

ですが、学園のことは学園で解決。

生徒同士の話し合いで決着をつけるのが決まり。

たとえ国王陛下であっても手出しできません。

少し考える素振りをして、不思議そうに言う。


「嫌がらせをした覚えがありませんわ。」


「しらばっくれるつもりか?全てリリーから聞いている。言い逃れは出来んぞ。」


こちらを見下ろし、馬鹿にしたような顔で殿下が言う。


「何がありましたかしら?」


すると、それま殿下にしがみついて目をうるうるさせながらリリー様が声を上げる。

震えながら、怖いけど勇気を出します!みたいな感じで。


うわあ、あざとい。

生徒・保護者を含む女性陣の眉間に皺が寄った。


「私に、酷いことを言いました!殿下に近寄るなって!」


言い終わると同時に、涙が溢れる。


「確かに、婚約者のいる男性にむやみに近づいたり触れたりしてはいけないと言いましたけれど…それは暴言ですか?」


「全うな事を言う振りをするな!リリー嬢を突き飛ばして転ばせたろう!」


「池に突き落とした事もある!」


「階段から落としたろうが!」


取り巻き達が一斉に吠える。

なるほど。


「私、てっきりリリー様の奇病かと。いきなり自分から転んだり落ちたりするのですもの。」


「全てお前がやった事だろう!」


「いいえ?やってはおりません。」


「わ、私のドレスをわざと汚しました!自分でデザインして、着るのを楽しみにしていたのに…!」


「ああ、それはやりましたわ。見るに堪えなかったもので。」


「ほらっ!やっぱりしたんじゃないですか!」


「アレを着て恥を晒さずに済んで感謝して頂きたいくらいですわ。」


あの時のドレスを思い出しながら言う。

つい、ため息をついて遠い目をしてしまう。

あのドレス…どうしてそうなったのか聞きたい。

声を大にして聞きたい。


あの時、リリー様が着ていたドレスは肩にファーが付いており、上半身はピッタリと体のラインに沿っており、スカート部分は腰から裾まで四段フレアが薄い生地で出来ていた。

説明だけ聞くととても可愛らしい。

薄いピンクや黄色で出来ていたら花のようだろう。

青や水色で出来ていたら空や海のようだったろう。


なのになぜ。

ファーは白、体は黒。

スカート部分は黒と黄色を交互に配色。


それ、警戒色。キラービーやポイズンスパイダーと同じ色。

自分は危険だと言いたいのかしら。

他にも鈍色一色やらショッキングピンクやら、大丈夫かと問いたくなるセンスだ。


「ひっ、酷いです!服をデザインするの好きだから…!自分がデザインした服を着るの楽しみにしてたのに…!」


とうとう殿下の胸に顔を埋めて泣き出すリリー様。


「大丈夫だよ、リリー。僕が守るからね。」


お前が大丈夫かと問いたい。言わないけど。

殿下達はあのドレスを見てないからね。


「こんなに泣くリリーを見て何も思わないのか!」


「本当に冷徹な奴だ!」


「今すぐ謝罪しろ!」


やれやれ。騎士気取りもいいとこですわね。


「双方の話も聞かず片方のみの証言を鵜呑みしたあげく、泣いているだけで被害者ですか。ちゃんと調査をして物的証拠もあるのでしょうね?」


まっすぐ殿下を見つめてハッキリ言う。


「リリーが嘘を付くわけないだろう!証拠だってすぐに揃えてやる!」


ええ…証拠もないんだ?

思わずはあっとため息が出た。


「埒が明きませんわね。」


何もない空間から羊皮紙を数枚取り出してさらさらと書く。


書き終えると、殿下と取り巻きの方達に渡した。




お楽しみ頂けたら幸いです。

ありがとうございました。

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