9.メグは決心した
ふふふ ふふふ ふふふ ふふふ
「お・・・お嬢様。」
腹黒い笑いを浮かべて笑い始めたメグを見て果敢にも専属メイドのトリノは声をかけた。
「トリノ。」
「は・・・はい。お嬢様。」
「あのドケチはすぐに王宮に行くように言っていたわね。」
「えっっとどうでしょうか。」
「いいわ。すぐに向かいましょう。」
「いえ。お待ち下さい。すぐにとは言っていなかったと・・・。」
慌てて止めるトリノを無視するとメグは部屋を出ようとしていたホソイを呼び止めた。
「ホソイ。あなたも私と一緒に王宮にいくからそのつもりでいてね。」
「はぁー、絶対嫌です。」
「あなたを雇っているのはこのわ・た・しよ。」
「ならここをやめて他所の娼館に行くだけです。」
「ふふふ。それを阻止できるほどの力が私にはあるわ。」
「横暴です。」
「あなたの協力で私が一日でも早く戻れるようにできれば念願の男娼担当に鞍替えしてあげるわ。」
ホソイの喉がゴクリとなった。
「契約書は作っていただけるのでしょうか。」
「もちろんよ。給金も私がここに戻ってこれ次第、今より多く支給するわ。」
ホソイの目が大きく見開かれその場でメグに頭を下げた。
「お嬢様の仰せのままに。」
トリノはその様子を唖然と見つめていたがその後にメグに言われた命令に頭を抱えた。
「トリノ。あなたは王宮にいる恋人を通して大至急セドリック王子と面会できるように取り計らって頂戴。」
「お嬢様。いくらなんでもそれは無謀です。」
「大丈夫ですよ、トリノさん。彼はセドリック王子の文官ですから問題ありません。」
「なんでそれを知っているのホソイ。」
「トリノ。娼館の馬車を使っていいから行きなさい。」
「お嬢様・・・。」
トリノは涙目になりながら娼館の執務室を出ると馬車で王宮に向かった。
なんでお嬢様もホソイも私の恋人のこと知っているの。
いつバレたのよ。
トリノは心の中で悲鳴をあげていた。