18.起死回生の一手。
メグは自宅に帰り着くなり、約束通り男娼館にホソイを派遣した。
ホソイは終始嬉しそうな様子でスキップまでしながら去って行った。
メグは逆にその様子をみるにつけ悔しさがこみ上げてきた。
「くーなんでなんで私だけ・・・。」
そのあとはその悔しさを忘れようとすぐに夕食を用意させてそれをガッツいた。
ガツガツ・・・ごっくん。
パクパク・・・ごっくん。
はあぁーでもこの肉なかなかいけるわ。
フキンで口元を拭いてまたフォークとナイフを持って食べようとするとふと馬車の中でのホソイとの会話を思い出した。
戦端が開かれれば人も金もモノも動きますから・・・。
人も金もモノも・・・。
うーん・・・。
メグは考え事をしながらまた肉を口に運んだ。
もぐもぐ。
うーん。
戦争、イコール戦う。
戦う・・・。
戦えば・・・!
それに伴って・・・欲も動く。
そうよ。
食欲ならぬ色欲も動くわよね。
ウフフ・・・。
いいわぁ。
これなら行ける!
幸い地方イコール田舎なら支店を置くのに王都と違って許可もいらなかったわよね。
(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
いいこと思いついちゃった。
チャンスは一度。
それも早い者勝ち。
メグはそれから三日間ホソイと養父をぎゃふんと言わせるためだけに娼館関係の関連部署を寝る間も惜しんで駆けずり回った。
出発前に辛うじて要件を済ますとあまりにもフラフラだったので昔常用していた栄養補助食品ならぬ滋養強壮に聞く魔法薬をラッパ飲みしてから王宮に馬車で向かった。
「それではお嬢様お気を付けください。」
「あとは任せたわ。」
「畏まりました。」
メグは王宮前で馬車を降りるとそのまま兵士訓練用の広場に向かった。
兵士の訓練場に入ると出発前のためかそこは兵士たちで溢れかえっていた。
その人混みをスイスイと通り抜けて直接厩に向かおうとしていたところをレリックに捕まった。
「遅いぞメグ。何をしていたんだ。」
「遅いっていうけど時間通りよ。」
「普通こういう時は数時間前には来てこっちの準備を手伝うもんだ。」
「手伝うってそれはレリックたちの仕事でしょ。私は何日も王都の仕事を抜けなきゃいけないんで死ぬほどその準備に奔走してたのよ。」
「はあぁーたかが娼館の仕事と国民を守ることとどっちが大切なんだ。」
当然自分の仕事だと言い放とうとしたところに彼の副官であるレイが現れて用意が出来たと彼らの間に入って来た。
「まあいい。とにかく現地に出発だ。」
レリックを先頭に嬉しそうな表情のアンジェと王太子であるセドリックに見送られメグたちはすぐに戦場になる予定の砦に向かった。