16.再び戦場へ?
執務室に入って来たレリックはいきなり信じられない告白をし出した。
「ごめんよメグ。君の気持は先ほどアンジェに聞いたよ。でも・・・やっぱり僕は・・・。」
いやそれ思いっきり誤解だから。
やめてぇー・・・。
何をもじもじしてるんだぁー。
メグが思わず頭を抱えながら叫び出そうとしたところにレリックの背後にある扉を警護している近衛兵から入室を求める声が聞こえた。
セドリックが許可を出すとすぐに数日前に見知った人物が扉から現れた。
「隊長!」
まだグダグダと言い訳めいたことを呟いているレリックに副隊長のレイが何かの巻物を突き付けた。
「なんだ?」
「なんでいつもいなくちゃならないときにあなたはいないんですか。」
小さな声でブツブツと文句を言った後レイは持っていた巻物を読むように促した。
レリックは黙って渡された巻物を開くとその内容を読み始めた。
そこには国境にある砦から隣国が攻めてきたので応援を要請するというかなり切迫した内容が乱れた文字で綴られていた。
「あらあら。やっぱり始まっちゃったか。」
横からレリックが渡された巻物を読んだメグの軽い言葉に彼は顔を上げると彼女を睨みつけた。
「メグ。戦争が始まろうって時になんでそんな軽いことを言ってるんだ。」
メグは両肩を上げて軽く流したのでそれがレリックをさらに激高させた。
「メグ!」
「隊長。気持ちはわかりますがそれより応援要請をどうするんですか。」
レイの冷静な声にレリックが後ろにいるセドリックを振り向いた。
セドリックが無言で頷く。
なんでかアンジェも頷いていた。
それを見ていたメグは内心うんざしながらもそろそろと執務室の扉に近づいた。
そこにアンジェの止めの一言が放たれた。
「メグくれぐれも気を付けてね。」
「はあぁ?なんで私が気を付けるの。」
「わかってるわメグ。ツンデレね。」
アンジェがよく理解できない言葉を呟いた。
「ツンデレ?」
「大丈夫よ。あなたはレリックの部下になったんだから一緒に戦場に行けるから。」
「はあぁー戦場!なんで私がそんなところ行かなくちゃならないの。」
「そりゃあ私のお陰でレリックの部下になれたんだから一緒にいけるにきまってるでしょ。安心して頂戴。」
安心もしないし一緒に行きたくもない。
なんでそんな話になってるの。
メグが憤慨していると彼女の背後から呟きが聞こえた。
無事に王宮から出られたというこですぐに私を男娼担当に変えてください。
くれぐれもお約束を忘れないでくださいね!
ホソイはメグの背後から呟くとそのまま扉から出て行った。
くそっ。
王宮から出て市井に戻るんじゃなくなんで戦場にいくことになるの。
背後では緊急に増援する部隊の出撃準備のためレイが王太子とレリックの賛同を得たことで執務室を駆け出して行った。
レリックも王太子とアンジェに礼をすると呆然としているメグを引きずって執務室を出た。
メグはアンジェに手を振られ何とも言えない顔で執務室を退出した。
彼女の心の中は”なんでこうなったの!”という声が渦巻いていた。
私は何をミスったの。
どうして王宮から戦場に配置換えなのよ。
何がいけなかったの。