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出生……

前半冒頭は、グロい表現があります。

まぁ、東京喰〇的な人食デスネ。


────オレには、記憶がない。記憶と言っても本来の家族とかそういった類いのものだ。


────地に脚を立てた感触に覚醒する。


────ぷよぷよした体で目を開く。


────気が付けばそこに立っていた。


────見渡すとそこは荒れた平原だった。


────お腹がギュルギュルと鳴る。


────お腹が空いたのだ。


────下を視ると色々な屍が横たわっていた。


────ゴクッと、喉が鳴った音がする。


────痩せた白銀の腕が屍に伸びる。


────忌避すべき事であるが今はそんなことを考える余裕はない。


────口が大きく開く。乾いていた口が涎で潤い、口から垂れている。


────周りには屍しかいないことは分かっている。だからオレが見られることはない。遠慮はいらないから……。


────人族の男の屍だった。けど、今はエサにしか見えない。腹が減ったから。誰が好き好んで屍の肉を喰うだろうか。


────これは、オレが生きるために仕方なくやるのだ。


────グチュ……っと、肉を噛んだ。


────まだ腐ってなかったのは、運がよかったのだろう。


────グチュ、グチャ、グチャ、グチュ……。咀嚼する音が辺りに響く。


────咀嚼する度に気分が悪くなっていく。口にするモノではない……と、頭が警告している。


────それでも咀嚼を続ける。腹が減ったから。


────ゴクッ………。肉が喉を通った。


────力がみなぎる感覚が生まれてくる。


────白銀の体に変化が訪れた。体が人族の男のようになった。体は大きくなく子どもの姿形をしていた。


────けれど、変化に気付くことなく次の肉を食べる。


────一通り喰い終わって立ち竦んだ。


────体の変化に気付いて体を見渡してみると、そこには……。


────白銀の鱗に覆われた小さい竜の子どもが立っていた。






────これは、オレが『メタリファス』の名を持つ前の……この世に生まれたときの記憶。




■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



目が覚める。

寝てしまった様だ。赤子の体はままならない。


顔に影が入る。視線を上げると、オレの母親と思われる侍女が優しい笑顔で覗いていた。

しかし、しっかり見ると幼さがまだ残っているのが見てとれる。


「ふふ、リュート起きた様ね。やっぱり目元と髪の色は、私似ね。そろそろ一歳だからかな?見分け易くなって……あんまりあの人に似なくて良かった、良かった」


あぁ~、やっぱりこの女性がオレの母親で間違いない様だ。あの人って父親のことか?何か微妙な顔をしていることからあまり顔がよろしくないのだろうか。

父親がどんなのか気になるな。


コンコン……。

扉を叩く音が響き、一人の女性と腕に赤子を抱いて入ってきた。


「スミマセン、鍵は開いてますので……」


「エリシアー来たわよ~ん」


「王妃様?!ここ、侍女寮ですよ!しかも、ヒカーティリア様をお連れになってきて大丈夫なのですか?」


母親もといエリシアが来客に驚いて叫ぶ。

この人、王妃なのか……じゃあ抱いてる赤子ヒカーティリアは、王女様になるのかな?……というか王妃が護衛連れずに子どもと一緒に侍女の部屋に来るかのか?


「大丈夫よ~、一応外に護衛はいるから。それに、私の専属侍女の部屋を訪ねても良いじゃない。ヒカリをリュート君会わせたかったのもあるわよ~」


「お心遣いはとても有り難く思います。ですが、リュートは、いない者扱いなのですよ。それは、王妃が一番ご存知かと……」


顔に影が入る。何らかの事情……まぁ、どーせオレを身籠ったからとかそんな理由だろう。


「ええ、そうね。後、二人の時は、エルティアと呼びなさいって言ったじゃない。エリシアとリュート君だけに悲しい思いはしてほしくない……前にも言ったでしょ。半分とはいえリュートにはあの人の血が入ってる。つまり、ヒカリのお兄ちゃんなのよ!母親が違うそれだけの事で不幸になってはいけないのよ」


さっきののんびりした感じから一変し迫力のある姿になった。


「申し訳ありません、そして……ありがとうございます」


「あなたが謝ることなど何も無いのよ。全てあの節操なしのせいなのだから」


コキッ……と、空いてる手から音が鳴った。

笑顔なのに目が笑ってない。相当怒っているのが見て判る。


……話から察するにオレとヒカリ……ヒカーティリアは、異母兄妹。母親は、侍女と王妃。あの人、節操なしとは、この国の国王で間違いない様だ。

ハッキリと言おう……国王クズだな!

正妻のエルティアと側室ならまだいいだろう。でも側室でもない母さんに関係を迫って身籠らせてしまったようだ。


関係のない侍女を身籠らせた事を知った王妃エルティアの怒りの拳が顔面と鳩尾、蹴りが節操なしの股間に炸裂したもよう。国王ザマァー。


母さんは、侍女の仕事を辞めて故郷に帰るつもりだったが、王妃に止められ王妃専属侍女に落ち着きオレを産んだ。側室ではないから王位継承とかは原則的にないが、オレ以外が死んだ場合のみ認められるらしい。……だったらなくてもいいだろ。


「まぁ、それはそれとして、ヒカリ~リュートお兄ちゃんよ~」


オレが横になってるベッドに異母妹(ヒカリ)を横に寝かせる。


半分同じ血が流れる妹の頬っぺたに手を添えて抗えがたい眠りについてしまった。

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