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権力による強要

(注)この作品に出てくる名前には人名からの由来をとることがありますが、

由来先の人とその名前のキャラクターは一切関係ありません。性格も実績も容量も全然違うのでご注意ください。

拉致られた。

まぎれもなく、拉致られた。


 肌寒いのは春だからだけではないことは明らかだ。体育の後だってのに、汗が冷えあがっている。普通ならあの薄っぺらいワイシャツが張り付き、ブレザーが熱を閉じ込めるだろう。しかし、今は妙に空気が冷たく感じる。

 鳥肌が立っている。寒い。

 しかし、その鳥肌をさすることができない。なぜなら今は手を使えないから。なぜかは知らない。しかしこれだけは確実。俺の手は何かしらに後ろで縛られている。それも硬い。単に何かが絡まっているだけとは考えられない。

 しかし、こうも曖昧な状況報告になるのには理由があった。

 今現在俺は何も見えない。ただ漆黒の闇の中を見つめている。頭の拘束感と鼻と額に張り付くやわらかい感じから、目隠しされているのだろう。


 以上のことから俺は今拉致られているのだろう。


 遡ること―――――と言うような流れになるだろうけど、あいにく時間がわからない。目隠しされているのだから。しかも目覚めたのは数分前で、それ以前の記憶はない。気を失っていたのだろう。

 とりあえず、気を失う前の記憶から状況を整理してみよう。


 

 「総優院大学付属高等学校には第一から第四まで四つの校舎があり、その中で総優院大学付属中央高等学校はそれらの校舎の中で最も偏差値が高く、また権威ある学校で・・・」

 入学してからもう一週間近くだってのにまだ校内オリエンテーションの最中。ったく、なんというマンモス校なんだ。過労死しそうだ。

 しかもこの中央高校だけでもこれぐらいの広さ。先生が言うように第一から第四までほかの校舎を含めれば…………とんでもない広さだ。


 「権威というのは職員の階級の高さのほか、生徒会の権力が広範囲にわたっており、中央高校だけでなく第一から第四のすべての校舎においての権力を有するのである。しかし、生徒会内にはさまざまな人がさまざまな考えを持ち、さまざまな派閥を結成している。そのため考えがまとまることはなく、年に一回の選挙で生徒諸君が投票で生徒会内においての代表となる派閥を決めることとなる」

 入学直後、何かしらの派閥を掲げて新入生勧誘が活発に行われていた理由はそれか。学校についてすらも何もわかっていない新入生に理念とか説いても意味ないっての。

 しかしまあ、こんなにも権力がすごければそういうのお構いなしに必死に支持者集めしているんだろうな。


 「今現在政権を握っているのは生徒会長・杜露門 星鷲 (ズロカド セワシ)率いる自由個性派であり、生徒の自由と個性を尊重するという理念を掲げている……」

 ズロカドって。ペンネームでもこんなにならないぞ。まあ、インパクトのある名前が選挙に役立ったのだろうな。


 「しかし、今の政権もいつ交代するかわからない。この学校の政権争いは日本一過激かつ発達したものであるといわれ、年内に予想外の政権交代があることは稀な話ではない……」



 「なあ、今日一緒にどんな部活があるか見に行こうぜ」

 隣の席の野郎が声かけてきた。終礼が終わったころに。

 「・・・・・・」

 こう返事しといた。

 「お前、ほんと無口だな」

 「・・・・・・」

 ええ、確かに俺は普通の人より口数少ない。人と話すときも、人の家に上がるときも、決闘を申し込むときもいつもこの『・・・・・・』だ。ちなみに、さよならも『・・・・・・』だから俺が消えても気づかない、というような人が多い。消えるように別れを告げる主義だ。

 「今日は用事があるのか?んじゃあ、明日にしとくか」

 「・・・・・・」

 つか、お前出会って日にち浅いのに俺の何がわかるってんだよ。といっても、彼の言ってることは大方あっているし、地味に鋭い。なんとなく悔しい。

 彼に『・・・・・・』の別れを告げると、俺は吸い込まれるように正面玄関の方に足を運ばせた。今日は体育の疲れを取るという大事な用事があるのだ。決して暇人ではない。

 昨日買った枕に期待を膨らませながら女子トイレの通過するところだった。そのトイレの中から飛び出たのだ。はてなが。正確には『?』マークの入った袋をかぶっている黒づくめの何かが飛び出た。人形浄瑠璃で人形を後ろで操っているあの黒づくめにどことなく似ている。

 で、その黒づくめがお手頃サイズのホワイトボードに書いてある2つの文章を見せてきた。

 「生き地獄この先」

 「そこそこ地獄右折」

 まず、この先俺を待っているのは布団だ。地獄なわけがない。

 もう一つ、右折したら女子トイレだぞ。入った瞬間布団から出ることがないだろう。

 というわけで当然のことながら無視した。

 そしたら視界が真っ黒になった―――――



――――――うむ、わからん。全然状況が把握できない。いや、俺は今非日常的な何かを体験していることは分かっている。だけど、なんでこんなことになったのか。もしかしてあの予告通り地獄に落ちたのか?でも足の感覚がある。死んでない。なら俺はこの状況をどうとら――――――


                   ビッ


「ッッッ!」

ま、まぶしい!

暗闇が一瞬に一転して真っ白。目が痛い。



まだ完全に視界が晴れていないが、俺の前に好青年が立っていることはたしか。

はっきりとものが見えないにしても、そいつが只者ではないことだけは感じる。

なんだろ、オーラってやつか?

まあ、どっちにしろ権威ありそうな何かを感じる。


「やっと目覚めたかい?」


視界が完全に晴れた。

状況確認。

それは悲劇にも予想通りだった。

まず、目隠し。黒い帯状の布を目の前の青年が握っていた。

次に腕の縛り。縄で縛られていた。取れそうにない。

極め付けは上半身。予想通り裸だった。

しかし、予想していなかったのは亀甲縛りにされていたこと。


「手荒にすまなかったね」

荒すぎだろ


「生徒会・革新平等派の本部へようこそ」

聞いたことない派閥だ。


「私の名前は斯大 燐(カカリオオシ リン)

珍しくも苗字のほうがDQNネームっぽい。ズロカドみたいに。


「小さいころから期待の革命児と慕われているよ」

いや、きいてないし俺は慕う気ないし。


「この学校では自由個性派という派閥が学校内の政権を全面的に握っている」

ズロカドが率いているという


「この自由個性派は各々の個性を重んじ、自由な校風を目指している………………表面上は」

さっきも聞いたが何がおかしいかさっぱりわからない。こいつは何に反対しているんだ?


「その自由個性派に私は対抗しているというわけだ」

やっぱりか。入学早々派閥争いの目撃者になれるとは。


「ではまず君の名前を聞かせてもらおうか」

ちょっと待てっ!お前人の名前すらも知らずに拉致ったのかよ!


「・・・・・・」

言わないし言うつもりもない。むしろ敵対心すら芽生える。


「なるほど…………君の名は『あああああ』だ!」

「待った!」

数日ぶりに「はい」と「いただきます・ごちそうさま」以外の単語出したわ!

これはひどい!


「どうした、あああああ」

芝園 必成(シバゾノ ヒツナリ)…………名前、芝園 必成(シバゾノ ヒツナリ)

「うむ、あああああという名前も捨て惜しいが、まあいい君の名はシバだ」

いや、勝手に省略されると困るんですけど。

馴れ馴れしいしいぞ。


「隣にいるのは私の妹であり、君の同級生だ」

ほー……なかなかかわいい子だな。タイプではないけど


「えー……名前はなんだったかな?」

ぶふぉっ!ちょっと待て、お前兄だろ!?名に忘れてんだよ!早速痴呆症かよ!


「大丈夫だ、思い出した。彼女は……『あああああ』だ」

またそのネタかよ!妹さん半泣きだぞ!こいつに全人類あああああかよ!


「悪かったよ……そんな顔すんなよ、(アカリ)

斯大 明か。名字のせいで名前のほうがすごく普通に聞こえる。実際普通だけど。


「えーっと、シバ!いよいよ君のものが……任務のはじま……おっと!」

ヒラヒラヒラーと、ノートの切れ端らしきものがそいつの掌から落ちた。

このカンペは……


「・・・・・・」

「こんなありきたりなセリフ、著作権のうちに入らない。胸を張って言おう」

いやいやこれは完全にアウトだ。

某ポ〇モンの某オ〇キドのセリフを完全にまねている。

それに沿うためにさっきからわけのわからないノリになっていたのか。


「そんなことは問題ではない!」

いや、大問題です。

いろいろやばいです


「明日から早速君に働いてもらうわけなので」

は?

「そうか、君にはまだ説明していなかったな。なぜここに連れてこられたか」


「単刀直入に言う、君には革新平等派の諜報員として働いてもらう」

は?

「具体的には情報収集、宣伝、そして支持率管理だ」

は?

「ひたすらこの学園内の支持率を高めることに努め、わが勢力の拡大に勤しんでもらう」

は?

「その顔はなんだ?…………なるほど、『なんで俺がやらなければならないんだ』と言いたいのだな」

はい

「よいだろう。私自身そこそこ学園内の権力をもっている。安全が保障されていないこの学園内で君の安全をある程度は保障しよう。さすがに自由個性派の圧力には屈するがな」

は?

「しかしまあ、そう簡単に闇につぶされないように君の安全確保に私自らから務めさせていただく」

いや、は?

「安心して働―――」

「なんでオ・レ・がやらないといけない」

「ふむ、その無口さとなんとなく感じられる部分……端的に言えば、『なんとなく』だ」

はぁ!?

「な・ん・で俺がやらないとい・け・な・い」

「何か君は勘違いしているようだね。拒否できると思っているのだろうが、これは義務、強制だ。拒否権は一切認めない」

知るか

「さっき言ったが、私はこの学園内で一応権威ある者だ。つまり、君をこの学校から消すことだって容易なことだ」

・・・。

「ふむ、まだ足りぬようだな。それではこれはどうだい?この総優院大付属の力は計り知れない。裏で国を動かす存在ともいわれている。つまり、場合によっては君を社会的に抹殺だってできる」

・・・・・・。

「被害が君だけに及べば幸いだろうね」

・・・・・・・・・・。

「まあ、これで分かっただろう。少々横暴と思うだろうが、受け入れたまえ。運命を恨みなさい」

こうして俺の「生き地獄」が始まったのである。



完全にポケモンをパクリましたすみません。

ポケモン図鑑だったり「~ゲットだぜ」的なノリとかいろいろと

パクっていますすみません。

主人公のこの無口っぷりもトレーナーレッドを参考にしましたすみません

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