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旅立ち1

毎日ベッドでする妄想を文章化したらどうなるんだろうかというテスト。

6話までプロローグ(少年期)。

「アジュール!俺が注意を逸らす、タイミングを逃すなよ!」

「わかったよ、カイト兄ちゃん!」


 青年と少年は大猪と対峙していた。

 青年の名はカイト、少年の名はアジュール。


 ここはイスト村付近の森。近頃農作物を荒らしまくっている大猪を狩る為、二人は森まで追ってきたのだ。


 二人が大猪と対峙してすでに30分。

 体長4メートルを超える大猪の体には無数の切り傷や矢が刺さっている。またカイトも鎧の所々が切り裂かれ、戦闘の壮絶さを物語っている。


 一方アジュールは疲れが見えているもの、全身そのものは無傷である。

それは、前衛のカイトがその身で大猪の攻撃を引き受けてくれているからである。


「(カイト兄ちゃんが僕を守ってくれるから、矢を当てることにだけ集中できる)」

 アジュールはカイトの強さ、勇敢さを尊敬し、信頼している。


 "注意を逸らす"と兄が言ったのならばそれは絶対のこと。

 ただじっとその時にのみ意識を注ぐ。


「おうらぁ!」

 カイトの渾身の一撃が、大猪にヒットし、たまらず大猪は後退する。


「いまだ、アジュール!」

 カイトの声を受け、アジュールから1本の矢が放たれる。そして・・・

 

「ヴイイイイイイイイイイイイイイ」

 矢は大猪の額に直撃し、大猪は絶叫を上げ、絶命した。





「やったな!アジュール!さすがは俺の弟だ!」

 全身がぼろぼろになりながらも、カイトは満足げに笑っていた。


「何言ってるの。カイト兄ちゃんがいたからこそ倒せたんだよ。兄ちゃんこそ自慢の兄だよ!」

 そう言って、アジュールも笑っていた。


「村を荒らしてたこいつを倒したんだし、村のみんなは褒めてくれるね!それにマリア姉ちゃんもきっと喜んでくれるよ!」

「な、なんでマリアの名が出てくるんだ!」


 カイトは顔を真っ赤にする。


「カイト兄さんとマリア姉ちゃんがお互いのことを好きだって村のみんな知ってるよ!僕たち孤児院のみんなも早く結婚してほしいって思ってるんだよ。」

「け、け、け、結婚!?マリアと俺が結婚!?そ、そんなこと・・・」

 カイトは真っ赤な顔をさらに赤くする。挙動もおかしくなり、視線もあちこちとさまよっている。


「カイト兄さんは戦闘だとかっこいいのに、恋愛はからっきしだね」

「う、うるさい!弟のくせに生意気だぞ!さっさと大猪を台車に乗せるぞ!」

「はいは~い」


 大猪の両足を棒に括り付け、何とか二人で持ち上げると用意していた台車に乗せる。

 森には動物だけではなくゴブリンなどの低級モンスターも出る。


 せっかく狩り終えた獲物。奪いきたモンスターと無駄な戦闘になる前に、二人は急ぎ家路に就くのであった。



==========================================================================================


「ただいまー。おっさん、カイトとアジュール、大猪を退治し戻ってきた。」


 30分をかけイスト村に着くと、カイト兄ちゃんは見張り台のアントンさんに声をかけた。


「おう、おかえり。お前たちの姿が見えたときびっくりしたぜ。よくそいつを倒してきたな。」

 ワハハハと笑いながらアントンさんが労ってくれる。


「よーし、みんなに知らせなきゃな。」そう言うとアントンさんは鐘を鳴らしながら、「カイトとアジュールが大猪を退治して戻ってきたぞ!」と大声を上げる。


 すると農作業をしていたもの、警備をしていたもの、家事をしていたもの、みんなが僕たちの近くに集まってくる。


「若いのにお前たちはいつもよくやってくれる」と褒めたたえる男性たち。

「がんばったわね。けど若いのにあんま無茶するものじゃないのよ」と褒めながらも心配している女性たち。


「心配させてすまなかった」

 そういいながらも隣のカイト兄ちゃんの顔は誇らしげだ。


 僕だってそうだ。やっぱりみんなに褒めて貰えるのはうれしい。みんなの役に立つのはうれしい。



 奥から村長がやってきた。村長は優しい笑みを浮かべている。

「二人ともよくやってくれたの。村一番の悪がきだったお前たちがこうも村のため働いてくれるとは、ダレンを思い出すようじゃ。」


 ダレン兄ちゃんは僕たちきょうだいの一番上の兄だ。5年前、成人したダレン兄ちゃんは王国兵に志願し、村から旅立っていった。


 ダレン兄ちゃんはものすごく強かった。僕たちの《剣術》、《弓術》の【スキル】はダレン兄ちゃんから教わったものだ。


 その【スキル】だけじゃなく、ダレン兄ちゃんは【ギフト】まで持っていたため、村の大人でさえ、勝てる人はいなかった。


 【ギフト】・・・とは、1万人に1人程度の確率で発現するといわれている。後天的に覚える事が出来る【スキル】とは違い、【ギフト】は生まれ持ったものであり、後から取得することはできない。

 【ギフト】の恩恵はすさまじく、その強弱はあるものの【ギフト】持ちは通常の人よりも遥かに能力を凌いでいる。


 ダレン兄ちゃんの【ギフト】は《ガーディアン》。守るべきものがいるほど力を増すものだと聞いていた。


 僕はそれを聞いたときなんてぴったりなんだろうと思った。

 「力があるものは弱いものを守る義務がある」それが口癖のダレン兄ちゃんは村にいる間、周辺のゴブリンの討伐や山賊の討伐などそのギフトの名の通り村を守り抜いてくれていた。


 そして今度は王国兵としてこの国全体を守っていってるんだろう。そんな兄の弟になれて僕は誇らしかった。

 ダレン兄ちゃん、カイト兄ちゃん、そしてマリア姉ちゃん。そんな優しくて素敵な兄や姉がいる自分はなんて幸せなんだろう。



「ニグル村長、こんな大きい猪俺たちじゃ食べきれないよ。ぜひ村のみんなで鍋にするのはどうだろう?」

 村のみんなを見渡しつつカイト兄ちゃんが提案する。


 これは帰る途中二人で決めていたことだ。せっかくの御馳走をみんなで分けなきゃもったいない。



「おお、それはいい考えじゃ。おい、村の男どもは収穫祭用の大鍋を倉庫から持ってくるのじゃ。せっかくじゃ今夜は大猪討伐祝いの祭りとしよう。倉庫から酒も持ってきてよい。」

「さすが、村長わかってらっしゃる!」


 村の男性たちは、祭りと聞くとテンションが上がりに上がっていた。いつの時代もおいしいものを食べて飲むという行為は心を満たしてくれる。


「それじゃあ、女たちは私と一緒に料理を手伝っておくれ。」

パール村長夫人がそういうと、村の女性たちもうなずいた。


 今日はきっとここ一番で最高の日になる。僕とカイト兄ちゃんがお互い笑い合っていると、、、



「カイト!アジュール!あなたたち勝手に村を飛び出して!!何度私を心配させれば気が済むんですか!!!」



 声がした方を向くと、マリア姉ちゃんが息を切らしながらこちらに近づいてきた。

 おそらく孤児院からここまで走ってきたのだろう。シスター服を着て走るなんてあんまりシスターらしくないななんて思わず笑ってしまう。


「アジュール、何を笑っているのですか!!私がどれだけ心配したと思ってるんです!!」

 マリア姉さんが怒りながら拳骨をしてきた。


「い・・・っつー、ひどいよ姉ちゃん。」

「マリアそこまでしなくてもいいじゃないか。アジュールだってみんなのために大猪を討伐してきたんだ。」

 どうどうとカイト兄ちゃんがなだめに入る。



「カイトあなたもです!今回のこと、あなたがアジュールを誘ったのはわかりきっているんですからね!」

だんだん怒りも治まってきたのかマリア姉ちゃんの声は落ち着いてきた。「それに・・・」


「キュア」

 マリア姉さんが治癒魔法を唱えるとカイト兄ちゃんの全身の傷が癒えていく。


「全身傷だらけで。。。あなたたちが大怪我をしたらどれだけ私が悲しむか少しはわかってください。」

 マリア姉ちゃんがカイト兄ちゃんにゆっくりと抱きつきながら声をこぼす。


「ああ、すまなかった。次は気を付けるよ。」

 カイト兄ちゃんも抱きしめ返しつつ、やさしく声をかけていた。


「ふふ、嘘ばっかり。あなたたちは困った人がいたら助けに行かずにはいられませんもの。変なとこまでダレンに似て。」

 もうしょうがないんですから。そう言いつつも、マリア姉ちゃんの顔は優しげだった。



「ひゅーひゅーお二人さん、昼間からお熱いね!けどそういうことは夜にベッドでゆっくりやるもんだよ!」

「「こら、アジュール!」」

 僕が茶かすと、二人とも顔を真っ赤にして照れつつ、怒ってきた。



 やばい、捕まったらまた拳骨をくらっちゃう。「お二人さん、ごゆっくりー」僕はそういうと、孤児院の方に先に逃げた。

 せっかくの二人っきりの時間を用意してあげないとね。


 照れながらも怒る二人、笑いながら見ている村のみんな。

 今日もイスト村は平和です。



※編集・・・呪文を魔法に変更。


理解がしやすいように、なろうで一般的なスキルや呪文、レベルの構成で行こうと思います。専門用語はできるだけ出さないようにします。

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