☆ティーカップひめ☆
壊れたら、
元に戻れなくても、
きっと、最後には、
最高の笑顔を咲かせよう。。。
遊園地の妖精ティーカップひめ。
ティーカップのなかに、ひとつだけ壊れた、
ティーカップがありました。
ティーカップの妖精たちは、
夜な夜な、きょう、乗ってくれた、
こどもたちや、恋人たちの話で、花を咲かせます。
でも、壊れたティーカップの妖精、
ティーカップひめは、
話に入れません。
ひとりぼっちの、ティーカップひめ。。。
ある日、ひとりの少年が、
壊れたティーカップに、乗りたいと言って、
ききませんでした。。。
でも、両親に、止められ、
少年は、別の美しいティーカップに乗せられました。。。
少年の両親は、
離婚する最後に、家族で、遊園地へ、来ていました。
そんなことも、何も知らない、妖精たちは、
ティーカップひめのことを、あざ笑いました。。。
ティーカップひめは、
ココロのなかで、ティーカップを、おもいっきり、
回しました。。。
そして、数年がたった、ある日、
ひとりの、青年が、ひとりで、壊れたティーカップに乗りました。
そして、言いました。
「あの時、伝えたかったんだ、両親に。。。
むかしを、思い出して欲しいって、壊れた関係を戻して欲しいって。。。」
一滴のなみだが、ティーカップに落ちました。。。
その時、
ティーカップひめも、泣いていました。
あの時の、少年だ。。。
青年は、ティーカップから、降りると、
言いました。
「あの、ティーカップ直してやってくれ。」
係員は、
「今さら、、、
他のティーカップが、たくさんあるんだし、、、」と、
「変わりなんてないよ。」と、青年は去って行きました。
ティーカップひめは、
うれしさと、切なさで、胸がいっぱいになりました。
その夜、
遊園地の女王が、
ティーカップひめの目の前に、現れました。。。
「ティーカップひめ、あなたに、魔法をかけてあげましょう。明日、青年と、両親がやって来ます。1度だけ、動けるようにしてあげましょう。」
ーーーーーーーそして、
次の日、青年と、両親は、やって来ました。
両親のふたりは、距離をとりながら、青年の後ろを、歩いてついてきてきました。。。
壊れたティーカップに、3人は乗り込むと、
沈黙が、続きました。。。
青年は、壊れたティーカップの持ち手を、握り、
回すと、、、
不思議なことに、
壊れた、ティーカップが、ギィギィと、音をたてながら、動き出しました。。。
両親は、驚きました。
「こんな、ティーカップが、動くなんて。。。」
青年は、微笑み、ティーカップを、
おもいっきり、回しました。
「やめなさい!いい歳をして!」と、
母親は、言いながら、嬉しそうに笑いました。
つられて、父親も、笑いました。
時間が、過ぎて、
ティーカップひめと、お別れに。。。
「そういえば、
こんな時もあったわね、、、」
母親が呟くと、
「あぁ。。。そうだったな。」
と、父親も、うなずきました。
そして、顔を見合い、微笑みあいました。
青年は、うれしそうに、
「次は、ジェットコースターだっ!!」と、
走り出しました。
ふと、振り返ると、
人間には、見えないはずの、ティーカップひめが、見えました。
ティーカップひめは、
優しく、微笑み、手を振っていました。
青年は、手を振り返し、
前を向き、走り出しました。。。
ーーーーーーfin.
笑顔を渡せるひとに、
なれたなら。
自分も、ひとも、しあわせにできるってこと。。。