第8話 光の橋
優亜回でーす
彼のあの言葉は私の心に深く刻まれた。
「じゃあ、俺は一度戻るからな」
そう言ってレノは行ってしまった。
空は青い。
そして私の心も――
『ルアナ~』
レノと入れ替わるようにフローナが帰ってきた。
レノと別れてまだあまり時間は経っていないのにとても寂しかった。
フローナが来てくれた喜びよりもレノがいなくなってしまった寂しさが勝ってしまう。
『ルアナ、どうしたの?そんな辛そうな顔して』
なんでもないよ……。
私はあえてこの寂しさを胸の奥にしまった。
『つらいって顔に書いてあるじゃん。ルアナ、空飛んでさ、あそこに見える山まで競争しよ』
顔になんか書いてないもん。
フローナが指す方向にはさっきまでココといたあの山があった。
『よーい、スタート!』
一人で掛け声をかけて飛んで行ってしまう。
私も負けず嫌いなわけでフローナに続いて飛ぶ。
さっきまで、木に囲われた暗い場所にいたから飛び上がって視界が一気に明るくなった。
一瞬目が眩む。
フローナが指した山の方向には……。
綺麗……
『でしょ』
七色の光が山に綺麗にかかっていた。
考えてみれば虹をみるのはいつ以来だろうか……。
しかもこんなにくっきりと綺麗にかかった虹を見たのは初めてかもしれない。
『何があったのか知らないし、無理矢理聞こうとも思わないけど、こうやってさたまには気分転換しようよ。あんまり思いつめないで。私を頼っていいんだよ』
そうだよね……。
レノ……。
レノに会いたいな。
でも、ここから離れたらレノにも迷惑がかかるよね。
だから、レノがくるまで私はここで待つ。
いつまでだってレノを信じているからこそ待っていられる。
それにしてもフローナはすごいと思う。
なぜか私の気持ちが分かってしまうのだから。
フローナは前から謎だ。
どうして私と共にいてくれるのだろうか。
どうして喜ばせてくれるのだろうか。
どうして気持ちが分かってしまうのだろう。
そんな、フローナの秘密を私はもちろん誰も知らなかった。