第7話 彼なりの決心
それから少しずつ降りていき、また暫くレノと別れるのかとぼんやり思っていた。しかし、不穏なことにその道中にレノは何一つ物を言わず、押し黙っていた。
『レノ?』
「なぁ…」
私は続きが知りたいのだが、どうも彼は決心が着いていないような状態だった。それほど大事なことなのだろうか。
「あのさ………」
私はどきどきしながら聞いた。
「俺と…組まないか?」
『え?』
私はあまりにも急すぎるそれに慌てた。
「お前の、そのなんだ。竜騎士…」
『なんだ』
何に戸惑っているのかと心配しすぎてしまったようだ。
この世界には竜と人が手を組んで【竜騎士】になることもあるのだ。レノはそれに私を選んでなろうと思ったみたいだ。
『そんなこと、まごまごして言うことじゃないでしょ?』
私は彼とは真逆の態度で物を言う。
「…………」
彼は何に圧されたのか、黙ってしまった。
『私は……』
なぜか彼なら信頼できるんだ。確かにあの弱い力を武力にして振りかざす愚かな人間の内だが、既にそれを把握している。
『私は、あなたがそう言うなら「うん」と言うわ。』
心のうちでは彼に付いていきたい気持ちも有る。
「良かった。」
彼はホッとしたように溜め息を吐いた。もしかすると彼はわたしに対して下らない事を言ったと思ってひやひやしていたのかもしれない。
『雨の気配がする。今日は退いたら?話は追々しましょう。』
「ありがとう。」
彼はそう言った。
そのあと、何か聞こえた気がしたんだ。なにか聞こえたような…。「一生守ってやる」とか「離しはしないから」とか、何かそんなものを。