第4話 迷子の女の子
「ルアナは人を食うんだろ。俺も食べるつもりで近づいてきたのか」
『違う!!』
「信じられない……」
待って―――
『ル―――』
何かに呼ばれる。
その声にやがて明確に聞こえた。
『ルアナ!』
フローナ……?
私……。
『途中で寝ないでよ!』
ごめん。
で、何の話だっけ?
『レノ、これからどうする?って話』
どうするって……。
『もう、殺しちゃってもいいんじゃないかと思って』
フローナが私が恐れていたことを言う。
ダメ!!
私は強く思った。
『すぐにとは言わない。でもね、所詮レノは人間。いつ裏切るかわからないんだよ』
レノが私達を裏切る……。
フローナの言葉が胸に刺さる。
レノは今の私とは違う、人間なんだ。
でもレノともっと話していたい。
レノと話してると楽しいんだ。
ドラゴンになる前のことを思い出す。
私はなぜドラゴンになってしまったのか、それはわからない。
戻りたいと言えば、もちろん戻りたい。
でも……今のこの姿もいいと思えてきた。
それはレノがいたから。
そのレノを殺す……?
『よく、考えておいて』
フローナはそれだけを言ってどこかに飛んで行った。
私は少し森を歩くことにした。
前にうさぎに怯えられたこともあり、動物たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、じっとしてはいられなかった。
「―――」
不意に、どこからか声がした。
私は声の主を探した。
少し進むと小さな5,6歳程度の女の子が目に涙を浮かべ歩いていた。
「パパ……ママ……」
私は木陰に巨体を隠し声をかける。
『迷子なの?』
「だれ?」
『私はルアナ。あなたは?』
「ココ……ココ・アグナ」
白と青のワンピースを着た女の子、ココはお父さんとお母さんとはぐれてしまったらしい。
人食いドラゴンがいることも知らないっぽい。
『この森に何しにきたの?』
「ピクニックだよ。ここにはきれいなお花がさいてるって」
アグリスの花のことだろうか。
アグリスの花は森の中心部に咲いていて、その花の蜜は傷を癒すと言う。
「ルアナちゃん、パパとママ探すの手伝ってくれない?」
私は戸惑った。
探すことになれば姿を見せなければならない。
きっと、酷く怯えるだろう。
でも、ココを1人にしてはおけない。
私は姿を見せることを決断した。
『私ね実は、ココと同じ人間じゃないんだ。驚かないでくれる?』
「……うん」
私はココの前に立つ。
ココの表情は怯えてるというより何と言うか期待に満ちていた。
嬉しいな。怯えられないって。
「ドラゴンさん?」
『うん、私がルアナだよ』
「かっこいい!」
ココの笑顔に私も顔が綻ぶ。
ドラゴンだから見た目はたいして変わらないが。
早くお父さんとお母さん見つけてあげたいな。
『ココ、背中に乗って』
ココに声をかける。
だが、さっきまでココがいた場所には誰もいなかった。
お腹が動く。
「ルアナちゃんのお腹気持ちいい」
ココは私のお腹に抱きついていた。
自分では触ったことはなかったが、気持ちいいのか……。
私も触ってみたくなった。
まぁ、自分のお腹なんだが。
つい、堪えきれずお腹に手をのばす。
「その子をどうするつもりだ!!子供にすら手をあげようとするなど……」
私を倒すための隊が来てしまった。
もちろん、レノも―――
RESTAちゃんのほうが挨拶を入れましたので、私も遅れましたが皆様にご挨拶申し上げます。
この竜恋舞の偶数話を担当させていただきます新神 優亜です。
また、投稿も担当させていただいています。
コラボというのも初めてなので至らぬ点もあると思いますがよろしくお願いいたします。