第20話 独りと友達
改名させていただきました。
花神雪亜改め、すのーふらわー回です
レノもフローナもいなくなり、私は独りでこの場所にいた。
レノはどこへ行ってしまったんだろう?
いつもならばいなくなるときは声をかけてくれる。
だからこそ、今のように何も言わずいなくなってしまったのは不思議だった。
何かあったのかな……。
私の心は曇っていた。
上を見上げると雲がびっしりとあり、普段見える青く澄んだ空はどこにもなかった。
そんな空を見ることでさらに気分が下がった。
なぜ、私はここに独りでいるのだろうか。
レノもフローナも私が必要なくなったのだろうか。
桜色のこの身体はいつになっても変わらない。
こんな身体私はいらない――
「また悩み事?」
聞きなれた声がした。
声のした方を見るといつかのうさぎがいた。
前よりも一回りくらい大きくなっているかもしれない。
「うん……ちょっとね……」
「私でよければ聞くわよ?」
優しく微笑みながら言ううさぎの言葉が私の心に染みた。
黒く染まりかけていた心が溶ける。
「みんな……私の前からいなくなっちゃった。レノは気づいたらいないし、フローナは逃げるようにいなくなっちゃった」
「用事があっただけじゃ……なさそうね。私はその場にはいなかったけど、要するにあなたは寂しいのよ。いつも居てくれた者が居なくなった消失感が怖いのよ」
「そうだね……。私はどうしたらいいの?」
「あんまり悪い方に考えてはダメよ。とにかく、自分がどうしたいか、それに従ったらどうかしら?」
確かに私は悪い方に考えすぎなのかもしらない。
グルルと地に響く声が出る。
「大丈夫よ。信じたいものを信じなさい」
「わかった」
私は、レノを信じる。
絶対、戻ってくる。
レノと竜騎士になるんだ。
「あなたは悩んだときどうしてたの?」
「んー……その時によるけど、友だちに相談したり大好きな草を食べたりかしら」
草というところにうさぎらしさを感じた。
友だち……か……。
私はみんなが恐れる「人食いドラゴン」だから友だちなんていない。
「友だちなんて羨ましい……」
「何言ってるの。私たちも友だちでしょう?」
一瞬、何を言っているのかわからなかった。
「私たち……友だち?」
「私はそう思ってたわよ」
「そっか……友だち……」
「だから、あなたは独りなんかじゃないの」
そんな白うさぎの言葉が嬉しかった。
素直にレノたちの帰りを待とうと、そう思った。




