第2話 騎士
新神優亜担当です
私が転生して一月が経った。
人間を喰らい生きた。
そうして私は『人食いドラゴン』と呼ばれるようになった。
私だって嫌だけど、しょうがない。
それが生きるための行為だから。
『ルアナ、足音が近づいてくるよ』
ルアナというのは私のこと。
人間のときとは違う名をもらった。
私はもう、人間じゃないから。
今日はよく人間が立ち入ってくる。
今のところ魔力は足りているのに。
『1人じゃないくて、いっぱい……。同時に金属の擦れ合う音もする。嫌な予感がする』
金属……。
フローナ、ここから離れないと!
『ごめん……遅かったみたい』
私の目で人が確認できた。
武器も防具もきっちり揃えた人たちの姿が。
「これが『人食いドラゴン」か」
一番前に立っていた、周りの人たちより少し派手な装備の人が言う。
後ろの人たちは皆、横にきれいに整列している。
『ざっと50人ぐらいかな』
私も整列した人を見渡す。
転生して1ヶ月で死ぬなんて……。
「悪いな、大人数で相手するが、それもお前が人を食ってきたから。つまり、全ての原因はお前だからな。いくぞ、『人食いドラゴン』を討ち取れ」
「「「おぉぉぉぉぉ!」」」
騎士たちの声が森に響く。
整列を崩し、私に向かってやってくる。
『私の言う通りにして』
今更何するの。
もう、手遅れだよ。
『大丈夫。ルアナは死なせないから』
……どうすればいい。
『大きく息を吸って思いっきりはいて』
火吹けるとかじゃないよね。
もう、やけくそだ。
私はフローナの言った通りにする。
吸い込んだ空気を遠慮せずはく。
「グオオオォォォォォォ」
何……この声……私の?
咆哮で私の近く……というより、ほぼ全員が意識を失い倒れた。
『ルアナの咆哮はすごいね!さすがに火はまだ無理かなぁ』
まだって!?
いずれできるみたいな!?
『さーて、まだ気失ってない人に話し聞こう』
フローナは姿を現し、こっちを見ていた一人の騎士に話しかけた。
妖精が突然出てきたことに驚きを隠せないらしい。
「あなたは誰?」
「騎士だ……。見て分かるだろ」
「名前は?」
「なぜ、そんなことを聞く」
「いいから、名前」
可愛い顔して怖いよ。
騎士の人もたじたじだし。
「……レノ」
「ふーん」とレノという騎士の周りをくるくる回っている。
私にも何がしたいのかわからない。
「ルアナ、こいつ乗せて。居場所を変える」
「はっ!?何で俺まで」
「行くよ」
私は渋々レノを乗せる。
どういうつもりかはわからないけど。
飛び立った後もフローナの言うことを聞き、森を移動する。
乗っている間に私を倒すこともできただろうが、レノは一度も剣を抜かなかった。
「なぁ、お前らも名前教えろよ」
「私はフローナ、このこがルアナ」
「フローナとルアナか……」
レノはそれ以上しゃべらず、静かに乗っていた。
ただ、ずっと不思議そうだったけど。
フローナは本当に何をするつもりなんだろう。