第19話 一人ずつ
それから幾らか時間が経った。正直、この時の記憶はあまり残っていない。忘れたかったからなのか、何なのか……。
日が沈んで星が輝く。
私はレノに「寝るよ、おやすみ」とだけ言った。レノもぶっきらぼうに「おやすみ」とだけ言った。実際に眠ったのはもっと後。身体を地面に伏せて目を瞑る。レノが寄りかかって尻尾に近い部分に力を感じる。
何故だろうか。どうして気持ちは浮いているのだろうか。私の気持ちは一体、どうなっているのだろうか。いっそのこと…でも、それはやりたくない。もっと一緒にいたい。
レノは私の背中によじ登ったみたいだ。たまにだが、こうしてレノが寝るときもある。
もう、寝ようか。そうしよう。
「ねえねえ、好きな人とかいる?」
なぜか聞き覚えのある声が鳴り響く。
「なんでよ」と、ムスッとしながら返事すると「ふーん」と答えられ、余計に腹が立った。
「じゃあ、そっちはどうなのよ?」
「ええ?言わないよ」
「って、もうすぐチャイムが鳴るじゃない。移動なんだから」
そして私達はドタバタと荷物を少しもって教室を出た。
「はぁ…はぁ」
「どうしたのよ……まさか、ギリギリまで教室に居てた訳?」
「え、あ、いや………」
恥ずかしい事になってしまった…。
誰かが私を呼んでいる。ゆっくり起き上がるとそこにはレノではなく、フローナがいた。
「どこ、行ってたの?」
「サーシャの所に居てたよ」
そんな記憶有っただろうか。少なくとも何者かに襲われた時は居なかったはず。
「それに、レノは?」
「それこそ知らないわ」
怪しい。いつもは目覚まし代わりに殴ってくる(痛さは全くない)んだけれど、今日はそれがなかった。しかもフローナが珍しく居る。
まるでそれは嫌な予感が実体化したような感覚だった。何というか、フローナを本能で警戒し、襲いかかろうとする状態。
「レノ、捜してくる」
フローナはそれを察したようにレノを捜す名目で逃げていった。
そう、逃げていった………多分。
お久し振りです。RESTA改めてましてDIRRです。あれ?このことはもう書いたっけ?
受験、終わりまして入学許可予定者になりました。高校選択のことについては不満だらけです…。
今からちびちび書いていくのですが、かなり時間が必要となってくる場面が予定ではたくさんあるので、最後を見たときには最初の頃のお話を忘れてるかも…という状況になり得ます。
これからは少しずつペースアップして投稿できたらいいなと思います。
これからも竜恋舞をよろしくお願いします。




