表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜恋舞  作者: 花神ディール
16/23

第16話 怒りと気持ち

新神優亜改め花神雪亜回です~

「ルアナ……お前、今日おかしいぞ?」


「おかしくなんてない」


「これでも長くいたんだ。お前のことくらいわかる」


「わかるわけないじゃない!何がわかるって言うの?私の何が!!」


私は……ドラゴンなんかじゃない。

この苦しみがレノにわかるわけがない。

簡単に分かってもらっては困る。


私は地面を強く蹴り空へ飛んだ。

いつもより高く……とても高く。

レノを置き去りにして。



とても長い時間が経ったような気がする。

私は適当なところで森の中に降り立った。

迷い込んでいた一人の人間を食べた。


ただがむしゃらに。

始めて人間を食べたときと同じように。


――ガリッ

歯に金属が当たる。

とても硬い……。


「これって……」


吐き出した私が見たのは鎧の一部だった。

そしてそこには紋様があった。

私が泊まっていたあの王国の王家の紋様が。


私は脱力する。

ガシャンと音を立てて私の手から落ちる。

食べてしまったのは……王家の軍隊に所属する者の1人。

つまりレノの……仲間。


「どうしよう……どうしようどうしよう」


硬い皮膚に一筋の涙が流れる。

強い肉体とは裏腹に私の心はとても弱かった。


「泣いているの?」


声に驚き辺りを見回す。

だが、誰もいない。


「ここよ」


私の足元にいた。

以前逃げられてしまったウサギが。


「前はごめんなさい……。怖いと言って逃げてしまって」


「い……いの。それはっ……事実だから」


「私はもうあなたが怖くなんてないわ。あなたはなぜ泣いているの?」


そう言うウサギの身体は細かく震えていた。

きっと……勇気を出して来てくれたのだ。


「私……食べちゃったの……!レノの仲間を!」


「レノ……っていつも一緒にいた人間よね?」


私は嗚咽を吐きながらもウサギに説明した。

本当はウサギじゃなくても良かったのかもしれない。

誰でも……。


「なるほど……ね。でも、それはあなたが生きるためにした行為じゃない」


「でも私は……あなたも怯えていたじゃない。食べられるって」


「そう……だけど。でも考えれば私たちが生きるために食事をするようにあなたも食事をしなきゃいけない。食事というのは命をとること。でもそれを……その命と共に生きるって考えたらどう?」


「共に……生きる」


考えたことがなかった。

私は命をとって生きていると思っていた。


「ありがとう……少し楽になった」


「ううん。じゃぁ私行くね」


「うん。ばいばい」


レノと……話さなきゃ。

私がしてしまったことを隠し通せるわけがない。

だから、レノのところに行こう。


私は再び飛び立った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ