第15話 予想
レスたん回です
レノは焦るように言っていたけど私は予想できていた。サーシャのおっかな有り得ないカーペット行動は狂わさせてくれたけど、右往左往するようなものではなかった。
「レノ?焦りすぎだよ?」
ただ単に私が冴えているだけだ。
「し、仕方無いだろ!」
彼は叫ぶように言い放つと私を煽る。
「しかし…狙ってきてるわね。」
「やつら、か?」
二日連続、しかも私とレノが入った日と翌日早朝だ。
「ルアナ殿!レノ殿!狼の襲撃ですが、破壊や殺伐は無く、まるで偵察のような動きであります!」
ということはまるで街や国には興味が無い…そう解釈出来る。
「なら、私たちが出るのは危険ね。向こうはどうやってなのかは別として私たちがここに来たタイミングで使いを入れている。昨日も数匹逃げていることから無理には行動できないでしょう。」
兵士の言葉を全て聞かないうちに反論し、納得させる。
「それに誘拐犯みたいな事もしていないし。」
「確かに…」
それを聞いて兵士は敬礼して去っていく。
「ルアナ、どうしたんだ?」
「なにもしてないよ。」
ただ、予想通りだっただけ。そう思った。
比較的静かな朝もやがて昼に移る。
狼は知らないうちに撤収していた。被害はゼロらしい。私も漸くゆっくりと外の景色を眺めた。今は庭にお邪魔している。この芝生の感じがあそこの公園と同じ…あれ?
「はぁ、疲れた」
それに対してなぜか冷たい口調で答えてしまった。
「フローナ…」
何を問うこともなく冷めた口しか私は開かなかった。それは私の本能によるものかもしれない。
「ルアナ?」
「なに?あまり邪魔されたくないんだけど?」
すこし殺気を混ぜて言った。するとフローナは光の塊になって、たちまち消えていった。
なぜ、自分でもこう言ったのか…よくわからない。夜に考えていたことと今、自分が口走った事は真逆だった。
「おい、ルアナ!」
誰だろう。この声は…。
「どうしたんだよ?」
「いえ…なにも。ただ、お腹が空いたかな。」
「ああ、そっか。昨日のあれは魔力じゃないもんな。」
私は頷くことにも疲れた。そしてレノが触れていることも、冴え渡る頭の中では鬱陶しく思った。なぜ、こうも予想出来ないのだろうか。
(それは、私がドラゴン…だから?)
「きゃ?!」
少しびっくりした。レノがいきなり尻尾に座るのだ。確かに巻いていて私の顔が見れるとは思うけど、いきなり負担がかかってビクッと身体が震えた。
「やっぱり、おかしいぞ?」
「あんたがでしょ!」
私は知らず知らずのうちに本気になっていた。