第13話 襲撃
RESTA様回です
あれから数十分……私は館内をうろうろ、そして気になる本を見つけるが取れずに……。
というか、そもそもそんな話は書ける話ではないと思う。実際にレノの筆は進んでないし。
そう思っていたら真っ黒い何かがこっちに向かってきているのに気付いた。
「なにか来る!レノ!」
サーシャの叫び声がこだまする。レノはすぐに立ち上がり、腰に掛けてある剣を握った。
「狼か?」
飛び付いてきたそれを凪ぎ払い、黒い狼と対峙する。サーシャも対峙している。
しかし、それ以上狼は攻撃してこなかった。レノとサーシャの攻撃を避けるだけになり、二人は余計に焦った。
「なにか嫌ね。」
レノは二刀流にして追い詰めるようにした。
ふと、動きが止まったところを斬って事切れた。しかもかなり不気味だった。
「なんとか…なったのか?」
「分からない。ただ、この後に嫌な感じが立ち込めるわね。」
今更だがルアナには手を出さなかった。
「私は無傷だよ。けど、外が煩いよ?」
どこから入ってきたのかも分からない。取り敢えずは出入口の所に向かおう。
「え!?」「何!?」
なんとそこにはあの狼が何十匹もいた。
ルアナが近くの壁に体当たりして壊してその欠片をサーシャが魔法で礫のように投げた。
すると何匹かにヒットして、忽ちその大群は逃げていった。
ルアナは少しぐったり。レノも意外にも押されたため、ルアナの身体に凭れた。
「悪いな、ルアナ。」
そしてサービスのごとく撫でてくれた。いつもの場所を優しく触れる。
あれからどうも眠ってしまったらしい。レノの温かさが今は冷めている。身体から離れたみたいだ。あっ、欠伸が…。
「目が覚めたか?そんな咆哮を上げてるってことは起きたてか?」
「わ、悪かったわね」
でも、レノはどこに居るんだろう。
そう思いながら身体を起こす。
「ほんと、良いよな。」
そう言いながら私の脚に触れてきた。危うく踏みそうになった。おかげで地響きが凄いことになって恥じた。
「でも貴女といったら優しいのね。私がこんな風にされたら踏み潰してるわよ。容赦なく全体重で。」
「でもレノも優しくしてくれるので。」
そう微笑んだ。これでも人間の容姿であるなら…だけど。
「ご苦労」
そう言って久方ぶりの微笑みを見せてやった。
「もう少しで私の力が覚醒する。そしてもう少しで世界の主になる。」
しかし、まだ厄介なヤツがいる。
「今度は相手をしてやる。」




